静岡県・大瀑めぐりの旅


連休に入った29日(土)〜1日(月)、二泊三日で静岡県の滝を訪ねて旅に出た。二泊とも車中泊。
4月29日(土)曇り。
静岡県の滝は、情報がヒジョウに少ない。ネットで検索してみても、あまりひっかかってこない。
地形図上にあり、比較的民家に近そうな場所でも、写真はおろか、行くルートさえ定かでない。
ならば、直接行って見るしかないかと思い立ち、今回の滝めぐりとなった。
ゆっくり自宅を出発、国道1号線を、一路静岡県めざして走る。
箱根を越え、三島に入ると、俄然スピードが上がる。 沼津で、ガソリンの安売りスタンドがあったので、とりあえず満タンにした。
リッター123円、1日からは上がりそうなので助かる。 これで朝飯のパン代くらいは出るだろうな。
バイパスは順調、80〜90Kくらいで皆バンバン飛ばしている。
早めに着いたので、今日のところは、とりあえず、福養の滝を目指した。
静清バイパスから、国道362号線に降りる。 降りた近くのAコープで、酒と明日の朝食までを仕入れ、それ以降は、コンビニでぱんでも買えばいいかなと思い、調達しなかった、これが失敗でした。
滝まで、案内板が処々設置してあるので、迷うことはない。
国道362号線から県道60号・南アルプス公園線に入る。
藁科川沿いを走っているうちは、道路幅も広く走りやすいが、山道になるとすれ違いも難しいような細いクネクネした道になる。
かなり高度をかせぎ、最後の部落の大間地区を過ぎ、2KMほど走ると福養の滝駐車場に着いた。
ここに駿墨庵という地元がつくった店があるが、連休は3日〜5日のみ開き、29日、30日は休みでした。 そんな訳で、止まっている車も一台だけ。
福養の滝までは、水平道を300M歩くだけ、すぐ滝下に着く。 水量はそれほど多くはないが、50Mくらいの大きな滝だ。 下にも3Mくらいの滝が見える。
近くに朝日の滝もあったはずだが、と地図を見、確認してみると、10KMほど戻らねばならなかった。
時間も押しているので、急いで下り、崩野地区方面に入る。 「和荘」の案内があるところを右折し、川沿いに降り、ダートの林道を川沿いに1KMほど登る。
小さく「朝日の滝」と書かれた看板があるところに路駐する。
ここから川を渡り、左岸沿いの山道を辿ること30分、滝見台に着いた。 滝は対岸正面の50Mくらい先に見える。 これもかなり大きな滝だ。
2段40Mくらいの滝で枝沢から落ち、水量はそれほど多くない。
先に見た、福養の滝よりは、きれいな滝で、こちらの方がすばらしい。

さて、今宵の宿はどこにしようかな。 静かで、水洗トイレがある福養の滝駐車場に決めた。
明るいうちに寝る準備をし、睡眠薬の酒を飲みだす。 一眠りして目が覚めたら、まだ0時半だった。 空にはいつの間にか満天の星が輝いている。
いつものようにラジオ深夜便を聞きながら、窓越しに星を朝まで眺めていた。
丁度冠座が見えてきた、あの近くには近づきつつあるシュワスマン・ワハマン周期彗星がいるはずだ。
あまり見えそうもなかったので、車のなかから星を見つめていた。 流星が一つ飛ぶ、石原裕次郎の歌が静かに流れていた。
今日気がついたのだが、NHKFMでもAM同様、ラジオ深夜便を流していることだった。
朝まで通過する車は皆無、無風快晴、静かな朝を迎える。 うぐいすがホーホケキョウと夜明けを告げてくれる。
4月30日(日)快晴のち曇り。

早朝、もう一度、福養の滝を眺めてから、今日の目的地、布沢の滝へ出発。
県道を井川湖方面へ進み、富士見峠から、県民の森方面へ進む。 県道27号線を下り、奥池ヶ谷地区まで下る。
目指すは、布沢上流にあるという布沢の滝だ。
中河内川が蛇行しているところが出会いだが、入り口がよくわからない、出会いまでは、一山越えて行かなければ行けないようだが。
地元の人に聞ければ一番いいのだが、車でゆっくり行ったり来たりしてみても、外にいる人がいない。
中電の鉄塔巡視路入り口があり、たぶんここだろうと思い、車を止めたところ、洗濯物を干すおばさんが出てきた。
グッドタイミング、出会いを訪ねるとやはりここでした。
一山を登り、また出会いまで下らなければならない。 山頂を越え、鉄塔の下をくぐると踏み跡がわからなくなる。
ここは、真っ直ぐ出会い方向を目指し、植林帯を降りて行く。 最後は少し急になったため、ロープを出した。
対岸に出会いが見えるところに着くと、しっかりテープがぶらさがっている、ここまで30分かかった。 帰りは、楽に登れそうだ。
ここで靴を履き替え、中河内川を渡渉する。
布沢に入り、100Mくらい辿ると、深い釜のゴルジュとなる。
巻けそうもないので、浅いところをヘツリながらゴルジュに突入。
小滝と釜が連続するゴルジュで、一部小さく巻きながら登っていく。
ゴルジュを過ぎると、平凡なゴーロの沢となる。
滝らしい滝もなく、たんたんと登り、5M滑滝を巻き、しばらくすると3Mくらいの三連瀑。
ここを小さく巻いて登ると、前方に大きな滝が見えてきた。 あれが、目指してきた布沢の滝だろう。
落差は35Mくらい、門番の小滝と深い釜を越えて行かないと下に行けない。
ヘツリぎみに釜を越え、小滝を登って行くと大滝前の広場に出た。 これも大きな滝だ、。
下りは、左岸をロープを出して下る、古い細引きのような残置ロープが垂れ下がっていた。
獣道を拾いながら、左岸側を降りたが、最後は急なザレに阻まれ行き詰まり、やむなくゴルジュの真ん中に下りる。
幸、深釜の巻き部分は過ぎていたので、比較的楽に、ゴルジュを降り、出会いに戻った。
出会いから滝までの往復は2時間ていどでした。 靴を履き替え、テープの箇所から登りだす。
これが結構きつい、植林帯の中は踏み跡が輻輳していて、一本の道を辿ることがなかなか出来ない。
鉄塔を越えると道がはっきりしてくる。 これで午前中の滝見はおしまいだ。
県道27号線を下り、梅ヶ島方面の県道29号線に左折する。
コンビニを探しながら、走ると、真富士の里というところがあり、何か食えそうだ。
そばを食べ、この先の店のあり具合を考えると危ないので、夜食用にパックのちらし寿司を購入する。
お腹に入り、一休憩したので、近くにある天神滝を拝みに行って見る。
平野橋手前から、平野地区の細い道に入り、真っ直ぐ林道を登る。 この道は、真富士山へ登る登山道まで続いているようだ。
途中、ヘアピンカーブの空き地に車を止め、山葵田手入れ用モノレール軌道に沿って進む。
山葵田がある場所から、本流の黒部沢に降りる。
水量の多い本流には、すぐに関門のような6M滝が立ちはだかっていた。
ここは突破できそうもなかったので、右から巻き、ロープを出して滝上に降りる。
すぐに、大きな滝が左岸から落ちてきている。 水量は少ないが、50Mはあるだろうか、これが天神の滝だろうか?。
ちょっと怪しいので、もう少し登って見た。 するとすぐに、水量豊富で大きな滝が左岸から落ちてきているのが目に入った。
「でかい、ただただでかい、びっくり、唖然」、天から降り落ちてきているようだ。
これが、地形図上にある本物の天神滝だ。 とてもカメラに収まりそうもない。 二段、60M以上(上段40M、下段20M)はあるだろう。
正面対岸には、山葵田跡が見られたのでそこを登りながら、アングルを探して写真を撮る。
それにしてもでかい、すぐ上に4Mくらいの滝があるが、そんなもんはどうでもいい。
それにしても、次から次と大瀑のおでましだ、小さな滝が目に入らなくなっちゃう。
ここは、林道から往復1時間ほど、山葵田から右岸を巻いてくると、濡れずに運動靴で入れてしまう。 以外とお気軽な滝だ。
平野地区に戻り、学校横に落ちている不動滝を見に行く。 この滝も意外に大きい、落差30M以上あるだろう、上の方はよくわからない。
さらに、平野橋横にある山下商店近くから対岸を望むと、遠方に朝日の滝を望むことが出来る。 この滝の落差は不明だが、これも50M級だろう。
疲れていたので、沢を登って見る気は起こらなかったが、学校横の出会いには、5Mの滝がかかっていた。
さあ、今宵の宿泊地はどうしよう。 きれいなトイレがある、真富士の里の奥に決めた。
近くの人に聞いたところ、この奥にはコンビニや店はないという。 やはり、バイパスの近くで、仕入れておくんだった。

朝食になるようなモノを真富士の里で物色したが、よもぎまんじゅうしか残っていなかった。
今日も寝酒を飲んで、寝袋に入る。道路から離れているので、ここも静かな夜でした。
目が覚めると11時、今日も満天の星空だ。 もう一度、なんとか眠りに入る。
2時半に再度目が覚め、昨日と同様、ラジオ深夜便から流れる、岩谷時子集を聞きながら星を眺めていた。
加藤登紀子が歌うテーマ曲の“れもん”もいい。 裏声でしみじみ歌う曲はせつない、あとで録音しなくっちゃ。
5月1日(月)快晴。
今日も晴れ、気持ちいい、個室トイレで顔を洗い歯をみがく。 さあ、午前中は白沢の100Mを越えるという大滝だ。
朝日を受けた朝日の滝を、デジタルズームを交え目一杯で撮る。
県道を6KMほど奥に走り、白沢橋を渡ってすぐ右折し、白沢沿いの林道に入る。
ダートの林道は、すぐに屈曲し、切り替えしが出来ない。 なんとか切り返し、30Mくらい登ると、また切り返し不能となる。
この場所は、軽でも切り返しが出来ないような道路で、スイッチバック方式で登るようになっているのだった。
つまり、この間の30Mは、バックで上り、下りする面白い場所でした。
林道をドンドン登り、終点までいく。 ここには、大きな鉄アングルの堰堤がある。 ここの空き地に車を止め、歩きだす。
茶畑の横を通り、沢に降りる。 ゴーロといっても大石だらけなので、ヒジョウに歩きにくい。 左岸には、山葵田とモノレール軌道がある。

朝飯がまんじゅうだけだったので、お腹に力が入らないし、岩間滝も多く、疲れる。
やっと、二股についた。 右俣には、モノレールの鉄橋がかかっているところだ。
左俣に入り、ゴーロ帯を登って行くと、左岸枝沢に水流の細い10Mくらいの滝がかかっていた。 目指す滝は大きいので、この滝はちらぁーと見ただけ。
もう少し登ると、沢幅もせばまり、ようやくゴルジュを迎える、ここまで1時間半かかる。
右岸から6M滝の支流を合わせ、本流も滑滝になる。
両岸は切り立ち、さらに6Mくらいの滝が続く。 なんとか越えられないかと、思案して見たが、壁は逆層、もろに水を浴びれば、突破できそうだったが。
しばし、両岸の上を眺めながら考え、単独でもあるし、下って、左岸から巻きに入る。 この巻き道が以外と厳しい。
根っこをたよりのトラバース、やっと左俣の大滝(多段100M)が見える位置にきた。
滝を望むテラス状のところで、その先はきついザレトラバースが待っており、ここで打ち止め。
滝上部は木の葉越しになるので、ちょっと見えにくい。
まあ、眺められただけでも良しとし、たぶん写りが良くないだろうと思われる写真を撮る。
下りは、ロープを出しながら、慎重に降りた。 モノレール側に逃げると、平行した、楽な仕事道があり、下りは割合楽だった。
今日は、かなり暑く、沢の水が気持ち良かった。
さあ、有終をかざるのは、安陪の大滝である。
ここまで来て、見ないで帰る、ということは出来ませんねー。
帰りは、安陪峠を越え、身延から富士五湖横を通り、246へ抜ける予定だからだ。
しかし、この予定はもろくも崩れる。 途中の看板から、通り抜けは、不可能と知った。
とりあえず、腹が減ったので、何か食うもの、と店を探しながら、走ったのだが、梅ヶ島温泉まで来てしまった。
角に食堂があったので、飯でもと思ったのだが、岩魚定食2000円を見て、うどんに変わってしまった。
飯は帰ってから大いに食べようと、ガマンガマン。 昼食代を払いながら、道路状況を聞くと、道路の開通は7月頃になるらしいとのこと。 お店もかきいれどきのゴールデンウイーク、残念がってた。
てなわけで、上からの短時間コースはだめ、少し下って、大滝入り口バス停がある、少し下に車を止める。 バス停直下の駐車場は、有料で300円とられる。
大滝までは、往復1時間ていど、サカサ川沿いで比較的アップダウンが少ない、歩きやすい道でした。
大滝は、うわさにたがわず、水量もあり、迫力のある美しい滝でした。
さあ、これで、二泊三日の滝めぐりもおしまい、一路、静岡まで戻り、また、国道1号線を快適に走り、夕方、自宅に着いた。
大瀑が多く、天気にもめぐまれ、最高の旅でした。

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