奥秩父・ホラノ貝窪大滝


7月24日(土)晴れ時々曇り。
地図を眺めながら、目的の滝までのルートを、仮想するだけでも楽しい。
日帰りで、椹谷・ホラノ貝窪大滝を見に行く方法はないかと地形図を眺めて見る。
大滝は、井戸沢大滝と同様に、比較的奥多摩の尾根近くにあることがわかる。 うまく谷に降りることが出来れば行けそうな気がする。
北天のタル付近からか、飛龍山を挟んだ反対側大ダル付近から近い谷を下れば、本流に出れそうだ。
最短のルートは、三条ノ湯から飛龍山への登山道を登り、北天のタル付近から下るコースだ。 これだと上手くいけば、日帰りができそうだ。
ところどころ工事中の後山林道を終点近くまで走り、数台止まれる駐車場に車を止める。 最近は雨が少なく、沢の水も心なしさみしい。
少し歩くと、もう汗がしたたり落ちてくる、くそ暑くて歩くのが苦しい。
三条ノ湯から道標に従い、飛龍山への登山道を登って行く。 この時間に、このルートを登下山する人は皆無だ。
赤い屋根を見ながらジグザグに登り、三条沢の音を聞きながら登っていく。 道は反対に折れ、次第に沢音が遠ざかって行く。
冷たい沢の水が飲みたいなあ、と思ってもなかなか横切る沢がない。 かなり上の方にきたなあ、と思うころ、ようやく水のある沢を横切る。 やっと美味しい水にありつけた。
近くの樹上にゼフィルスのペアを見つけ、カメラに収めようとしたが、うまく撮れなかった。 目標物が小さい上に、動きが激しいので難物の蝶だ。
ここを過ぎると、すぐに、また水が湧く小さな沢を横切っていく。 ここの水は冷たくて美味しかった。

以外と登ってないようだが、かなり上まできた。 やっと上の方が明るくなってきたころ、尾根道にぶつかった。 ここが北天のタルだ、三方向への道標がある。
地形図と小さな相違点があったのが少し気になった。
まず、地図上では沢の手前で、きつい尾根の登りがあるように見えるが、実際は尾根を巻くような登りになっている。
道が合流する北点のタルの位置だが、もう少し飛龍山よりで、秩父側も見える尾根上であったこと。 ダラダラと疲れる登りだった。
休憩しながら、降りる方向を探る。 あまり直ぐに降りて行くと、大滝手前の沢に降りてしまいそうなので、少し北西方向に進み、適当に出てくる沢を降りることに決めた。
タルの下にはかなりのゴミが落ちている。 ゴミを横目で見ながら、少し石楠花の藪を漕ぎ、小さな岩の下から始まる小窪を下る。
水のない急なゴルジュ状の狭いガレ場を浮石に注意しながら下る。 沢は同じような、谷が合わさった二俣、振り向いて、下って来た右側の谷をようく頭にいれておく。
谷は少し広くなり、水も少し出てきた。 苔むした滑状の滝が三箇所くらい出てきたが、何れも小さく巻きながら降りていく。 やがて、本流らしき沢の水音が近くなってきた。
降りて来た沢は合流までほとんど水の流れがなかった。
ここをまた登るため、入り口にケルンを積み、付近の景色を頭に入れる。 幸、すぐ上で左岸から小滝で合流する沢があり、これもいい目印になる。
ここで少し腹に詰め込み、本流を下る。 水が出たり、伏流になったりと、広いゴーロを下っていく。
500Mほど真っ直ぐ下ると、正面に尾根と高い岩壁が見えてくる。 谷は左に曲がり、伏流の河原から出た水が勢いよく下に落ちていた。
大滝だ、ついに出た。 さて、どうやって降りようか。 右岸は高い壁、左岸は急だが、早く降りられそうだ。
左岸を降りることに決める。
しかし、以外ときつい下りで、三回ほどロープでのぶら下がり懸垂下降で滝下に出た。
落差40Mほど、立派な直線状の滝である。 写真では、なかなかこの大きさをうまく表現することができない。
時間があまりないので、撮影を急ぐ。 しかし、ここにきて太陽が照り付け、雲待ちに時間がかかってしまう。 少し時間を食ったが、さあ、登り返しだ。
巻きは、右岸の急でグズグズなガレを、一歩一歩確実に四つんばいで登っていく。 かなり高く登り、谷への下降はロープを使って降りる。 木に、新しいカラビナとザイルが残置してあった。
本流から目印がしてあった沢を登り始める。 一箇所を除き、滑滝は水流を直登する。
水がなくなるところで、水の補給と靴を履き替える。 あとは、間違いなく下ってきた谷を慎重に登っていくだけだ。
最初の二又は右とはっきり覚えていたので、躊躇なく登っていく。
次に似たような小窪が合わさる、小さな二俣になった。 あれ、こんなところあったかな、さてどっちから降りてきたんだろうかなあ、としばし迷ってしまう。
右を少し登り、なんか違うかな、降りてきた足跡も見つからないなと疑問に思ったのだが、まあいいや、もう上も近いし、登って行けばすぐに出るだろう 、と簡単に決めたのがいけなかった。 窪はじきになくなり、似たような小岩の下を登る。
少し左に登って行けば、ゴミが出てくるだろうと思っていたが、ごみは出てこない。 少し明るく切れていそうな方向を目指して、今度は斜め右方向に登る。
もう、この辺で道を間違えていることに気がついた。 まあ、登山道も近いし、なんとかなるでしょという気持ちで登る。
小さなタルに出た、ここは北天のタルではない。 さあどうするか、たぶん北天のタルより、飛龍山よりに出たのだと思う。
地図を見ると、奥多摩側に降りればすぐに登山道があるはずだ。 ためしに、少し降りて見ると、下に登山道らしき道が見える。
タルから20Mほど下ると、しっかりした登山道に出たのでほっとする。 たぶん、左に進めば、北点のタルに着くはずだ。
少し登山道を歩いたら、すぐに道標のある北点のタルに着いた。 どうやら最後の二俣のところで右と左を間違えたらしい。 丁度、一山飛龍山よりのタルに出たようだ。
時間も遅くなってしまったが、あとは登山道を下るだけ、大休止だ。 ガスが急に出てきた、やばい、早く降りよう。
ガスが濃くなり、雨音がしてきた、傘を出して歩く。 しばらくすると、雨足はさらに強く、遠くで雷の音もしてきた。
やばい、傘はさせない、カッパを着て少し降りたが、急に雷も近くなってきたので、動けなくなってしまった。
それにしても、登山道に出てからのにわか雨で助かった。 30分ほど、大木の下から3Mくらい離れて雨宿りをしていた。雷に打たれて死んでしまったのではかなわん(同日何人か亡くなったようである)。
待っている間、かなり大きな雷の音が、近くで何回かした、こわいねー。 小降りになり、雷の音も遠くなったので、下山を始める。
やっと、三条の湯に到着、もう明かりがついている。 三条沢は、濁った水がゴウゴウと流れている。
少し暗くなり始めてきている。 車まで、ギリギリヘッデンを使わずに間に合ってよかった。
幾つか、時間を食ったところがあったが、どうにか目標を達成出来たので、よしとしよう。

車――三条ノ湯――北天のタル――ホラノ貝窪――大滝――――北天のタル―三条ノ湯――車

7:20  7:50   10:25   11:50   13:00(13:40)  16:30   18:20  18:45

 

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