Tualatin completely works!! |
Tualatin動作のための、ソケット端子マスク+VID
-> VSSブリッジ法です。
スロットマザー+下駄はもとより、ソケットマザーでも同じ方法で対応できます。
2002.03.17 Takapen Signed 2002.03.19 Update
TualatinでよみがえるCoppermimeマザー(3)
このシリーズのコンテンツは、メーカー保証外の使用法となります。
また、私もその動作や安全性を保障するものではありません。
自己責任にて、自分で結果責任を負える方だけお読みください。
「Tualatin Net・PJ」 中間的な時点ながらの所感
画期的なTualatinのピンマスク法による、Coppermineマザー/下駄での動作情報でした。
2月28日に、takさんのBBSに台湾のyehtさんから情報が寄せられ、
3月5日に私が成功の報告をし、
3月7日に改造法の紹介記事と、『Tualatin動作可否報告自動登録板』を開設。
以降、多数のみなさんによる、加工の工夫、動作検証が行われました。
報告板を開設して10日間で寄せられた報告事例は延べ90件。
動作OKの○が56件、不安定要素もあるが動作の△が7件、動作不可の×が27件。
人柱要素の強いリスキーな手探り状態の実証作業にも関わらず、
2/3の確率で動作するという高成績を収めています。
その間の加工の工夫は、まさに創意o(^-^)o
「ピン折り」「バイスで穴拡大」「絶縁チューブ開拓」「テープマスク」「紙マスク」「下駄端子側マスク」
「ZIFソケット2段履き」「○ピン370ソケット足抜き」「マニュキュアマスク」「コンデンサー追加」・・・
ひとつの目的達成のために、かくも多くの工夫がされることに発展性のエネルギーを感じます。
また、正直な失敗事例や不具合報告から、問題点が発見されたり、
理論的な解析の必要性が明らかになったり、新しい手法が生み出されたり・・・。
安定動作のためのヒントの多くが、これら失敗や不具合事例から見出されています。
過去にこうした失敗事例が、かくも多くオープンに情報交換された事例を知りません。
失敗は、誰しもつらく悔しいもの。それをみんなに情報提供する勇気に敬意を表しますm(._.)m。
安定動作への扉は、Tsutomu氏の登場と理論解析により開かれました。
氏の豊富な知識と経験をしての、地道なデータシート解析と検証実験。
氏が、どれだけの時間と労力を集中して費やしたかは、想像に堅くありません。
(日中は、職場で居眠りを続けていた・・・との情報もあります(^^ゞ)
ここに集った仲間を代表して、心よりお礼を申し上げるものです。
今回の事例は、日本のオーバークロッカーの情熱、力量、率直でオープンな姿勢の結晶と思っています。
「Tualatinの壁」というテーマには、世界の多くのマザーボード関係メーカーが取り組んだはずです。
しかし、製品化にいたったのはPowerLeap社のみ。しかもそれは不完全なものでした。(VID信号の処理)
利益獲得も強制力もないのに、多くの在野の志がNETという世界で集い、自らコスト・リスクを背負い、
「ひとつの成果物」をしあげ・・・、去っていく。 まさに『志のプロジェクト』と言うしかありません。
また、なにひとつ無駄な情報(人)はない!という点に、わたしは感動を覚えました。
PJの主力戦艦Tsutomuさんの解析を支え、その夜を徹しての作業を励ましたのは、
同じく、蛍光灯のしたで「小さなピン」と格闘し、実証データを提供した多くのメンバーの存在。
たぶん、メーカーもなしえなかった今回の解析・改造挑戦に成功したとするならば、
それは、多数の試行錯誤の情報とTsutomuさんの解析能力が一体となったからだと思います。
どんなメーカーでも、今回みなさんが行ってきた多様なマザーと下駄の組合せ・改造手法を、
短期間で自社内で検証することは不可能でしょう。
また、ここに集まった情報は、分野や畑・テーマを異にするいろいろなサイトに広まり、
またそこで新たな発展をしています。私の元に寄せられた情報や、Net検索で見つけ出した
サイトの情報によると・・・。Vaio、NEC、Dellなどメーカー製PCのユーザーの集うHPでも、
活発に情報交換され、試行され、成功事例が広がっています。特にDell関係のサイトはすごい。
今まであまり交わることのなかった自作/OC系のサイトとメーカーPC系のサイトですが、
自分のマシンにかける情熱は変わらないのだな!とあらためて思いました。
広がる情報提供サイトの紹介
私の板にも貴重な情報がたくさんよせられていますが、情報交流の輪は広がっています。
そのなかでも、情報の交差点となっている代表的なサイトを紹介しておきます。
新たな発見、工夫、新情報が日々展開していますので、ぜひごらんください。
tak-HOME | 言わずと知れた情報発信源!台湾のyehtさんの発言が書き込まれたtakさんのページです。 実証情報とあわせ、理論的な情報交流が活発に行われているメッカです。 |
英介のHome Page | yehtさんの発言を英介さんが翻訳・解説し、各所のBBSで情報提供されたのが、 今回の大きな広がりを生みました。改造工作の達人がたくさん集まり、情報交換がされています。 |
popo Web Site | PL-iP3/T改造でもVID信号の乗っ取りの先駆的な実験をされたpopoさん。今回もマザーや 石によるデフォルト電圧の不安定さを発見され、Vcore可変改造の先鞭をつけられました。 |
Over spec liker's | 今や主力戦艦!Tsutomuさんのパソコン改造の部屋。今回の緻密で地道なデータシート解析、 改造の方向性の提示が、一挙に汎用化と安定化の道を開きました。その解析がすごい! |
こののち紹介する、私のソケット端子マスク+VID
-> VSSブリッジ法も、根拠や実証先鞭は、
上記のサイトで展開された情報を整理して、私が工夫を加えたものです。
特に、なぜ?そうした方がよいのか?!という理論編は、理解するのがかなり難しいレベル
(電気・電子回路に関する専門的内容)で、Tsutomuさんにより解明がすすめられています。
できるだけかみ砕いて、わかりやすい説明記事を書きたいと思っていますが、
時間の制約がありますので、とりあえず改造法を先行して紹介します。
Tsutomuさんのページの解析解説を、ぜひ一度はごらんいただくようお願いします。
スロットマザー+下駄でも、ソケットマザーでも通用する
はんだ無用、特別なパーツ無用の汎用的な改造方法の紹介
それを、とりあえず『ソケット端子マスク+VID
-> VSSブリッジ法』と命名しておきます。
この改造は、3つの部分を統合しています。
1) yehtさんが最初に情報提示してくださった「AN3,AS3,AK4ピンマスク」による
TualatinのAGTL規格の電圧チェック騙しの術。
2) Tsutomuさんが解析し発見された「X4,X34ピンマスク追加」による
動作安定化と、動作機種拡大の術。
3) Tualatinで変更されたVID信号:基準電圧差分判定方式に未対応のCoppermineマザー・下駄
でのVID信号のっとり、Vcore電圧可変化改造の術。
特別なパーツを使わず、ハンダも使わないことを目指して工夫しました。
私の前記事 『Coppermineマザー/下駄用、Tualatinソケット端子マスク法』 がベースになっていますので、
まだの方は、先にそちらをお読みください。重複する部分は解説を省いていますm(._.)m
VID信号誤認−>出力Vcore電圧の違いについては、症状の現れ型がいろいろです。 同じマザー、下駄、石でも、違う結果が報告されることもあります。 私の実験機、BX6SE+MS-6905Master+Celeron1.0Aで、下駄のVcore電圧指定ジャンパーを、 ALL1−2ショートの「Auto」設定にした場合は、マザーのBIOSはデフォルトを1.75Vと認識し、 実際には1.79Vとかなり高めの電圧を出力供給していました。 ところが、マザー/下駄のVcore電圧指定をAutoにした場合のデフォルト電圧認識は、 マザー/下駄により1.45V、1.65V、1.75V、2.05Vなど、様々であることがわかっています。 また、下駄のジャンパーで任意にVcore電圧を指定した場合は、 私の実験機、BX6SE+MS-6905Master+Celeron1.0Aの場合は、 BIOSのデフォルト認識は指定通り正しく認識しますが、やはり実出力は高い状態になります。 ところが、同じ構成でBIOSのデフォルト認識がジャンパー設定での指定値と違うことがあることも 報告されています。 下駄の場合、CPUからのVID信号を完全に乗っ取っているもの、スルーするもの、 合成してしまうものなど、いろいろあるようです。 また、マザー側の電圧変換レギュレータ・チップも、Tualatinの基準電圧差分判定型には対応して おらず、閾値の関係で「0」と認識したり「1」と認識したり、ばらばらで微妙なようです。 同じマシンで、電源投入の度にデフォルト電圧が変わる!という怪現象(・o・)も報告されています。 Coppermineマザー/下駄が、TualatinのVID信号仕様に対応していない以上、 TualatinからのVID信号を遮断し、Coppermine仕様の「High/Low」形式でVID信号を のっとる以外に、狙ったとおりのVcore電圧を出すことは難しいと思われます。 |
以下、改造手順を解説します。
CPUを裏(ピン側から)見た図です。ソケットを見るときは、ひっくり返して考えてください。 | |
↓ の青●がマスクするピン。
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ピンアサイン図を、実際のソケットで見ると、下の様になります。 | |
ソケットのスライドカバーを 外した写真です。 今回の改造対象のピン受け 穴は、青のテープの見える 部分になります。 上の図のCPUのピンと、 ソケット側のピン受け穴・ 端子の位置を良くご確認 ください。 |
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まず下処理として、ブリッジ用の銅線を作ります。 | |
いろいろ試しましたが、 ソケット穴の間隔で銅線 を加工するのが、意外と 難しい・・・(~、~) やっと思いついたのが、 この方法です(@_@)。 ピン結線をしたことがある 人なら、簡単ですね。 |
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ピンから引き抜きます。 | |
ピンセットなどで、 ループ部をつぶします。 少し間隔が広がりますので、 |
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完成した4穴ブリッジ用の線 | |
ソケットにVID信号の乗っ取り用のブリッジを差込ます。 | |
台形型の広い方に、 ピンがはいり、左に スライドして端子に押し つけられます。 ブリッジ線は、できるだけ 台形型の狭い方の、ピンと 接地しない端子の裏側に、 差込ます。 ピンがスライドしてくると、 端子は押され下に押し下げられ、 結果、ブリッジ線に圧着する よくできたしくみです(^^ゞ自画自賛 |
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他のピンとショートを避けるという点で 今回は、加工しやすい AM34 VSS と AL35 VID0 AK36 VID4 AJ37 VID3 の4穴を、斜めにブリッジ結線します。 VID信号は「00110」となり、 Vcore1.75Vの設定になります。 (最大オーバークロック向き(^_^)V) 「01000」の1.65V化、5穴も加工は楽です。 |
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マチ針の先などで、 端子を向こう側に押して浮かし、 ブリッジ線を手前側に落としこみます。 何回かやって慣れると、 |
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ピンが入ると、端子が写真でいえば 上に押し付けられ、ブリッジ線としっかり 接地します。 念のため、各ピン間の導通を確認すると 良いでしょう。 |
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AN3 AJ3 AK4 X4 X34 ・・・ AGTL騙し安定化 AL35 AK36 AJ37 AM36 AL37・・・ VID信号ピンマスク(絶縁)乗っ取り の10本のピンの、ソケット受け側の端子を、短冊テープ(ラピー)で絶縁します。 |
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慣れないうちは、苦労しました。 1〜2時間以上もかかって いました。 ヒントはhigeさんの紙マスク法! 「端子に貼り付ける」という思い 端子は意識せず、穴の手前に、 今は1分で10本できるように |
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テープは穴に挿入後、 後でピンセットの背などで、 端子に押し付けて貼ってやれば いいのです。簡単簡単。 |
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VIDピンの関連端子の、 マスクとブリッジの様子。 上の写真とは反対側から 見てみました。 ● CPUのピン −−−− 絶縁用のテープ ==== ソケットの端子 〜 ブリッジ用の銅線 という構造になっています。 |
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反対側から、上から見ると、 〜 ブリッジ用の銅線 |
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完成写真です。 テープの余分なはみ出しを、 |
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いよいよ、動作確認(∂∂)♪BIOSの画面でチェック。 見事に設定電圧どおりのデフォルト1.75V認識に! 実Vcoreは、1.72〜1.74Vで、高めに出力される怪現象も克服しました。 |
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Win上のモニター結果です。Celeron1.0Aです。 今は、さらにFSBを引き上げ、BX6SE、FSB148で安定稼動しています。やったね! |
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たくさんの人柱データを動作可否報告板にいただき、ありがとうございます。 また、掲示板での活発な情報交換もありがとうございます。 今回の改造で、すべての問題が解決されたわけではなさそうです。 まだ、全てのマザーや下駄で動作しているわけではありません。 みんなの力を合わせて、「Tualatinの壁」を完全克服するまで、 引き続きの貴重なチャレンジ、試行錯誤と、交流を、 どうぞよろしくお願い申し上げます。 とりあえず、みなさんの熱い想いへの感謝と謝辞に代えて、 中間まとめ的に、新しい改造方法を紹介させていただきました。 文末ながら、この場をお借りしてどうしてもお礼を言いたい方があります。 BASIRARさんと、まるよさんm(._.)m です。 私が最初に動作報告をしたとき、信憑性も定かでないのに疑うことなく、 翌日にはいろいろなマザーや下駄で動作を確認してくれました。 その報告がどれだけうれしく、ありがたかったか。 がんばってコンテンツを作ろう!と思ったのはおふたりのおかげです。 いい常連さんに支えられ励まされて幸せです。ありがとうございました。
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