東沢、西沢渓谷の氷瀑


1月27日(金)快晴。
30年前西沢渓谷へ行った時、山小屋の主が「東沢はこんなもんではねえぞ、氷瀑なら東沢だ」、 と言っていたのが頭のすみにあった。
確かに、パンフレットにある清兵衛の滝の写真はすばらしかった。
それから月日は立ち、暖冬の年ばかりになってしまった。 2006年は、久しぶりの寒い冬になり、やっとチャンスが巡ってきた。
朝、暗いうちに出発、勝沼バイパス手前で、日の出を迎える。 少し、ぶどう畑がある農道に入り、朝日を浴びた、白峰三山の写真を撮る。

東沢へは、あまり早く行くことはない、少し日が当たってきて、暖かくなってくれた方がいい。
途中、三富村の気温はー7度を示していた。 とりあえず、道の駅で、塩山駅前のコンビニで買ってきたパンをかじる。
おもむろに、無料の西沢渓谷駐車場に入る。 ここまで、道路の凍結も雪もなし。 駐車場にも、ほとんど雪はない。
12人ぐらいのグループが、かなりしっかりした装備で、丁度でかけるところだった。
どこへ行くんだろう、東沢だと、ちょっとまずいかな。 こちとらは、アイゼンもないし、かなりの軽装だからだ。
私も準備完了、グループのあとを追う。 途中、ほとんど雪もなく、甲武信ヶ岳登山道が分岐し、渓谷の案内板がある場所まできた。
先行のグループが、案内板の前で、行き先を確認していた。
「かえる岩がなんとか」とか言っているのが聞こえたので、たぶん西沢へ行くんだろうと安心する。
そこでパーティーを抜かし、早足で先に進む。 ”登山禁止”と書かれた看板をしりめに、東沢登山道に入る。
登山道は、すぐに、河原に降りてしまうので、そのまま石ころの河原を歩く。
堰堤上からは、ほとんど分厚い氷に覆われているので、渡渉が楽だ。 2回ほど、氷の渡渉をすると、鶏冠谷出会いになる。
沢沿いの登山道は、少し先の左岸沿いにあるが、その少し先に、綺麗な氷柱が見えたので、注意しながら、氷上を歩く。

丁度、魚止の滝の横で、ブルーの氷柱がキラキラ輝いていた。 滝も表面が凍り、いい感じだ。
正面下から、写真を撮り、登山道に上がる。 少し歩くと、右岸に30Mくらいの氷瀑がかかっている。 ぶ厚く氷っているので、ここもいいゲレンデだろう。
登山道には、ほとんど雪がなく、凍ってもいないので、楽に歩いて行ける。
ほどなくして、清兵衛ノ沢に着いた。 上から覗くF1は、見事に凍っている。
ロープを使えば、簡単に降りられそうだったので、立ち木にロープをしばり、滝横を下る。
あと5Mものが1本あれば、沢まで降りられたのだが、最後の2Mが凍っていたため、ロープの下のところで止める。

F1の滝横には、見事な氷柱も見られる。
この沢は、南向きだが、そんなことは問題にもしない、ぶ厚く、見事な氷だ。
ここでの撮影を済ませ、再びロープを引っ張り、登山道に戻る。
清兵衛ノ沢の上流を見上げると、さらに氷が連なっている。
こりゃーせっかくここまで来れたので、少し上も覗いて行かなくちゃ、という気持ちになり、行けるところまで行く。
幸、沢横には雪がないので、笹をつかみながら登れる。 登って見ると、以外と傾斜があり、それなりに高度感がある。
10Mくらいの氷瀑が2本続き、さらに、その上には、大きな氷瀑が続く。

よし、”あの垂直な氷瀑の下まで行って写真を撮ろう”、と思い、藪をかきわけながら、なんとか到着した。
この滝も見事だ、全体で50Mくらいあるか。 今日の氷ぐあいだと、この滝まで一連でアイスクライミングが出来そうだ。
こんな、しみ出たような貧弱な沢に、よくぞここまで発達してくれたものだ。
いくつか写真を撮り、ここから下る。 ロープを出し、枝沢に降りる。 ここの、氷から解け出した水のうまいこと。
西沢の水は鉱毒があり飲めないが、東沢の清水は大丈夫だろう。
少し沢から離れぎみに、安全な藪場を降りていく。 すぐに登山道に出た。

さあ、目的の清兵衛ノ沢F1も見たし、戻ろう。 ついでに、少し先に見えた小沢の氷瀑を見てから、下る。
最初に見た、右岸にある30Mの氷瀑に3人のクライマーがいた。 丁度、登るとこらしい。 しばし、静かに見物としゃれこむ。
男性一人、女性二人のパーティーらしい。 確保している女性と目があったので、軽く頭を下げる。
トップを少し見学し、あまり迷惑にならぬよう、静かに登山道を下り降りる。
河原の暖かいところで、コンビニおにぎりを食す、清清しく気持ちがいい。

まだ時間があるので、西沢の七つ釜五段の滝まで行って見ることにした。 もう、午後になるし、人もあまりいないだろうと思った。
最初に大久保の滝が、対岸に現れる、見事な氷瀑だ。 下から、滝近くまで行って見たい気持ちになってくる。
一旦登り、階段を沢近くまで降りる。 東沢は、アイゼンの必要性はなかったが、西沢はかなり登山道が凍っており、少々やばい。
朝会った12人パーティーとそれ以外の2パーテェーともすれ違ったが、皆しっかりしたアイゼン装備、やや白い目で見られてしまった。
数カ所、しみ出た氷が登山道を塞ぎ、慎重に迂回しながら、進むことをよぎなくさせられる。
一番やばかったのは、最後の橋の手前、ここは迂回できない。
氷は、傾斜したまま沢に落ち、鎖は沢側についている。
ここは、鎖をつかんで突っ張り、沢側を向いて、膝と手でかにのヨコバイ、なんとか乗り切る。
さあ、お待ちかねの七つ釜五段の滝だ。 見事、筒状の氷の中を、水流が落ちている。 やはり、今年の寒さは、並みではないらしい。
橋の途中で通行止めになっているが、良く見ると、滝壷へ降りられそうだ。
誰もいないのを、これさいわい、じっくりアングルを考えながら、下に降りる。
ここで、デジカメもフルメモリー、いくつか消して少し撮る。
さあ、帰るか、橋横のしみ出しを慎重にクリア、あとは、注意しながら、下って行く。
雪が少ないので、凍りついているところが多く、通常はアイゼンが必携だ。
入り口にも”すべり止めなきもの入山禁止”と大きく書いてあるのであった。 まあ、しかし、16時に無事駐車場に到着。
少々疲れたが、時間も時間なんで、日帰りの湯にも寄らず、一路我が家を目指しての帰還でした。

車―――清兵衛F1――二股――七つ釜五段滝――車

8:00  9:30   13:00   14:00    16:00

 
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