審判の秘密
球場アナウンサーのファインプレーとは!?
続けて、審判しか知らない“楽屋話”を。「実は僕は2度ほど我慢できなくなって、試合中トイレに駆け込んだことがあるんです。いずれも、ヤクルトの試合で広岡達朗さんが監督をしている時。汚い話ですけど“ああ、これでウチにウンがついた”といって、広岡さん大喜びしていましたよ(笑)。一度はキャッチャーが大矢明彦の時です。もう我慢ができないので“大矢、頼むから5回まで早くやってくれ”と頼んだんです。すると“三浦さん、ゲリでしょう”とすぐに大矢はこっちのピンチを察してくれた。そして、本当に5回までピッチャーに早い間隔で投げさせてくれましたよ。で、5回を終わった途端に僕は神宮球場のトイレにダッシュして駆け込んだ。もう走りながらベルトもはずしていましたよ。どうも、聞いた人の話によると“クソ、クソ”と言って走っていたらしいんですな(笑)。さて、その時にファインプレーをしてくれたのが球場のアナウンサー。“三浦球審は、ただいまサポーターのひもが切れましたため取り換えています”と言って、その場を取り繕ってくれた。これには助かったですね。
ところで、ファンのひとからよく“一番嫌いなのは、どういう場面でしたか?”と聞かれるんですけど、こらは9回裏か延長戦の1死一・三塁で、一塁の塁審をやっている場合ですね。内野ゴロでゲッツーが成立しなければ、三塁ランナーがホームに入るからサヨナラゲームとなる。さすがにこの場面だけは、何年やっていても足がガタガタと鳴りやまなかった。嫌なものでしたよ。
主審の時は、1球ストライクが入るまでは不安で仕方なかった。ストライク!と言って右手を上げるまでは“今日はとんでもないボールをストライクと見間違うんじゃないか”という恐怖心があるわけです。だからよく投手から“三浦さんは少々くさくても1球目だけはストライクにとってくれる”ってよく言われましたよ」