槍に刺さる月


11月28日(水)、29日(木)晴れ(長野県松本市)。
槍に刺さる月、今年4回目の挑戦だ。今まですべて敗退である。
もう雪が降る季節、これが今年最後だと思いながら、休暇を取り出かけた。
天気予報はあまりさえないが、満月は待ってくれない。
ビーナスラインは26日から通行止、麓をさがすしかない。
28日は松本市郊外入山辺付近、29日は扉温泉近くの予定だ。
行って見ないと見られる場所があるかどうか分からない。
大分寒くなってきた、寒さ対策も十分考えていかないと。
当初、夕食後すぐに出発しようと思ったが、寒い中、寝不足になるよりましと思い、仮眠してから出ることにした。
4時間仮眠、午前0時すぎ出発する。神奈川の上空はさえない天気、はたして、早朝晴れるだろうか。
高尾山インターから中央道に入り、ひた走る。山梨県の天気もあまりいいとはいえない。
諏訪湖サービスエリアで休憩して、空の状態はどうか眺めてみる。

なんとか月は見えているが、かなりの雲があるようだ。
塩尻トンネルを越え、みどり湖パーキングエリアで時間調整しながら、最後の空確認。
なんと、快晴の空に、煌煌と月が輝いているではないか。
これは、チャンス、安曇野の空は、大丈夫のようだ。
塩尻北インターで高速を降り、ナビを頼りに、真夜中の道を走る。目的地近くの場所に着いた。
田園地帯の向こうには、月光に照らされた、北アルプスがうっすらと見えていた。
月は輝き、雲一つない空のようだ。周辺をゆっくり走りながら、ベストポイントを探してみる。
ちょっとした民家がある少し上の道路から眺めがよさそうなので、ここに決めた。
当初決めたポイントとほとんどずれていない。
まずは、電線や木の枝など、ひっかかるものはないかとヘッドランプで周辺を確認する。
近くに霜で覆われた、一台の車が路中していた。
てっきり、下の民家が少し離れたところに止めていたと思っていたが、近くに行ったら、「ゴホン」と人の声がした。

どうやら、同じ目的の人がいたようだ。
少し、離れた道路上にカメラをセットし外気に慣れさせる。非常に寒い、かなり冷えているようだ。
なんとか槍と常念の位置を8秒露出で捉えた。これで方向は大丈夫。
まだ少し時間があるので、車に入りエンジンをかけて温まる。
月没予定の10分前になったのを確認して、カメラの位置に立つ。
どうやら前の車の人も近くにセットし待気しているようだ。
月を何回か撮り、露出を確認する。だんだん月が落ちてきた。
ぎりぎりらしい所で、露出オーバーぎみに撮る。
さあ、少し槍の影がかかってきた。どんどん落ちる、時間との勝負だ、リモコンで10秒おきくらいに撮っていく。
あっというまの2分間でした。ほっと、ため息をつき、モニターで再生してみた。
なんとなく月のピントが甘い、まあそれでも、やっと初めて捕らえた画像に満足でした 。
車に戻り再び冷えた身体を温める。前の人とは、言葉も交わさなかったが、撮影後すぐに下って行った。
おそらく、地元の人だろう、通勤前の時間だから、すぐに自宅へ戻ったのだろうか。
空も少し明るくなってきた、朝食後、朝日が当たる槍ヶ岳を目指し、近くにある林城跡へ行ってみた。
氷った落ち葉の道は少しスリップする、道路は少し凍っているようだ。
城跡からは、松の木がじゃまをして、見晴らしのいい場所がない。

なんとか、木々の間から、かろうじて槍ヶ岳が見える場所をみつけ、日の出を待つ。
槍ヶ岳が赤く染まってきた、だんだん常念にもあたり、いい感じになってきた。
しばらく、早朝の槍と常念を撮り続けた。
さあ、これで第一段階は成功、明日の満月の本命は果たしてどうなることやら。
今日は快晴、1日やることがないので、暇つぶしはどうしようか。
まずは、明日の場所のロケハン、扉温泉方向へ向かう。道路は凍結もなく、まだまだ安心して走れる。
地形図を見ながら、目的の場所に上がったが、当初予定の場所は木々がじゃまをして北アルプスを望むことが出来ない。
少し場所を100Mくらいずれた場所にいい位置を見つけ、明日の撮影場所に決めた。
今日は快晴、1日やることがないので、暇つぶしはどうしようか。
とりあえず松本市内に向かい、松本城へ行ってみる。
市営駐車場に車を止め、松本城の周りを一周しながら、標準レンズは忘れたので、望遠レンズのみの写真を撮る。
次にスーパーはないかと少し車で走ったら、イオンを見つけたので、食料と酒の調達をする。
あとは、特に行きたいところもなし、温泉へ入り時間つぶしをしよう。扉温泉にある日帰りの湯に向かう。
桧の湯は300円で、石鹸、シャンプーはなし、ゆっくり温まるだけだ。
以前、一度だけきたことがある、確か、美ヶ原から降りてきて湯に浸かったことがあったことを思い出した。

外の露天風呂はぬるいので、肩まで浸かっていないと寒い。地元の人と1時間ほど世間話しをしながら、のんびりしていた。
外の風は冷たい、日光があるから、まだいいけど、曇っていれば、とても長くいられない。2時間ほど、時間をつぶした。
さあー、あとは、車でゆっくり夕方まで昼寝をしていた。
4時すぎ、目的地近くまで車で入り、早速飲み始める。5時すぎには寝てしまった。
目を覚ますとまだ8時半、もう一度うつらうつらしながらすごす。
0時すぎから、ラジオ深夜便を聞きながら、煌々と光る満月を眺めていた。
確か今日、半影月食があったはずだが、寒いのでパス。
今月の深夜便の歌が”同じ月を見ていた”だった。なんと偶然なことか、なかなかいい歌(谷山浩子)でした。
時々雲が飛ぶが、明るい満月はズーと輝いていた。
ここから北アルプスは見えないが、果たして地平線近くは、どうだろうか。
少し明るくなってきた6時すぎ、支度をして、ポイント地点まで歩く。
上空は快晴だが、残念ながら、北アルプスも月も見えない。山の上には、分厚い雪雲がかかっていた。
月没まで待ったが、ついに、月も山も姿を現すことはなかった。
本命の今日が、一番見たかった景色だったが、また、来年にトライしてみよう。
それでも、前日は完璧に見られたので、成功率は40パーセントくらいかな。
一路帰宅の途についた。

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