寺入沢


ホームページで発見した資料に、寺入沢に大きな滝があったので行って来た。 今はほとんど雨が降ってないので水はあまり無い。しかし、水量は豊富と あったので、期待しながら出かけた。
地形図を見ると滝記号は無い。水が豊富というからには、道志川本流に近いところでなければ ならないのに堰堤しかない。とりあえず、調査かたがた行って見よう。
青野原の町に入り、旧道に曲がると、水音がすぐしてくる。
車を止めて沢の様子を見ると、あまり水量はないが、まあまあの沢がある。 これが寺入沢だろうと思い、車に戻り、地図上の細い沢沿いの道をを探す。
1、2回道に迷い、ぐるぐる廻わったが、酒屋の横の細い道を適当に入って行ったら、 林道にでた。
民家が途切れ、看板があり「この先林道のため通行不可能」とある。 しかし、車を止めるところがないので、かまわず林道を奥に進んだ。
しばらく行くと、路肩に止められる場所があったので早めに駐車する。 ここで沢に入いる支度をし、歩き始める。
歩き始めるとすぐ大きな看板があり、ほたるの宿と書かれている。 さて、まだこの先に宿でもあるのかなと思いながら林道を進む。
下には時々水面が見えるが、あまり水音が聞こえてこない。 さあ、滝はどこだと思いながら進むと、沢に降りるような小道が出てきたので下へ降りて行く。 出たところは、丁度沢が二俣になったところで、左上には廃家が見える場所だ。
この付近、前後すべて滑になっている。 ここは水量の多い左俣に進んで行く。 ここからは、すべて茶褐色の滑床が、アスファルトの道のように続き、まるで水の道を散歩しているようだ。 ゴーロ区間は一つも無く、水もくるぶしくらいで、非常に気持ちいい。
丹沢にしては珍しく、急でもない流れが続く。 子供と手をつないで、散歩したいような滑と水の流れだ。 今は渇水であまり水が無いが、多少水が出ても変わらないだろう、それほど穏やかな沢である。
気持ちのいい滑をどんどん行くと、途中一カ所、ヤマメの大きな姿を見た。 帰りの格闘を楽しみにして進み、気持ちのいい滑をどんどん行くと、初めての堰堤(5M)が出てきた。 ここは右から越える。
しばらくして二俣になる。 左のほうが水量が多く、奥に滝が見えるが、右を探索の気持ちで入って見る。 すると、突然大きな鼻息が上の方から聞こえびっくり、 鹿の声でもないし、熊かもと思い、あわてて立ち止まり、回りを見回した。 何も姿は見えない。
近くの石を拾いまわりに投げてみる。 何の反応もない。
少しして、おそるおそる周りと先を見ながら進むと、右俣はすぐ水がなくなった。
また二俣に戻り、滝の見えた左に入いる。 ここは滝が連瀑となって見える。2M、4M、2M、4Mと続く。
水量も少なく、割合簡単に登れる、唯一の滝場。 この上は、大分水も少なくなって来たので、また滝を巻いて降りながら、 二俣に戻る。 先ほどの鼻息は何だったのだろう。いくつかの真新しいケモノの足跡があったが、 ひょっとしたらイノシシだったかも? それにしても寺入の滝は何処だ? 水量から想像しても、もっと下流だなと思う。
また滑の散歩を楽しみながら、来るとき見た、ヤマメのところでザックを置く。 さあ手で魚取りの始まりだ。 水深は30cmほど、水が非常に気持ちいい。 10分間の格闘の末、石の下にいたヤマメを捕まえた。 20cmくらいの腹の太った、綺麗なパールピンクをしたヤマメだ。 帰って夜の酒のさかなにして食ってしまった。
滑道を元に戻り、最初の二俣まで戻る。 右はどうなっているのかなと思い、少し入って見る。 右側も滑が続き、すぐ5Mくらいの滝が出てくる。 この辺は子供と遊べる楽しそうなところ、滝は滑り台のようになっている。 この滝を真ん中から越え、上に行くと、沢沿いに近くなった林道が見える。
水も少なくなり、人臭さも出てきたので、また二俣まで戻る。 遊ぶなら5M滝から下流と、二俣前後がいい。 ここから寺入りの滝を探しながら沢を下る。
少し下ると、2Mくらいの堰堤と丸太の橋があり、ここで取水している。 脇から上がって見ると、下流がわの田圃のようなところに水が引いてある。 脇を通ってみるとなるほど、蛍の宿の正体がわかった。 ここでカワニナを養殖していて、この付近にほたるを舞わしているらしい。 6月末あたりは乱舞したのかな、と周りの景色をみながら想像してみる。
さらに下ると、左上に、林道入り口にあった民家が見えてきた。 この辺から先になると、沢も少し変な匂いがしだし、何件かの生活排水が入ってくる。 旧道のトンネル(トンネルの中も滑)をくぐってもまだ、滝の気配がない。 ゴミがますますひどくなる。 冷蔵庫や空き缶はさておき、猫の死骸まで出てきた。 水の中を歩くのが憂鬱になってくる。
しばらく歩いていくと、前が切れて、堰堤か滝らしき模様になっきた。 上から覗くと大きな滝が二段になって落ちており、やっと寺入の滝を発見した。 場所から想像すると、旧道と新道の中間あたりらしい。
滝上には一件の民家があり、水を引くホースや、ゴミの釜やバケツが散乱している。 滝の周りを観察すると、右岸は絶壁になっていて左岸も急な階段状の深い谷を形成している。 さて、どうやって下へ降りようかとルートを探すが、簡単に行けそうなところがない。 左岸が立木を利用していけば何とか降りられそうだ。 立木とロープを利用してぎりぎり下降することが出来た。
この間、民家の犬が「わんわん」吠えてうるさい。 汗だくで必死になって降りているのに。 中間で上部の滝の写真を撮り、下まで降りて下部の写真と全体写真を撮る。 水は綺麗とはいえないが、滝は非常にすばらしい。 水があまりないので滑状だが、それでも美しい。 こんなに人里近くに大きな滝があるとは、通常の水か、水量の多いときは瀑水だろう。 それにしても残念なのはゴミと生活排水である。
少し整備すれば立派な観光の滝に変身するだろう。 滝の下は直角に曲がり、出口は両サイド垂直の壁。
しばらく下らないと、上に上がる道が見つからない。 少しして、植林が見え、上がれそうな尾根が見えてきたので、そこを登ると、 踏み跡から山道になり、旧道の道路にでた。
道路から滝そのものは見えなく、人家に近いわりには、滝周辺は一般の人が近づけるような 雰囲気なところはない。 そこに大きな滝があるとは想像しにくい。
おそらく、この付近の住民の人も、滝を見たことのある人は少ないだろう。 それほど、以外と険しいところにあるのだ。 今日の収穫は、大滝と丹沢にしては珍しい緩い滑の続く楽しい沢だった。

 車―――沢二俣―――4M滝――――寺入ノ滝―――車

6:15 6:25  7:30   9:30  11:20

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