背面の美しさの秘密< >

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イタリヤの洋服がなんとも形容できぬ美しいシルエットを感じさせる事のあるのに気付かれた事のある方は多いのではないでしょうか?私も何度かその様な経験をして何故だろう?と疑問に思った事でした。何か『垢抜けた』と云うか『洒落た感じ』があるのです。体型が異なると云う事はあるにしても何かが違う、と感じさせるのです。

長年の経験からかその相違は『カッテイングの違い』ではないか、と思います。そして其の原因は洋服に対する観念の違い、とでも云うか、考え方の相違にあるように思います。暫く私の話をお聞き下さい。

観念の相違と云うのは日本では「体型に適合するカッテイング」が良いとされ、それが目指す目標になっていまるといえましょうがヨーロッパでは「最も美しいシルエットはなにか?」が目標で勿論体型が着られなければなりませんがそれはパターンを体型に合わせれば良い、と考えているのではないか?と云う相違点なのです。
そして美しい、と云う事はバランスの美しいシルエットを作成してそれにバランスの悪い体型を入れて美しく見せる洋服、と云うのが目標の様に思えるのです。

この様な考え方は伝統的に日本では育たなかった様に思います。バランスの美しい、と云う事が『美しさ』の基本である。またシルエットの美しさが洋服の目標である。と云う二点はパターンのカッテイング操作の色々な点に現れています。

その様な一つの例が此れから述べる『背面の美しさ』の問題です。

脇や背後から見たシルエットの印象

女性の着こなしを正面からは極めて美しく見えるのに脇側から、又は背後から見る際に何となくモワーとした印象、雰囲気を感じさせる 要因はなにか?と云うとそれは背面のシルエットの印象からだと思います。
イタリヤのカットが何となく洒落て見え、小股の切れ上がった印象を与えるのは背面のカットが背の肩甲骨の辺りからウエストへかけての切れ込みが相違点ではないでしょうか?
日本のカットは何となしに鈍く、背面はウエストに食い込まず、何となく浮いて見え、又は意図しないフレアーや弛みが出て来るカットです。

このような相違はデザインのカットとは別のもっと基本的な感覚の相違に 原因があるように思えます。
それはバランス的に計算されたカットの上に成り立つシルエットへの排c="housiki-cad/s-gen-seizu-2.jpg">