奥多摩の滝・大常木谷


7月5日(土)晴れのち曇り。
奥多摩でも1、2の困難を競う大常木谷。 予想をたがわず、美しい谷だった。
”登山者の転落死亡事故多し”と書いてある看板のところに車を止める。 はるか彼方に見える大常木谷の姿は、とてつもなく大きく、険しい谷を予想させ、心高ぶる。
一ノ瀬川の水音は、かなり下の方から聞こえ、流れはぜんぜん見えない。
小尾根を、踏跡づたいに辿ること10分、ようやく本流に出る。 それから、少し本流を下って行くと、穏やかに流れる、大常木谷の出会いに着いた。
しばらくは、縞模様の美しい滑が続き、景色を眺めながらの遡行が続く。 やがて、谷は狭まり、5Mの滑滝が出てくる。
ここは右から巻き、滝の上に降りる。 たしか、この辺に変わった岩があるとあったが、と周りを見まわしてみると、あったあった。 滝の下に、門番のような、不思議な形をした岩がある。
表面はつるつるに磨かれ、面白い形をしている。 この岩と滑滝のマッチングがとてもいい。
ここを過ぎると、まもなく五間の滝が出てくる。 水量豊富な8Mの直瀑だ。
さあ、ここはどう越えて行くか。 滝の横には捨て縄があり、右の壁には古いザイルが垂れている。 濡れるのはいやだが、右壁は高く、滑りそうで、取りつきに躊躇する。


遡行図では釜に入り、滝の右を登れば簡単だ、とある。 しばらく、眺めていたが、意を決し、釜に入る。
胸まで浸かったところで、滝に取り付く。 以外に滑らず、いいホールドががあり、あまり飛まつを浴びることなく、簡単に登れた。
また、しばらく美しい滑床の流れが続く。 次に出てくるのは千苦の滝25Mだ。
上部はひょんぐって空中を飛んでいる。 ここは、丁度太陽が滝上にかかり、あまりいい写真が撮れなかった。
ここは壁に囲まれ、一見巻けそうもない。 しかし、よく見ると、1箇所、右尾根に出れそうなところがある。 スリップに注意し、足元を見つめながら、右尾根に登る。
かなり上に登りすぎたかなあ、と思っていたら、赤テープが出てきた。 大きく巻いたつもりでも、降りたところは滝のすぐ上。
上から落ち口を覗いて見ると、上部は5Mくらいの滑滝で、飛んでる滝がよく見える。
また滑があり、やっとゴーロの広いところになる。 また、谷は門のように狭まり、山女淵を向かえる。
淵はかなり埋まっているが、取り付けそうなシュリンゲのところまでは、足がつかなそうで、少し泳がなければ行けなそうだ。
また濡れるのはいやだし、と思って、左上を見ると、いい木がある。 なんとか、ぎりぎりロープが淵の上に届きそうだ。 木の下まで登り、ロープを垂らし、ごぼうで下まで降りる。
次の淵は、倒木とシュリンゲをうまく利用し登る。 さらに続く淵も深い。
結局、ここでの横断で泳いでしまった。 まあ、あまり水も冷たくなく、晴れているので、あまり問題もない。


ここで後ろの方に後続が来ているのに気が着いた。 完全武装の4人があしばやに迫ってくる。
丁度、巨樹と簾状の滝があったので、写真撮影のため、一休み。 彼らの足は早い、「先にいってもいいですか」とあいさつしたので、「どうぞどうぞ」といって、追い抜いてもらった。 中年と若手といったグループだ。
そういえば、滑瀞のところでも、若い人がウエットスーツを着て入渓の準備をしていたなあ、今日は沢日和の一日だ。
時間を見ると、こちとらも、そうゆっくりしていられない。 不動の滝はすぐだった。 変わった姿の2段の滝だ。
ここは右から簡単に巻く。 もう滝はでてこない。
ゴーロを歩いて行くと、やがて右に御岳沢が合流してくる。 ここからは右岸を歩き、会所小屋跡を見逃さないように歩いて行く。
やがて、朽ちた木の橋が見えてきたので、これが大常木林道だとおもう。 少し先に、石垣だけ残った会所小屋跡があった。
ここで簡単におにぎりを食べ、休息する。 あとは、忠実に林道を辿って帰るだけだ。
さあ、これからも長い、まずは、前に行った、竜喰谷タテノ沢のところの橋までを目指す。
大常木林道は、数箇所小さな崩れはあるが、おおむね良好、ただ真っ直ぐに、ほぼ平らな山道を行くという感じだ。 途中、疲れによる、いつもの太もも痙攣がきた。 実に痛い、5分ほど足をもみながら、じっと我慢。
足に注意しながら歩くこと2時間、見覚えのある木橋に着いた。 さあ、まだあと2時間はかかる。
また、巣箱のかんじょうをしながらニノ瀬に出る。 さらに、舗装された道路を下ること40分、やっと車に着いた。
先週の小常木谷と比べると、難しさは小常木谷の方があるんじゃないか。 だが、谷の自然の美しさ、大きさは、だんぜん大常木谷の方が上だと思う。
これで、ほぼ、奥多摩も先が見えてきた感じだ。 もう少しだが、あまり無理をしないで、ゆっくり行こうと思う。

 車――大常木谷出会―滑滝――五間の滝―千苦の滝―不動の滝―御岳沢出会―会所小屋跡―竜喰谷タテノ沢――ニノ瀬――車

 7:05   7:35   8:10   8:20   9:15   11:40   12:20  12:40(12:55)  14:55   16:40  17:20

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