-ゴスドラマ過去ログ:26501-26600-
村上てつや「あの様子だと、俺達を助けるためだと思うぜ。俺達にこれ以上手を出さないことを条件に・・・。」
黒沢カオル「そんな…!…やっぱり…やっぱり、身分の前じゃぁ人間は無力なのか…?!」
安岡優「・・・お陽さん、言ってたよ。旦那の・・・足手まといに・・・なりたく・・・ないって・・・。」
村上てつや「ヤスっ目が覚めたのか?!まだ動いちゃダメだぞ!!」
安岡優「ははっ、大丈夫・・・だよ。て、てっちゃん・・・心配性だからな・・・。」
酒井雄二「村上さんじゃなくても心配しましたよ!…とにかく、ヤスは安静にしておいてください。これ以上寿命がちぢむのは御免ですから。」
村上てつや「自分のことも大切にしろよ、な。」
安岡優「うん…。ありがと…。」
村上てつや「ったく・・・」
安岡優「ごめんね…。」
酒井雄二「で、旦那どうするつもりなんですか?お陽さんを取り返すのは今しかないですよ!!」
黒沢カオル「でも一体どうすれば・・・。」
村上てつや「お陽さんが嫁にいったからって、小林たちが俺らのこと生かしといてくれるとは思えねぇよな。」
ナレーション「同じ頃小林の屋敷では・・・。」
田辺恵二「上手くいきましたなー。お陽さえ手にいれれば、あの呉服屋はこちらのもの。」
小林社長「ふっふっふっ。最初から大人しくこちらの商談に応じていれば、こんなことにはならなかったのにな。これで北山の金はわしらのものだ。あとはあのうるさいハエたちを消すだけだ。」
北山陽一「え・・・?消すって???私が大人しく小林様の妻になれば、あの方たちを助けて下さるっておっしゃったではありませんか!!!」
田辺恵二「あいにく、世の中そうそう上手く物事は進まないものなのですよ・・・(悪人笑い)」
北山陽一「そんな…(黒澤様…)」
黒沢カオル「『必ず助けるからね』」
ト書き「フラッシュバックで、北山の脳裏に黒沢の顔が過る。」
北山陽一「私はあなたに助けられてばかり・・・。」
ト書き「隠し持っていた短刀を取り出し・・・・」
北山陽一「ならばせめて敵の数だけでも減らしておくのがお陽の最後の役目・・・・」
田辺恵二「なにをする?!くっ!!」
ト書き「短剣を持った北山が小林ろ刺そうとしたが寸前で田辺に手刀で落とされてしまった。」
北山陽一「あっ」
田辺恵二「この女、おとなしいとばかり思っていたが・・・。殿、いかがなさいますか?」
小林社長「う〜ん、殺すには惜しい女だ。事がすむまで地下牢に閉じ込めておけ!あとでたっぷり・・・ふふふ。」
北山陽一「(やはり私は役に立たないの?足でまといなの?)」
安岡優「「そんなことないよ!少なくとも黒沢の旦那はそんなことおもってないよ」」
ト書き「地下牢から初めて逃げ出した時、安岡からの優しい言葉に心を和らげた北山だった。しかしそれはもう彼女にとってはなんの安らぎも与えてくれなかった。」
北山陽一「せめて、せめて・・・!!」
黒沢カオル「なんだか・・・嫌な予感がする・・・。急ごう!!」
ト書き「安岡をバリK〜んに任せ、再び小林の城にきた3人。不意に黒沢が立ち止まり周りを見渡した。」
酒井雄二「あっ!あすこに人が!!」
村上てつや「もしかしてあれは・・・お陽さんか?!」
ト書き「見上げると城の屋根端のところで今にも落ちそうな北山。それをあざ笑うかのように追い詰める田辺と小林がいた。」
黒沢カオル「くっ!!早く行かないとっ・・・。お陽ーーーーーーーっ!!(叫ぶ)」
北山陽一「黒沢様・・・最後に一目お会い出来てお陽は、お陽は嬉しい・・・。さよなら・・・。」
酒井雄二「うわっ!飛んだぞ!!」
村上てつや「下は堀だっ!!助かってる可能性が高い・・・急ぐぞ!」
酒井雄二「旦那、急いで!!」
黒沢カオル「お陽…必ず助ける…!」
ト書き「その場に居た殆どが、掘へ駆け寄った。」
酒井雄二「くっ…濁りに濁って…、泥の方が、比率としては多いやもしれません。」
ト書き「堀を覗き込んで、酒井はそう判断した。」
黒沢カオル「…浮かんで、来ないかも知れないって事か?」
酒井雄二「はい。だけど…沈むに時間がかかると言う事も、それに付け足しておいて下さいな。可能性は、考え付く分だけ存在するんですからね。」
村上てつや「固まって捜すよりも、分かれた方が良いな。 おい、黒沢。お前は向こう行っとけ。」
黒沢カオル「無事で居てくれお陽・・・・・」
ト書き「村上は、黒沢の肩を叩き促した」
村上てつや「気絶してればいいんだが…。」
北山陽一「(く、黒澤様・・お陽はいつまでも彼方を愛しております・・・・)」
ト書き「意識が朦朧とする中でお陽は心の中でそう叫んだ。」
酒井雄二「あっ、あの手はっ!!旦那ーーーーーっ、いましたーーーーー!!」
黒沢カオル「お陽!!」
北山陽一「(…最期に、声だけでも聴こえたのは…幻聴だとしても…。」
黒沢カオル「お陽、待ってろ!今行くからな、気を持て!!」
ト書き「ゆっくりと水中へ呑まれていく身体が、止まった。」
黒沢カオル「お陽、無事か?お陽、黒沢だ、黒沢薫だ!」
北山陽一「(…黒沢様…?)…黒沢様!!」
酒井雄二「…アンタ、飛び込んじゃいけませんよ。脚もつかないし、一人じゃ這い上がれないんですから。」
ト書き「着物の裾を掴んでいる酒井が、感動的な場面を打ち壊す…勢いの発言をした。」
黒沢カオル「酒井、そのまま引っ張ってくれ!」
ト書き「濁った水を滴らせた、北山の身体が引き上げられ3人は各々安堵の息を吐いた。」
北山陽一「けほけほっ…はぁ…。」
黒沢カオル「大丈夫か…?痛いとこ、無いか? …無茶するんじゃ無いよ、ホントにもう。」
北山陽一「黒沢様…お陽は、お陽は…。(涙)」
黒沢カオル「僕がついてる…お陽は誰にも渡さない!」
村上てつや「どうするんだ、黒沢・・・。」
黒沢カオル「お陽を連れて・・・先に帰っててくれ・・・。俺は・・・小林を許さないっ!!」
酒井雄二「旦那を置いて帰るなんて、できっこないですよ!!」
黒沢カオル「お前ら…。」
北山陽一「黒沢様…いいえ、カオルさん…もういいんです…私のために危険な目にあわないで…!」
黒沢カオル「・・・いつも泣かせてばっかだな、俺は(苦笑)お陽、笑ってくれ・・・俺はお前の笑った顔がすきなんだ(微笑)」
村上てつや「・・・死ぬつもりじゃないよな。俺はそんな気持ちで行くならゆるさねえ!」
黒沢カオル「…わかった。今日は、いったんひきあげよう。」
酒井雄二「アナタが1人行ったら安がどんな顔するか…さあ、帰りましょう。」
ト書き「そして一行はバリの屋敷へ向かった。」
DJバリ"K"〜ん「お帰りなさい…ってあらあら、黒沢の旦那も呉服屋のお陽さんも泥だらけで…。」
安岡優「どうしたの・・・?もしかして黒沢の旦那ってば足滑らして堀に落ちたとか…?」
村上てつや「いつもだったらそうだけどな…。お陽さんが堀に落ちたから助けたんだよ…。」
黒沢カオル「バリさん、浴場を貸してくれないか?」
DJバリ"K"〜ん「良いですよ、裏にありますから。」
黒沢カオル「ありがとう。お陽、先に入っておいで。」
北山陽一「あ…はい。お先に失礼します(微笑)。」
ト書き「北山の足音が遠ざかる。重い沈黙を破る様に安岡が口を開いた。」
安岡優「黒沢の旦那も一緒に入れば良かったのに〜。・・・ねえ、本当に何があったの?堀に落ちたとかなんとかって・・・ちゃんと説明してよっ!仲間なんでしょ?俺は!!」
ト書き「最初はちゃかしていた安岡だが、口を割らない3人に勢い込んで捲し立てた。」
酒井雄二「ちょっ、ヤス興奮しない!ほらちゃんと布団に入って・・・。」
村上てつや「黒沢・・・お前の口から説明した方がいい。お前もそう思ってるんだろ?」
黒沢カオル「うん、そうだね。・・・安岡、興奮しないで聞いて欲しいんだ。実は・・・」
ト書き「黒沢は自分達を助ける為に北山が飛び降りたことを話した。」
村上てつや「とにかく。今言えるのは…何時この屋敷に城の斬り込み隊が来てもおかしくねぇって事だ。」
酒井雄二「今日は俺らで寝ずに見張りか・・・・・?」
村上てつや「そういう事になるな。…それに、ヤスが田辺んとこに決着付けに行くかもしんねぇし(苦笑)。」
安岡優「そっか・・・。」
DJバリ"K"〜ん「どうかしましたか?」
安岡優「うん・・・さっき夢見たんだ・・・俺。」
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