「徒然虫」
24号
里山だより22「仮想水」
「」
前へ 次へ
毎月第3日曜日に行われている里山活動で恒例となってきた催しに「12月の手打ち蕎麦」と「1月の餅つき」とがあります。手打ち蕎麦は、里山で育て収穫した蕎麦の実を粉にし、手打ち蕎麦にして食べるもので、作り方も味も本格的です。子ども達も、食べるだけでなく種まきや収穫、蕎麦打ちのお手伝いをします。餅つきは、里山の田んぼ(使われず篠藪になっていた棚田を子ども達と開墾中)で育て収穫したモチ米を使って餅つきをし、大根おろし・きなこ・あんこ等をからませて食べるもので、子ども達が主役です。最近話題の「地産地消」の実践といったところですが、あわせて「仮想水」のことも学びます。
「牛丼1杯(ハンバーグ1つ)に風呂10杯分の水」という見出しで読売新聞にも特集が掲載されていますが、食料生産のために使われた水を「仮想水」と呼ぶそうです。日本のような食糧の自給率が低い国は、当然「仮想水」を大量に輸入しているわけで、大好きな牛丼やマックのハンバーグを食べるたびに心が痛みます。というのも、世界的に見れば水資源の乏しいアメリカ合衆国やオーストラリアで環境に大きな負荷をかけて生産された「穀物や肉」を、水資源の豊かな日本で消費しているからです。(輸送にはこれも大量のエネルギー資源が消費されています。)1週間で風呂10杯分の節水をするのは容易ではありませんが、1週間に牛丼1杯(ハンバーグ1つ)食べることで、節水の努力が消えていってしまう…。国土や農場の荒廃が進んでいるアメリカ合衆国やオーストラリアでは、食料の輸出制限を始めたそうです。食料輸入のできなくなる日本でも「地産地消」に目が向けられるようになってきますから、これは喜ばしいことです。しかし中国やアフリカ諸国のように「地産地消」をやりたくても「水不足」のためにできない国がとてもたくさんあります。これらの国々では、生きるために無理をして食料を生産しますから、わずかな水も「仮想水」として使われ水不足はさらに進むという悪循環です。
私たちは、豊かな緑と恵みの雨に感謝し、遠い国々と将来の地球ことを考えながら、身近な里山の環境を保全し「地産地消」の業を少しずつ身につけていけるような、新しい生き方を今年も探求していきたいと思います。
2008. 1. 25 斎藤 靖明(abusaito)
☆感想のお便り、お待ちしてます。
abusaito@dream.com
「 徒 然 虫 」 メニュー → |
|
Abu Saito TOP PAGE → |
|
|