丹沢・田代沢、無名沢


10月18日(土)快晴。
玄倉から田代沢、秦野峠、日影山、毛坊沢、玄倉、という予定で出かけたが、思わぬ失敗をしてしまった。
今回は、手抜きをしていたことが、多くのミスにつながり、予定外の山行となってしまったのだ。
玄倉に戻ってくるつもりだったので、玄倉から少し秦野林道に入ったところに車を置いて出発。
ゲート横から林道に入り、富士山なぞを眺めながら歩いていく。
最初の失敗、うろ覚えの田代沢に下る道を見過ごし、林道を300Mくらい登ったところで気がついた。
戻り、ガードレール横から、小菅川に降りる踏み跡を見つけ、あったあったと思い出し、川へ降りる。
飛び石で対岸に渡り、涸れ沢出会いから登る丸太階段の仕事道に入る。この道もかなり荒れてきた。
尾根を巻きながら登り、田代沢左岸沿いの道になる。
F1のゴルジュ帯を巻いて行くと、「ブーブー」と獣の声がする。
20Mくらい先を見ると、家族連れの猪3匹がおり、こちらの気配で逃げ出すところでした。
親は先に逃げ、子供1匹があとからあわてて走って行った。
逃げたのを見計らって、先に進み、連瀑帯の手前に降りる。
3連滝の最初の滝が、崖崩れで埋まり、小滝になってしまっていた。
F2、F3、の写真撮影し終ってから、また仕事道に上がり、F3・10M滝を巻いて登る。
仕事道は、連瀑帯の上の堰堤上で沢に降り終わる。
この上は広い河原になり、穏やかな流れになっている。
最早、滝というようなものは存在しないし、堰堤を越えていくだけの沢歩きになる。
林道直下の堰堤を巻くと、橋の上に出てしまった。
田代橋から眺める富士山は、裾野が広く、富士見橋とつけてもいいくらいの眺めだ。
さらに、堰堤だけの田代沢を詰め、秦野峠にでた。
橋から30分で峠に着くので、かわった近道として利用出来るだろう。
水は峠直下まであり、登りつめた所が道標があるところでした。
次の失敗、ここから日影山へ続く尾根を真っ直ぐ歩くつもりだったが、道標がなく、林道秦野峠への道に入ってしまった。
少し歩いたところで、こんな道じゃないなと気がついたが、そのまま歩き、林道秦野峠に出た。
ここにある地図を見て、林道を右側へ進んだが、道が下って行くのでおかしいと思い、また秦野峠まで戻る。

もう一度地図を確認すると、やはり合っている。日影山の入り口まではずーと登りが続くと勘違いしていた。
かなり下ったところで、最後に登りとなる。途中ガラン沢に滝が見えたので写真を撮って行く。
林道を3KMも余分に歩き、ようやく、日影山登山口がある、林道の峠に着いた。
反対の尾根を見れば、以前歩いたことのある、階段の入り口があり、この時点で2時を過ぎていた。
考えてみると、秦野峠の道標から南西へ登る踏み跡があったので、その道がここに出るんだろう。
一旦は、このまま林道を下って帰ろうと思ったが、2時間もあれば、玄倉横の毛坊沢に降りられるだろうと思い、日影山に登る。
急な尾根を登り、頂上に着いたが、見晴らしがない。
ここで、以前丹沢湖越しのダイヤモンド富士を撮影したことがあったので、その景色を確認してから下れば良かったのだが…。
そのまま、単純に西南の方向へ進み、西から、北西方向へ降りれば、堰堤だらけの沢に降りられるはずだった。
太陽が出ていたので、大体の方角がわかっていたため、磁石を出して確認することもなくがんがん降りてしまった。適当に方角を定め降りたが先が見えずどんどん下る。
水が出てきて、小さな滝も出てきた。一向に堰堤のある広い沢にならない。
少し、2,3Mの滝が続く、やがて前は落ち、大きな滝に出くわした。ロープを使い、滝下に出る。
10Mくらいの立派な滝だった。
さらに下ると、もっと大きな滝が出てきた。
左岸尾根から左側を見ると、本流らしき流れが見え、これが堰堤の続く毛坊沢かなあとも思った。
ここでまた失敗、枯れ木を掴んだところで、ポキと折れ、よろけて足元が滑り、突然の滑落、1M落ちたところで、偶然右手で切り株をつかむ。
足は宙に浮いていたが、これで滑落は止まった。
掴んだ切り株も枯れていたので、ゆっくり、足元を確保し、難を逃れた。
下を見れば、ほぼ垂直に近い、落ちれば、滝下へさらに5Mくらい落ちるところでした。
小尾根を降り、降りてきた沢の滝を、もう一度見に行く。
20Mくらいの滝でなんとなく、見たような気がする。30Mも下れば、本流だ。
さーて、玄倉あたりに、こんな水量のある沢があったかいな、と考えながら見回した。
沢沿いに山道があり、100Mも下れば舗装された林道に出る。
看板があり、八丁神縄林道と書いてあった。
しまった、南へ下り、皆瀬川沿いの林道に出てしまったのだ。
先ほど見た、20Mの滝は、過去見たことのある右岸枝沢の滝だったのだ。
ここで始めて現在位置を確認、時間は4時半過ぎ、もう戻るに戻れない時間だ。
たぶん繋がってはいないと思ったが、八丁神縄林道と書いてあったため、神縄方面へ登ってみる。
舗装からダートに変わり、工事の音がしてきた。
丁度作業が終了したところだったので、先の道を聞いてみると、少し登って尾根に出れば、大野山に出る道に出られるらしい。

八丁神縄林道と書いてあったが、林道の終点は大野山に繋がる予定だそうだ。
ここで、玄倉へ歩いて戻ることを決断していたら、山北くらいまで車に便乗できたと思う。
暗くなりかけた尾根を強引にヘッドランプを付けて登って見たが、カヤトの原にぶつかり、とても夜道、歩いたことのないところを突破するのは、やはり無理でした。
もう一度、暗い中を林道工事終点に戻ろうとしたが、なかなか戻れない。やっとのことで林道終点に辿りつく。
さーて、車の回収はどうしようか、思案のしどころ。
山道、登山道は歩けない、一晩ビバークして、大野山から丹沢湖畔に出るか、それとも、八丁から山北経由で玄倉へ戻るか。
工事の車とプレハブがあったが、どれもしっかり鍵が掛けられ、潜り込む余地はない。
山越えの直線は数KMだが、山北経由だと20KMを超えるだろう。
今日歩いた距離も含めると40KM近くにもなる。はたして歩けるだろうか。
ビバークの準備はないので、どのみち寝られることはない、天気は晴れの星空、よーし、一晩中かかっても玄倉まで歩いてみるかと決断、うまくすればヒッチハイクもできるだろう。
余分な歩きをしなければ、今頃山北近くまで行っていたものを、と思ったがもう遅い。
ヘッドランプを着けるともったいないので、星明かりを頼りに林道を下る。そのうち月も出てくるだろう。
財布は車の中、携帯電話は家の上着のポケットの中へ忘れてしまった。
県道八丁線を歩いていると、2,3台の車が後ろから山北方面へ抜いていったが、まだこの辺では、以外と歩ける。
山北近くになって、左足の調子が悪い。どうも豆ができたらしい(8時半過ぎ)。
途中、公衆電話があるも、10円さえないので、家への連絡は取れない。
山北から玄倉へのバスもとうに終わっていた。
旧246号を山西橋目指し、とぼとぼ歩く。
途中、左足の豆がつぶれたらしい、一歩一歩が痛い。旧道でも2,3台の車が通り過ぎる。
だんだん、右足でかばうような歩き方になるので、スピードも遅くなる。
やっと山西橋に到着、まだまだ先は見えない(10時半過ぎ)。
県道に出ると、大分車も通るようになってきた。
中川温泉からでも来たのだろうか、空のタクシーも通った。
しかし、持金0では、タクシーもなあと考え、たとえ車まで行って払えたとしても、財布には千円ちょっとしかないし、深夜料金ではむりだろう。
12時、神縄の自販機前で、最後の休憩、あと2.5KMだ、ようやくここまできた。
到着予定時間は1時ころになるだろう。
痛みをこらえ、足を引きずりながら玄倉目指しひたすら歩く。
1時前、ようやくゴールが見えた。
ザックのくいこみで肩が痛い、膝も大分痛くなってきた、もう限界だなあ。
玄倉商店前の公衆電話はカード専用で使えない。
山北の公衆電話から、家に電話した、1時半でした。
「ちょっとルートを間違って違う場所に下りたから、車まで時間がかかったのでこれから帰る・・・」。
と連絡、この時間帯は、皆起きているのだ。私は寝ている時間なのだが・・・。
午前3時、やっと自宅到着、バタンキューで眠ってしまった。
ちなみに、我が家の山行ルールでは、翌日の夕方までに連絡がないときに限って遭難届けを出すことになっています。

車――――日影山――八丁林道――車

8:05  15:00   16:20  0:55

 

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