丹後半島

菅野
暗然とした思いのまま、お宮さんにまわった。坂を上ると立派な鳥居があり「上山神社」と額が上がっている。側にある灯籠は、私の曾祖父が寄贈したものと聞いている。しかし、このお宮さんの敷地の狭いことに驚いた。せいぜい1アールくらい。もっと広かったはずだ、と不思議に思える。祭りの日には大勢の村人がここに集まり、笛や太鼓に合わせて数十人の若者が勇壮な太刀振りを見せてくれた。獅子舞は幼い私たちを大いに喜ばせてくれた とはっきり思い出すのだがこれでは狭すぎはしないかー−あるいは今は太刀を振る若者もいないのではないかと心配になってきた。このお宮さんは室町時代初期の神像や棟札を残す古社でここの祭礼は京都府の無形文化財の指定を受けているはずで、これが消えるわけがない、と思い直し、ともかくお賽銭をあげ合掌してお宮さんを後にした。