「徒然虫」
20号
里山だより18「虫の声」
「」
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まだまだ残暑のきつかった8月の末、確か28日だったと思います。小野小学校の教室で窓を開け、聞こえるミンミンゼミの声に閉口しながら「理科の自由研究」を掲示していると、突然飛び込んできた強烈な「シュワシュワシュワシュワ・・・」というセミの鳴き声。初めて耳にする異様で大きな鳴き声は、かなり離れた木の上の方から聞こえてきます。アブラゼミなどであれば、これほど大きくは聞こえないはず、それに鳴き声も違います。姿は見えませんでしたが、最近噂の「クマゼミ」に違いありません。たった一匹が、かなり離れたところで鳴いているにもかかわらず、耳をふさぎたくなるような大音響でした。数分で聞こえなくなってしまったところをみると、移動する力も相当ありそうです。このクマゼミ、現在分布を広げながら北上中とのこと、とうとう富岡市にも現れました。聞くところによると、クマゼミは、大発生しやすく、しかも夜になっても鳴き続ける習性だとか・・・。恐ろしや!!!!!!!!!!!(光回線のケーブルに穴をあける習性も関西地方で話題になっていますね。)
さて、ようやくセミの声も聞かれなくなり涼しくなった昨今、運転する車の窓を開け、夕方の「虫の声」に耳を澄ませながら家路につくと、色々な鳴き声が聞こえて・・・、と思ったのに聞こえてきませんね。市街地から山間部へと車を走らせているのに、聞こえてくるのは「リリリリ・リリリリ・・・」という声ばかり、数も相当いるらしく、とぎれることなく聞こえてきます。どうやら「アオマツムシ」のようです。(写真はオスとメス)
コオロギ(コロコロコロリー)やスズムシ(リーンリーン)、ウマオイ(スイーチョン)なども聞こえてはきますが、アオマツムシにはとうていかないません。明治以前の日本にはいなかったという「アオマツムシ」がこれほど増えてしまったのは、どうしてなのでしょう。「風流」とはいいがたいその鳴き声から考えて、人が飼育して増やしたとは考えられません。日本全国に舗装道路が広がり、街路樹が植えられた結果、コオロギやスズムシなど地中に卵を生む種類が少なくなったのと対照的に、木の上で一生を過ごし、飛ぶ力も強く、木の枝に卵を生むアオマツムシが生活しやすくなったためなのでしょう。人間の作り出した環境にとてもよく適応したアオマツムシの天下は、今後さらに発展していくのでしょう。生活様式の変化が、こんなところへも影響しているのですね。
2007. 9. 30 斎藤 靖明(abusaito)
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