山梨・醤油樽、一ノ沢、大塚の滝


9月14日(日)〜16日(火)。
まとまった休みが取れたため、山梨へ遠征の旅に出た。
天気予報を眺めながら、日曜日の早朝出発。走行中は小雨だったが、山梨県に入ると晴れてきた。絶好の滝日和だ。
今日は、軽いところで、醤油樽の滝を見に行く。
富士見町から原村に入る。途中、予定していた道路が、マラソン大会で入れず、県道17号を真っ直ぐ進む。
三井の森を通り、夏沢鉱泉に向かう林道に入った。
醤油樽入り口の白杭があるところに車を止め、河原木場沢沿いの遊歩道に入る。
以前来たとき、醤油樽の滝に至る道は、ほとんど獣道だったが、梯子やトラロープで整備され、一般の人も行けるようになった。

あまり気にしないで、醤油樽の滝めざし、たんたんと歩いていたら、滝手前で壁にぶつかってしまった。
前と同様に登ったため、左岸の岩下に出てしまったのだ。
対岸を見ると、滝下に降りるアルミの梯子が見えた。
ここから沢に降りるには、10Mの懸垂下降が必要である。
垂直に近いため、ちょっと腕力だけで降りるのは無理。
丁度、虹が出ていたので、横からの醤油樽を撮る。
もう一度岸壁基部まで戻ったら、なんてことはない、沢を渡る木橋があった。
右岸沿いに、トラロープで整備された道を辿ると、梯子の上に出た。
この道も沢登りで使用されていたような道で、梯子が無くても、降りられそうだった。
とはいえ、今までは、一般の人が来れる世界ではなかったことだろう。
ここまで、運動靴で来れるのは嬉しい。
快晴の空の下、落ち口に青空が見える。被った岩を背景に、不思議な空間だ。
周囲には、ブルーのトリカブトの花が咲き乱れている。

石楠花の木もあったので、その季節になれば、いい前景となるだろう。
直射日光に当たる滝と、曇った時の滝を交互に収め、滝下を後にする。
滝撮影の天候としては、バッチリで満足満足。
今日は、ここのみで、宿泊予定の道の駅白州に向かった。
道の駅白州は、前進基地としては最高である。スーパー併設で、美味しい水がある。
車を止める場所を決めたら、早速ビールの買出しだ。
夕飯は、半額になるまで待つため、後にし、それまでゆっくり、酒を飲む。
明日以降の天気はどうだろう、予報によって、行動を変える予定だ。
夜半、激しい俄雨の音がした。車の中はなかなか熟睡できない。
いつものように、ラジオ深夜便を聞きながら、うとうとしていた。

15日(月)くもり。
早朝、中秋の名月が輝いていた。なんとか天気は持ちそうだ。
甲斐駒の頂上がモルゲンロートに輝いている。
出発時はべた曇り、予報は今日一日雲りで、雨は降らないとのこと。
予定通り、大武川支流の一ノ沢へ向かう。
この沢上部には、一ノ沢大滝と呼ばれる滝があるらしいが、冬季の氷瀑登攀記録のみで、夏の遡行記録はない。
大滝とは、どんな滝だろうか、と興味もあるが、アイスクライムが出来る滝となると、通常水量はあまり期待できない。
ともあれ、行って見るしかないだろう。ゲート前に車を止める。
出会いが近いので、最初から沢足袋を履いて歩く。
旧道から、出会いまで行けると思ったら、橋桁は落ち、新しい砂防堰堤で道は分断されていた。
あんな大きな堰堤は越えることも出来ず、人面岩を撮影し、すぐすご新道に戻った。
出会いを眺めながら新道を歩き、次の堰堤作りに使用された道を使い、大武川を渡渉する。
そのまま、旧道を突っ切り、原っぱのような所を進むと、一ノ沢に出た。水量は、割合に多い。
出会いから堰堤4個が続く。3つは簡単だが、最後の堰堤は、ちょっと悪い。
錆びたワイヤーと細いロープを補助に右側を登る。
両岸は門のように立った岩壁で、高巻き出来るようなところではない。

しばらくは、2,3M級のCSの滝が続き、巻き道を選びながら辿る。
8M・二条の滝が出てきた。ここも、巨大なCSの滝で、巻き道に苦労する。
なんとか、滑らず木の根っこを掴むことが出来たので、かろうじて通過、ここを登れなければ、敗退の危機であった。
続いて8M・幅広の滝、6M滝、15Mの滝と出てくる。
ほとんどが、巨大なCSを持ち、ルーファイには苦労する。
二俣はどこだどこだと注意しながら登って行くと、沢は右に曲がり、またしてもCS・二段10Mの滝。
ここは同見ても、近くを登って通過することは、出来ない、敗退か・・・。
少し右のガレを登って見たが、落ち口付近が垂直で無理、さらに続く10M滑滝が見える。
屈曲点まで戻り、右岸のザレルンゼを登ってみる。
登りきってトラバースぎみに進むと、大木の根元に、懸垂下降用の捨て縄があった。
さらに進むと、丁度上の滑滝を巻いて降りるルンゼがあり、沢に降りることが出来た。
以外と簡単な巻きで、15分くらいで通過。
やがて二俣になる。ここが奥の二俣だろうか、よくわからない。
左俣に壁のような、立派な滝が落ちていた。
これはすばらしい、落差は30Mくらい、垂直に落ちる綺麗な滝だ。

この滝を見られたことで、ここまで来た価値がある。
右俣は水流が細り、出会いに10Mの滑滝、さらに続く15Mの滝がかかっている。
まずは、左の大滝をじっくり撮影する。
途中の滝と違い、大滝という風格がある。
右俣の滝上に一ノ沢大滝が続いてあるんだろうか。
とりあえず、右の出会いの滝を巻いて上に出ると、ゴーロになる。
さらに歩くと、また二俣になり、左に大きな滑滝が出てくる。
この沢が、大滝のある沢であれば、さらに上部数段続く大滝があるはずだが・・・?。
水は最早少ない、時間も押している。これ以上の探索はやめ、大滝下に戻り、昼食とする。
この二俣まで、撮影をしながらであったが、かなり時間がかかってしまった。
さて、下りはカメラをしまい、どんどん降りるだけだ。
二俣までは、三つのポイント箇所がある。
最後の堰堤の巻き、8M・CS滝の巻き、二段・10MCS滝の高巻き、である。
いずれも、沢登りの通過跡があり、それなりの細工がしてあった。
出会いまで戻ると、16時に近い、今日一日は長かった。
天候は高曇りで、雨はなく、まあまあの沢登り日和でした。
さあ、明日の天気はどうか、また道の駅白州に泊まる。
今日で連休も終わり、駐車場の車も大分少なくなってきた。
例によって、酒だ酒だ。疲れたせいか、途中で寝てしまった。

気がつくと、閉店10分前、あわてて買いに行くも、蛍の光が流れ、弁当類はすべて売り切れ、パンを買い、夕食とする。
小雨が振り出すと、一晩中雨になる、明日雨だったら、そのまま帰ろう。
浅い眠りから覚め、また深夜便を聞く、雨音がかなりする。
予報では、雨のち曇りのようだ。
朝方、雨脚が弱くなったので、予定通り、大棚沢へ行くことにする。
青木鉱泉へ行く林道に入り、鉱泉入り口をそのまま通過、さらに続く林道を走る。
薬師岳登山口までは、以前歩いたことがある道だ。
幾つかの分岐を注意しながら、登山口まで進む。
登山口からさらに、大棚沢方向へ林道を走る。
最後は、国土交通省のゲートが出てくる。
このころになると日差しが出てきて、もう雨の心配がなくなった。
ゲート前に車を止め、さらに林道を登って行く。20分ほど歩くと大棚沢に出る。
前方にグリーンに塗られた巨大な堰堤が見える。
堰堤の下を適当に石を選びながら、かいくぐって行く。
この沢の特徴は、10個くらいある堰堤の巻きとゴーロ歩きだ。
最後の堰堤を越えると、左岸に大きくガレタ涸れ沢が落ちている。
本流は岸壁に挟まれたところを左にまがり、左右ガレガレのところを登って行く。
新しいガレが多く、石がとがっているのと、浮石が多いので注意が必要だ。

上部を眺めると、大塚の滝の上部が垣間見えた。
両サイドの壁とガレが続き、その終点に大塚の滝は落ちていた。
空中を飛んでる滝で見栄えがいい。
手前に壁がボロボロの10M滝がある。
大塚の滝下へ行くには、なんとか手前の滝を越えていくしかない。
右の脆い壁を5M登りきることが出来ればいいのだが・・・。
少し掃除をしながら取り付いてみたが、最後の2Mが届かない。
壁はボロボロ、しっかりした足場とホールドがない。
たとえ登ったとしても、下ることが出来ない。
単独であるがゆえに、登ることは断念する。
滝自体は、ほとんど見えるので、それほどの残念さはない。
たぶん、下のドーム状の10Mくらいが、見えない程度だ。
直瀑部分が40M、下部ドーム状20M、トータル60Mくらいの滝だ。
直瀑が美しく、山梨の滝としては、上位ランクに入るだろう。
滝の撮影に1時間ほど没頭し、滝に別れを告げた。
壁の入り口まで戻り、水を探すと右岸の壁からしみ出す水を見つけた。
美味しい水を飲みながらおにぎりをいただく。
登ってくるときは、最後の堰堤を左から登ったのと、ガスが出ていたので気が付かなかったが、堰堤の右に寄ると、大滝の上部が見えた。
下りは、堰堤作成時の道をなるべく選びながら歩き、時間短縮を図る。
この沢は、水に濡れずに歩くことも出来るが、沢足袋を履くと気持ち安心感がある。
さあ、これですべての予定行動は終了、夕方には家に着けるだろう。
帰路はガタガタ道を避け、舗装された林道を韮崎まで下った。
巨砲をみやげに、帰途に付く。

車――一ノ沢出会――二俣――――――車

6:55  7:30  12:00(12:30)  16:20

 

車――大棚沢出会――大塚の滝――――車

7:50  8:10  11:00(12:00)  14:10

 

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