奥多摩・滝谷と犬麦谷

3月29日(土)曇り。
里では桜の花も咲き出した。 そろそろ春めいてきたので、少しずつ奥の沢へも入れるだろう。
今日は日原・小川谷奥の滝谷をメインに回ってみたい。 時間に余裕があれば、滝上谷、鳥居谷の大滝を見てこようと思っている。
天気は曇りで少し気温も低いというが、まずまずの天候だ。 日原街道に入り、小川谷林道を進む。
カロー谷が出会うところにゲートがあり、その先は通行止め、手前の林道脇に車を止める。
林道を少し歩くと、大規模な崩壊で林道が埋まっている。 歩行者通路の迂回路が、沢沿いにつけられている。
少し前までは、犬麦林道の分岐点くらいまで車で入れたらしい。 林道を歩くこと約1時間、犬麦谷を渡る橋まできた。
以外と犬麦谷の水量がある。 先にタツマの滝へ行って見ようと思って、遡行図を探してみたがない、 どうも忘れたらしい。 滝はどの辺にあったか、思い出さないので、ここから沢に入ってみる。
最初のぬめった3Mの滝は右から巻く。 しばらくはゴーロや小滝をたんたんと登って行く。
4Mほどの幅広滝を越え、しばらくすると二俣。 さて、どっちだろう、水量は左が多いが、右の方が沢幅が広く、本流に見える。
上を見上げると、左の沢には橋が見える。 やはり、たつまの滝は上の橋より上流だったのか、それでも下流を少し遡行したし、まあいいだろう、 右を登って見る。
橋を越え、少し登るとゴルジュになり、多段の滝がかかっていた。 水量は少なめで、4段の滝(5、3、2、8)になっている。
3段目で二つに分かれ、右が本流のようだ。
大分水量も少なくなったので、もしこの上にたつまの滝があったとしても、見てもしょうがない。 ここで、下り、林道に戻る。
林道を200Mほど下ると左俣のある橋に出る。 水量は右俣と比べ、大分多い。
多分、この沢がたつまの滝がある沢だろうと確信する。 沢を少し登ると、沢は右に曲がり、そこにたつまの滝の前段の滝が、落差15Mほどで落ちていた。
やっとありました、ここは右から巻き、小尾根に出ると、眼前に巨大な滝が糸を引くように落ちていた。 たつまの滝だ、かなり大きい。 丁度滝を見下ろすような尾根で、いい見物台だ。 滝壷にも簡単に降りられそうだ。
少し尾根を移動すると、上段の滝も見られ、全貌が姿を現わす。 みごとな滝だ、スラブの壁をすべるように落ちている。
しばらく写真を撮って、尾根から立ち木を利用し、ダイレクトに橋まで降りる。
林道を下って行くと、道路の真ん中に軽自動車がパンクして止まっている。 ドアを開けるとキーがついたままだ。 どうやってここまできたんだろう(この疑問はあとでわかる)。
さて、滝谷方向の分岐に出て、少し本流沿いに入ると、すぐに林道はおしまい、登山道に変わる。
歩き易い、沢沿いの道を緩やかに下っていくと、沢に出て、丁度本流と滝谷との分岐点にでる。
この辺から、日陰や沢沿いに残雪が見られるようになった。 少し沢沿いに入ると、沢は狭まり、ゴルジュ状になってきた。
おにぎり岩の手前で、今年初めての渓流足袋に履き変える。 沢は残雪の氷と奥多摩特有のぬめった苔で滑りやすい。
ゆっくり進むと滑の奥にF1・5Mの滝が出てくる。 ここは小さく巻き、しばらく行くと、F2・5M二条の滝が出てくる。 ここも左から小さく巻く。
やがて、少し曲がったF3・6Mの滝が出てくる。 ここを越えると沢は開け、大きく右に曲がる。
下ッ滝が見えてきた。 豪快に水を落とし、深いゴルジュとなった、井戸のようなところに落ちている。 しかし、周りに大きな木があるせいか、あまり暗い感じはしない。
空中を飛ぶ滝らしい滝だ、周りにはまだ氷瀑の一部が残っている。 ここで腹ごしらえをし、高巻きに力をそなえる。
ここは、滝を眺めるように小さく左から巻いていく。 すぐ上には両門の滝があり、沢に降りたところは下ッ滝の落ち口のすぐ上。
両門の滝が同じような感じの滝、同じような水量でY字状に合流している。 両門の滝を右から巻きながら登ると大きな桧があり、下ッ滝の落ち口がよく見えるところがある、 こんな風に落ちているのかと興味深い。
沢は大きく開け、庭園風になってくる。
正面の上の方に大きく落ちる上ッ滝が見えてきた。
大きな岩や石、大きな木、まるで中国山水画の世界のおでましだ。
上ッ滝は細い隙間のかなり上から落ちているので、状態はよくわからないが、2段になって落ちている。 下ッ滝のほうが滝らしい滝だったが、上ッ滝はそれとは異なり、周りの風景にあった滝だ。
ここまで来るのに以外と時間がかかってしまった。
しばらくすごし、来た道を下山にかかった。 出会いまでもどったのが3時半、今日はこれで終了しよう。
林道に出て、案内の看板を見ていたところ、小さな紙片が挟まっていたので見てみると、診療券とメモ書きがあった。 どうも、車を置き去りにした人間らしい。 それにしても最後に”たすけて下さい”と書いてあったので、一応警察に届けようと思い、それを持って林道を下る。
日も傾き、大分寒くなってきたころ、車に到着。 帰り際、日原の駐在に寄ると留守なので、電話をとり、青梅の警察と直接話すと”すわ、ばらばら事件と関連かそこに待ってて下さい” といわれ、駐在が奥多摩からくるまで待つ。 15分ほどで駐在さんが来たので、話しをすると、すぐに内容がわかった。 「ああ、この人は去年の暮れ、車でかってに入り、車がスタックして動けなくなったと同時にがけ崩れで戻れなかった人で今は家にいますよ」 といった。 たぶん、そんなことだろうとは思ったが、こんなメモは回収していけば問題ないのに。
おかげで30分のロスをしてしまった。 そろそろ花粉症も終わりだろうと油断したのがいけない、鼻水タラタラ、のどが痛い、今夜は眠るのが大変だろうな。

 車――犬麦谷出会――たつまの滝――滝谷出会――下ッ滝――上ッ滝――滝谷出会―――車

 7:30  8:00    10:25     11:25   12:45   13:45  15:30   17:10

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