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 ◇「ぼくの命を救ってくれなかった友へ」 エルヴェ・ギベール (集英社文庫)  ◇

+-+- あらすじ -+-+

 エルヴェ・ギベール。フランス文学の将来を担う気鋭の作家だったが、エイズに感染、絶望の中、残酷な病と闘う自分自身の姿、同性愛、M.フーコー、女優I.アジャーニとのスキャンダラスな関わり――一切合切をさらけ出して書き、フランス中に衝撃を与えたのがこの作品である。1991年12月、36歳の誕生日の直後にギベールは死去。

 翌年92年本書は日本でも単行本として刊行、一大センセーションを巻き起こし、彼の死を悼む声が殺到した。

+-+- 感想 -+-+

 痛い作品だった。

 とてつもなく痛い作品だった。

 病魔に人が冒されたとき、人の内から何が生まれだすのか。

 何を見つめるのか?

 イザベル・クリステル・ツァヘルトの「わたしの天国でまた会いましょうね」(集英社文庫)と比較すると、「わたしの〜〜」が光で「ぼくの命を〜〜」が暗だと思う。

 身震いするほど、恐い話だ。

 そして痛い。

 決して助からない不治の病HIV。もしあなたやあなたの大切な人がこの病気にかかったら、僕たちは何を見て、何を感じ、何ができるのか?

 僕たちにも降りかかる問題だから、一層考えさせられる。

 無力感を覚えながら、人は先をどう見つめるのだろうか?

 生き方の根本的な問いかもしれない。

 

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