奥多摩・竜喰谷



5月3日(土)快晴。
朝のうちは小雨もあり、少し雲っていたが、丹波山村にさしかかるころは抜けるような青空になってきた。 一之瀬林道に入り、石楠花橋まで行く。
晴れているので、目指す竜喰谷の様子がよく分かった。
橋より200Mくらい戻った林道脇に、2,3台の駐車スペースがあるのでここに車を止める。 駐車場所の後ろから、一之瀬川へトラロープがさがっている。 簡単に渡渉できるので、左岸に渡る。
本流にかかる豪快な滑滝を見ながら、竜喰谷に入る。 すぐに川幅いっぱいに落ちる出会いの滝だ。
周りの新緑とピンクのつつじが彩りを添えている。 ここは左岸の巻き道を登り、上に出る。
水量があり、広葉樹で包まれた沢は明るく、ゆったりと流れている、気持ちのいい遡行ができそうだ。
次に出てくるのはF2の滝、続いてF3の滝と滑を挿みながら楽しい遡行が続く。 滝の巻き道はしっかりしており、それぞれ簡単に越えていける。
次に出てくるのは、この沢の盟主・下駄小屋の滝。 深い釜を持った2段のきれいな滝だ。
周りの新緑とあいまって、いい雰囲気をかもし出している。 ここは左側から簡単に巻ける、踏跡があり、すぐに沢に戻れる。
日も高くなり、水中の砂のなかの雲母が、きらきら金のように光っているのがところどころにあり、とても印象的だ。 緑色した釜の10M滑滝は、左を気持ちよく登れる。 ここの谷はゴーロを長く歩くという印象がなく、そのかわり滑が多い。
先に釣り人らしき、二人づれが見えてきた。 なんとなくいやな予感がする。
最初の人には”こんにちわ”とあいさつし、簡単に”こんにちわ”とあいさつがかえってきた。 次の人に会うと”沢登りかね”と聞かれ、いきなり”この先、我々より先に行かないでくれ”と言われた。 一瞬、あぜんとしたが、”そりゃないでしょう、時間もかかるし、まあ少しは気をつけて歩きますから” といいかえしてしまった。 いきなり、”先に行くな”とは。


いままで丹沢などであった時は軽いあいさつと、釣果や世間話などして、気持ちよくわかれたものだが。 しばらく話しをしたところ、”ここで止めるから、気をつけていきな”と見送ってくれた。
丹沢では割合に沢登の沢と釣り人が入る沢は分かれている。 奥多摩はどこでもかちあいそうだ。 いろんなホームページを見ていても釣り人とのトラブルを目にする。
基本的に沢をどういこうと自由なんだから、会った時は多少の注意をはらうしかないだろう。 上流に別の人が入っているかもしれないし、沢屋に出会ったら、大休憩で時間をつぶしてもらうしかないと思う。 丹沢では釣り人と長い林道を2時間も楽しく話しながら降りてきたものだが。
逆くノ字の滝は左脇を超えて行く。 続いて出てくるのが、この谷二大大滝の一つの曲がり滝。
直射日光を正面に浴び堂々と豊かな水を落としている。 両岸は岩壁で簡単に巻けそうにない。 遡行図を見ると、右岸の尾根から大きく高巻くとある。
左岸を見ると登れそうなガレ場があり、そちらの方が簡単にいけそうだった。 左岸のガレを登る。
途中から見る曲がり滝は上部の滑部分も見えて、大きくみえる。
上部は篠竹をつかみながら、横に行けそうなところまで登る。 篠竹がなくなったあたりからトラバースぎみに少しずつ下りながら行くと、滝上部の滑床に楽に下りられた。 右岸の取り付きからみると、こちらの方が巻き道としてはいいような気がする。
振り返ってみると、全体で唯一にしての大高巻きで、きついのはここだけだった。
中の平沢を左に分け、しばらく滑と小滝を繰り返しながら登って行くと2段・8Mの滝、ここも明るい。 ここも簡単巻ける。
またまた滑と小滝を繰り返しながら登って行くとF9・5Mの滝。 そろそろ滝も食傷ぎみ、簡単に写真を撮って巻く。
左岸に2:1で枝沢が合流してくる。 枝沢の奥に滝らしき流れが見え、腕時計を見るとそろそろ12時だ。 滝をみながら飯にしようと、枝沢の滝を見に行く。


4Mの小ぶりながら苔の美しい滝だった、さらにここで二俣、右にも小さな滝が両門の滝のように落ちている。 ここでしばらく休憩、出会いからここまで以外と時間がかかった。
ここで大きな失敗をしてしまった。 休憩を終え写真を撮ろうとしたところ、ザックが視野に入りじゃまになったので、三脚とカメラを置いて、片づけたところ 戻るとカメラがない。 しまった、3Mの崖下に落ちている。 不安定な形で置いたので、落ちてしまったのだろう。 カメラが心配だ、高かったのにー。 拾いあげて見ると上部にかなりの打撃を受け、アルミカバーが5mmほどめくりあがっている。
レンズ、スイッチ類は大丈夫のよう、シャッターを切ると機能的には大丈夫のようだ。 安易におくんじゃないと反省。 不安定なところで写真を撮っているので、いつかはこういうことになるんじゃないかと、心配していたが、やはりやってしまった。 しょうない撮れるだけまし、先に行こう。
しばらく行くと井戸沢との二俣、ここは左水量の多いダテノ沢に入る。 3Mの雰囲気のいい滝があり、ここは右を行く。
4Mチョックストンの滝を越えて登って行くと最後の滝らしい滝にでる。 5Mほどの美しい滑滝だ。
ここを越えると、篠藪につつまれた、小川のような流れになっていく。 一度沢を右に分け、次の二俣を水量の少ない左に入る。
上の方にカラマツが見えてくると右上に林道も見えてくる。 すぐに丸太の橋にでる。 ここで長い遡行はやっと終了した。
昼に飲めなかったビールを飲みながら、休憩をとった。
10Mくらい先の木にリスが登ってきて歓迎してくれた。 うぐいすも鳴いていてとても気持ち言いところだ。
靴に履き替え、仮払いされた1Mはばの林道を下りはじめる。
これから先は地図がないので心配だが、適当に降りていけば、一之瀬方面に出るとあったので、どんどん進む。 すぐにT字路になる、案内はないが下へ下っていけば大丈夫だろうと思い、左折して下る。
仮払いしてあるが、あまり歩かれたような感じがない。 そのうちガレで道は切れてしまった。 どうやら間違えたらしい(20分のロス)。
もう一度T字路まで戻り、先に進む。 しばらくすると、斜めに下る路が出てくる。
この路を降りて見ると、古そうは感じの路で古い手作りの丸木橋も出てくる。 これは間違いなかろうと、ゆるやかに下る。
巣箱があり、そのNOからすると下から着けてきたらしい。 ほとんど、水平の路でカラマツの絨毯でおおわれた路を行く。
巣箱がNO1になると再び路は二つに分かれる。 ここも下る方を選びゆるやかに下っていく。 また巣箱が出てきた。
下りが強くなってきたころ、前方のカラマツの間から民家が見えてきた。 やっと辿りついた、これで一安心、やれやれだ。 ニ之瀬の舗装された林道に飛び出た。
この大常木林道は、歩きやすいいい道だったが、途中にも、入り口にも一切案内はなかった。
ここ一之瀬は、高原の別荘地みたいで、真ん中を川が流れ、山桜などの花々が咲き乱れ、桃源郷のようなところだ。
林道をぷらぷら景色を眺めながら車を止めてあるところまで戻った。
ここ竜喰谷の印象は、滑と滝が調和した、明るく美しい沢だった。

 車――出会の滝――F2――F3――弥惣小屋の滝――逆くノ字の滝―曲がり滝―2段の滝――二俣――最後の滑滝―終了点――車

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