槍ヶ岳に沈む月


28年9月17日(土)くもり。
どうしようかなあ、行くのはやめようか。
どうにも天気予報が良くない。しかしその場にいなければ、結果はわからない。
槍ヶ岳に落ちる満月を狙ってるんだが、1年に一回チャンスがあるかないかだ。
やっぱり、だめもとで行こう。
ゆっくり出かけ、半分は一般道、碓氷峠越えは高速を使う。
目的地の場所は東御市の山の中、その場所まで行けるかどうかロケハンも必要だ。
月は毎年大きく変動し、同じ場所がない、事前にカシミール3Dで確認し、車で入れそうな所を探す。

今回は月没と日の出の時間がほとんど同じ、理想的な時間だ、今年はこれ以上の場所は見つからない。
東部湯の丸インターで降り、目的の場所を目指す。
地形図では林道があるように見えるが、実際は林道か歩ける道かどうかはわからない。
道路の終点に着いたがそれらしき道はみつからない。
近くの民家にいた人に地図を示しながら道を訪ねると、どうも私有地で許可がないと通過出来ないらしい。
他から行けないか聞くと、下から登山道沿いに林道があり、ギリギリではあるが行けるらしい。
烏帽子岳登山道に着くと、ブルが入って作業していたため、入り口からの偵察にとどめ、本日はコンビニ目指し下る。
さあー、今日の寝場所を探さないと。
カーナビで近くの道の駅を探すと6K先にあった。
道の駅雷電を今宵の宿泊地に決め、酒と夕食を買いこみ、行く。

県道沿いの道の駅で、南側は高速道路だ。
なるべく静かで、照明があたりにくい所に車を止め、早速芝生のテーブルで一杯始める。
天候は曇り、かすかに夕日の一部、満月がありそうな場所の光が見えた程度で絶望的。
ラジオ深夜便を聞きながら目覚め、4時すぎに道の駅を出る。
登山道入り口から続く林道をゆっくり走って行く。
十字路までは普通の林道、そこからは軽自動車がやっと走れる道になり、路面も悪くなる。
烏帽子岳登山道Cという場所を過ぎるとさらに悪くなり、真ん中に伸び放題の雑草、倒木等も出てきて、そろそろ通行不可能。
車を止め、ヘッデンを着けて先の林道を歩いてみる。
林道は続いているが、見晴しがきく所がなく、パラボラアンテナがある場所に出た。
さらに歩くと、昨日確認した行きどまり道近くの民家らしい明かりがチラチラみえてくる。
結局、林道から見晴しがきく場所はなかった、ミッションは失敗だ。
月明かりも見えず、しょうがないか。
明るくなってきた林道を下り、舗装道路に出ると、朝もやにつつまれた浅間山が綺麗に見えている。
さらに少し下ると、曇り空の水平線に槍ヶ岳の姿が見えるではないか。
なんと、山中でもなく、民家近くの畑の先に槍や穂高の稜線が見えているのだ。
しかしながら、おそらく、月没は見られなかっただろう。
少し証拠写真を撮り、下るとすぐに霧や雲の中に山の姿は消えて行った。
槍ヶ岳が見えただけでも収穫としよう。
満月は難しいなあ、土地感もないしね、ここ数年で成功は2回のみ、次は日没を狙おうかな。
一気に群馬まで下り、地元に帰った友人の家に寄り、夜は久しぶりの一杯会をやり、一泊して帰る。

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