「徒然虫」 8号

里山だより06スズメバチとミツバチ

「感謝」

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 秋の里山で気になる生き物といえば「スズメバチ」でしょうか。刺された人が命を落とすこともあるというこの蜂、中でも最大の「オオスズメバチ」は、里山の木の根元や斜面の土の中に巣を作り、今頃は成虫2000匹以上の大所帯になっているはずです。しかも巣の中では、大食漢の幼虫たちが餌をせがむものだから、神経ピリピリ!近くを通りかかった人が襲われるのも、こういう事情からでしょう。(ある種の香水の成分がスズメバチの攻撃信号と似ているため、香水をつけた人が襲われやすいといいます。ご注意を!)このオオスズメバチが生きているということは、多様な昆虫や小動物がたくさんいるということで、豊かな里山の環境が保たれているということになるのですね。(オオスズメバチは里山の生物ピラミッドの頂点にいます。)
 ミツバチ(西洋ミツバチ)を飼っていると、このオオスズメバチがやってきて、数時間のうちに全滅させられることがあります。勇敢にも巣から出てオオスズメバチに戦いを挑むミツバチたちは、スズメバチに触れたと思った瞬間、もう殺されています。西洋ミツバチの故郷にはオオスズメバチはいなかったので、戦い方を知らないのです。昔から日本にいるミツバチ(東洋ミツバチの日本産亜種:ニホンミツバチ)は、スズメバチとともに生きてきましたから、戦い方を知っています。スズメバチが襲ってきたら、巣に引きこもります。そして、巣に侵入してくるスズメバチに一斉に取り付き、熱を発して蒸し殺してしまうのです。もちろん必ず勝利を収めるとは限りませんが、西洋ミツバチのように全滅することは少ないようです。
 ところで、このニホンミツバチが西洋ミツバチに襲われると、全ての蜜を奪い取られ、餓死してしまうそうです。里山では、オオスズメバチに守られる形でニホンミツバチも生き延びてきました。不思議な三角関係です。
 そうそう、スズメバチを果実酒用(35度)の焼酎に漬け込んでおくと、節々の痛みを抑え、精力増強などに効果のあるスズメバチ酒ができあがりますよ!(蜜蜂を飼っている人は、この副収入が意外に大きいとか・・・)

2006. 9. 27 斎藤 靖明(abusaito)

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