貴陽水晶有機化工集団有限公司(環境モデル都市事業の一つ)

□ODAの内容
  有機化学製品の生成過程を水銀を触媒として使わないものにする

□見学場所
  貴陽水晶有機化工集団有限公司(貴陽市中心部から25km)

□ODAの種類
  環境モデル都市事業の一環として、この会社のプロジェクトを含め6つのプロジェクトに対し144億3500万円(金利0.75%)を平成11・12年度に借款。

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 社長・会長・党書記をすべて兼ねる姚社長。自ら私たちを案内してくれました
■有機化合物をつくる工場
  貴州水晶有機化工集団有限公司は1965年に中国の東北地方からこの地に移転してきました。
  石炭・石灰石などから酢酸を初めとする有機化合物を生成する工場です。
  しかし、その際、触媒として水銀を使います。このことによりこの地区は水銀に汚染されました。

■必要性(1)
 日本の水俣病ほどでもないにしろ、健康被害は出ています。このグループ企業で働く人の数は5000人。社員には健康診断など一応はされているとのことでした。
 また、会社の幹部は日本の水俣病についても研究していたようです。
■必要性(2)
 実はこの工場ができた時、すでに水銀を垂れ流すことによる健康被害の問題は経営者側も市政府も知っていました。
 しかし、中国が工業化を進める中で、しかたなく放置してあったのです。
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水銀を使った古い工程の操作台
■必要性(3)
 しかも、この工場の輸出先の50%は日本です。この工場がなければ日本も、安価で上質な有機化合製品(主に合成皮革など)を生産することはできなかったのです。
■課題(1)
 左の川は、水銀を垂れ流していた川です。水遊びなどしないように看板は立ててありますが、まだ土壌は水銀が残留しています。
 水量の多い川ですが、当然魚や昆虫はいません。
■課題(2)
 今後、この川の土壌を廃棄しなければなりませんが、下流の湖まで含めると莫大な量です。また、廃棄も山の中に埋めるというものです。
 (廃棄については日本のODAは関係していません。)
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水はきれいだが、魚や虫は全くいない
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何のお祝いかわかりませんが。日本の会社からのものです。
■成果
 まだ、この工場は水銀を使わない工程に移行できていません。今後、日本の千代田化工(株)の技術を導入し、新しい工場に生まれ変わります。
 が、一度汚してしまった土壌の復元はどうなるのか、不安です。

 今、工場は別の場所で水銀を使わず造られた酢酸を原料に稼働しています。
■まとめ
 このODA案件は、環境モデル都市事業の一環です。中国の公害は深刻で、すべてODAで解決することはできません。モデル都市をつくり、それを各地に広げていってもらうという考えです。

 また、この会社の汚染の問題もこの会社だけの問題ではありません。この会社の恩恵を我々も受けていたのですから。 


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