「徒然虫」 12号

里山だより10萌芽整理

「里山の歌」

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 1月の第3日曜日に行われた里山活動では、子ども達と作ったモチ米で餅つきをしました。常連の親子づれに大人達、さらに中国からの留学生も交え、笑顔と舌鼓の餅つき大会となりました。お餅をつくのは初めてという留学生のなぜか危なげない手つき、餡ころ餅を初めて作るという子ども達の緊張した顔、これらを見守る大人達の笑顔も最高でした。里山活動では、里山を使って生かすことが一番だと思われがちですが、それ以上に大切なことは子ども達とともに活動し子ども達を育てることです。世代を超えて老若男女がこうして集う時間の中にこそ、生きる素晴らしさや喜びがあり心からの笑顔があります。

 さて、冬の里山では「雑木の伐採」や「萌芽整理(ぼうがせいり)」という仕事があります。コナラやクヌギなどを使って活かすため、冬の間に切り倒して薪などにするのが伐採です。このあと焼いて炭にすることも多いですね。そして翌春には、切り株からたくさんの芽(ひこばえ)が出てきます。こういう芽を間引いて5本くらいに減らし、元気に育つようにしてやるのが「萌芽整理」です。15年から20年くらいの樹齢で伐採された株からはよく芽が出ますが、それ以上に古く大きくなった株を切ると芽が出ないことが多くなり、植林しなければならなくなります。実際やってみると植林した若木は思うように育たず、管理も大変です。このように、人が手を入れ使って生かし続けてきたのが、里山にあるコナラやクヌギの林なのです。そして、ここで生活しているクワガタムシやカブトムシ、スズメバチやオオムラサキなどの命をも育ててきたのです。地球上から緑がなくなると人も生きていけなくなるということや炭素の循環について「理解する」ことはできます。しかし、里山で活動しながらそこに生きている生き物たち、生態系という生きている自然を「実感する」時、私たちが自然の一部であり、私たちが生きるために地球を大切にするということの意味が「本当にわかる」ようになるのだと思います。

2007. 1. 26 斎藤 靖明(abusaito)

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