「徒然虫」 3号

里山だより01「春の香りを楽しむ」

「春の訪れ・第1番」

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 春は、いろいろな命が誕生する季節で、ワクワクドキドキですね。私は「春眠暁を覚えず。」どころか、早起きになってしまって困ります。この度「里山」をテーマに連載をさせて頂くこととなりました。拙い文章ですが、よろしくお願いします。

 春にはいろいろな花が咲き、様々な香りが漂ってきます。香り自体は、夜咲く花や夏咲く花の方が強いようですが(夜咲く花は、香りで虫たちを呼び寄せるためらしいです。)ロウバイ、ウメなど早春の花も香りが強いようです。サクラあたりになると香りも弱まりますが、ヤマザクラはなかなか素敵な香りがしますね。フジの花の香りも大好きです。皆さんも春の香りを楽しんでいらっしゃることでしょう。

 私にとって、花の香り以上の楽しみは、蝶の香りです。モンシロチョウやアゲハチョウなど身近に見かける蝶は、あまり香りがしませんが、里山で見かけるスジグロシロチョウの雄などは、かなり強い香りがします。しかし、春の里山で最高のものは「ツマキチョウ」の雄の香りです。成熟したツマキチョウの雄をゲットして、そっと香りを楽しみます。どこか覚えのあるやさしく甘い香り。何かに似ているのかもしれませんが思い出せません。ツマキチョウの柔らかな飛び方と重なって、香りのイメージがいっそうふくらみます。春の香りの中で一番のお薦めは「ツマキチョウの雄の香り」でしょう。

 ただ、このツマキチョウ、春の一時期しか見られません。四月からせいぜい五月まで、ゴールデンウィークを過ぎると少なくなってしまいます。しかも、普段は羽を閉じて留まっているため、里山の景色にとけ込んでいてなかなか見つかりません。羽を開くと「羽の先端に黄色い模様のある蝶=ツマキチョウ」だとわかるのですが・・・。モンキチョウやモンシロチョウほどポピュラーではありませんが、里山には必ずいるチョウです。(田んぼの畦などにはえる「タネツケバナ」が幼虫の大好物です。)今年も春の香りを楽しむ季節になりました。一度、ツマキチョウの香りにチャレンジしてみませんか。

2006. 4. 30 斎藤 靖明(abusaito)

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