-ゴスドラマ過去ログ:26601-26700-
黒沢カオル「夢?」
安岡優「凄い鮮明だった…。」
酒井雄二「どんな夢だったか、話して頂けないですか?」
安岡優「俺の周りに、昔の仲間がいっぱいいて…みんな急に倒れていって…血を流してさ。で、俺だけ…死なない…。みんなは…仲間は…俺を見るんだ…『お前のせいだ』って…言って…!」
ト書き「そこまで言って、安岡はいったん言葉を切った。あふれ出る感情を抑えるかのように…。」
村上てつや「ヤス…。」
黒沢カオル「なぁ、そこまでお前を苦しめてる”約束”って何だったんだ?」
村上てつや「旦那…!!」
安岡優「良いよ、てっちゃん…。」
村上てつや「けど、ヤス!あれは別にお前が悪いんじゃない…アイツだってそう言ってただろ。誰もお前を責めちゃいないんだ。」
安岡優「俺のせいで…俺のせいで竹内は…。」
酒井雄二「…竹内?」
安岡優「…簡単に言うと、今の黒沢の旦那に近い状況だった…」
酒井雄二「というと…?」
安岡優「大切な人を守ろうと1人で勝手な行動を取った…それの犠牲になったのが竹内。」
村上てつや「もういい、ヤス。それ以上は…。」
安岡優「いや、俺は言わないといけない…!」
村上てつや「それ以上言って何になる?」
安岡優「今ここで言わなかったら…俺また…!だから…ケジメを付けたい。」
DJバリ"K"〜ん「村上…お前が思い出したくないのも分かる、けどヤスの気持ちも察してあげてくれ。」
安岡優「竹内も大切な人をも失って…。大切な人はてっちゃんの大切な人でもあった、だから本当はてつも憎いんだろ?」
黒沢カオル「村上にとっても大切な人…?」
酒井雄二「ちょっと待って。黒沢の旦那にはまだ人間関係を話していなかったな…」
安岡優「俺とてつは幼馴染…竹内も。」
酒井雄二「ちなみに俺はヤスと同じ武道の稽古場に居たって訳です。」
安岡優「稽古を一緒にやっていた仲間とてつの仲間、合わせて20人で何でも屋をやっていた。」
黒沢カオル「そうだったんだ…知らなかった。」
村上てつや「……。」
安岡優「それで…ある日、俺達に一つの依頼が来たんだ。」
黒沢カオル「依頼?」
DJバリ"K"〜ん「【ある1人の娘さんを守るように】・・・でしたね。」
安岡優「その娘の名前は『お鈴』…俺達の、幼なじみだ。」
村上てつや「お鈴の事は言うな…」
安岡優「俺もてつもお鈴の事が好きだったんだ…。」
村上てつや「やめろ!」
酒井雄二「…村上さんも、ケジメをつけましょう…。仲間の間に隠し事はなしでしょう…!」
村上てつや「俺はどうも思っちゃいないさ!勝手にしろ!」
ト書き「言葉を吐き棄てると村上は外に出てしまった。」
DJバリ"K"〜ん「村上もまだやっぱり辛いんだろう…。」
北山陽一「…村上様の気持ちも私はわかります…。」
黒沢カオル「お陽!」
北山陽一「ごめんなさい…盗み聞きをするつもりではなかったのですが…。」
安岡優「良いよ…。俺は1人でお鈴を助けようとした、守ろうとした…けどその時、たくさんの山賊に囲まれて…。」
ト書き「安岡の脳裏の中に、その瞬間がリアルに描き出されていく。」
安岡優「竹内とてつが駆けつけてきた時にはもうお鈴は連れ去られてて…俺もとどめを指される所だった。」
黒沢カオル「もしかして…安岡の身代わりにその竹内と言う男が…?」
安岡優「…俺がてつの言う事を聞いて、大人しく屋敷でお鈴と居れば良かったんだ…隣の町に逃げようなんて考えなければ…。」
酒井雄二「その事件後”何でも屋”をみんなが辞め…残ったのがこの3人と言う事です。」
黒沢カオル「安岡の気持ち…わかる。大切な人をなんとしてでも守ろうって…。」
安岡優「俺はそんなに良い人じゃない…!…俺はてつからお鈴を奪おうとしたんだ…。てつとお鈴はお互いに思いを寄せていた…お鈴の気持ちも知っていたのに…俺は…。」
北山陽一「…安岡様…。」
黒沢カオル「だから村上は思い出したくなかったんだ…。けど、村上は安岡を『恨んでない、憎んでない』と言ってただろ?」
酒井雄二「そうじゃなかったらこうやって3人で今居ないと俺は思う…。」
北山陽一「私、村上様の所に行って来ます…村上様の事は私に任せて下さいませ。」
ト書き「安岡にニッコリ微笑むと村上の居る外へ北山は出た。」
安岡優「(…俺は…どうすればいい…?俺は…俺は…!)」
北山陽一「…村上様!?」
村上てつや「あっ、お陽さん…外は危険です早く中へ。」
北山陽一「ちゃんと黒沢様の許可を貰いました…村上様なら安心だからと。」
ト書き「優しく微笑むと村上の隣に座る北山。」
村上てつや「…ヤスに俺を説得しろって言われたんだよな?俺は…なんでもないから…」
北山陽一「いいえ、違います…私は村上様と少しお話がしたいなと。」
村上てつや「それはそれは、光栄です…で、何を?」
北山陽一「何でもないから…って何がなんでもないんでしょうか?」
村上てつや「へっ?」
北山陽一「好きな人を失う事は何でもない事ではございません…。」
村上てつや「もう、昔のことだ…何でもないよ」
北山陽一「私は今でも黒沢様の事を愛しています…例えそれがいけない事であっても、許されない事であっても…。」
村上てつや「お鈴の事はもう忘れた…お鈴だってそうだ…。愛なんてモノは存在しないんだよ…。」
北山陽一「村上様…今ここにいるのは私と村上様だけです。他には誰も聞いていません…私に、本当のことを、本当の気持ちを話して下さりませんか?」
村上てつや「お陽さん・・・俺は・・俺は・・」
北山陽一「あせらず少しずつで結構ですから…」
ト書き「言葉を出そうとすれば詰まる自分の喉に、村上はもどかしさを覚える。」
北山陽一「今でもお鈴さんのことを想っていらっしゃるのでしょう?」
村上てつや「・・・どうだろうな・・・(苦笑)」
北山陽一「素直じゃありませんね…。(微笑)」
村上てつや「でも…その時は真剣に好きだったよ。ヤスにやきもち焼いたことだってある…」
ト書き「そういって村上は空を見上げた。」
北山陽一「星・・・きれいですね・・・(微笑)」
村上てつや「この手でもう1度お鈴を抱きしめられたらって…俺が今望むのは”無事に暮らしてれば”ってそれだけだ。」
北山陽一「彼方がそう望むなら、お鈴さんは必ず生きておられますわ。実際…私が願った時、黒沢様は無事でしたもの。」
村上てつや「…この星を何処かで見てるなら…俺はそれだけで充分。」
北山陽一「きっと同じ星を見上げ、村上様がお鈴さんを想うようにお鈴さんも村上様を想っていらっしゃいますわ…。」
村上てつや「少し寒くなってきました…お陽さんが風邪を引いては黒沢の旦那に怒られてしまいます、中に入りましょう。」
北山陽一「わかりました。…村上様、安岡さんにもちゃんと話してあげてくださいね。きっと…わかってくれます。」
村上てつや「お陽さんにはかなわねーや…わかりましたよ。さあ、中へ…。」
BGM「♪今日が終わる前に」
黒沢カオル「お陽…。」
北山陽一「安岡様は?お休みになられてますか?」
酒井雄二「今さっき寝ました…。寒かったでしょう、お茶でも如何ですか?」
DJバリ"K"〜ん「村上、さっきも言ったが安岡の気持ちも分かってやれよ…。」
村上てつや「…あぁ。」
ト書き「なにも言わずそっと皆の前にお茶を差し出す酒井。」
北山陽一「(湯のみをそっと手に取り)あたたかい・・・。幸せって案外こんなことなのかもしれませんね(微笑)。」
黒沢カオル「えっ?それはどういう・・・??」
北山陽一「フフフ、ひとり言ですわ」
ト書き「いたずらっぽい笑顔を見せるお陽に、黒沢は訳が分からないと言った感じで首を傾げていた」
村上てつや「さてと(立ち上がり)・・・旦那とお陽さんはさっさと寝た寝た!!見張りは俺と酒井で十分!」
酒井雄二「そうですね。特にお陽さんはお疲れだと思いますから・・・安心して休んでくださいな。旦那も、ね。」
DJバリ"K"〜ん「(立ち上がり)じゃあ部屋に案内しましょう。一応何かあった時の為に隣合わせの部屋を用意しましたから・・・。」
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