富士見ファンタジア文庫 <卵王子>カイルロッドの苦難 D 野望は暗闇の奥で

著:冴木 忍 挿絵イラスト:田中 久仁彦

 あらすじ 

   北国の春は遅い。堅い花の蕾、芽吹いたばかりの草----。
  渡る風がやけに冷たく感じるのは気温のせいか、それとも去って行った男に対する淋しさからか……。

  「それにしても。いなくなって初めてその人の価値がわかるっていうけど本当だなぁ」
  今まで頼りきりだったイルダーナフに愛想をつかされ、カイルロッドは今、自分の力で歩かねばならなかった。
  だが、天はカイルロッドに感傷に浸る暇を与えない。フェルハーン大神殿の、あるいはムルトの刺客が、
  またしてもカイルロッドの身に迫る。その中で、彼は自分自身に関わる新たな謎に直面した。

 登場人物 

        レイブン       

      男と見紛う程大柄な体躯をした女賞金稼ぎ。
     サッパリした豪快な性格で腕も良い彼女の憧れの人は…
     …イルダーナフだったりする。
     走るような速さで歩くのが特徴。
         ホー・シェン
    たった一人で遺跡の調査をしている青年。
   そして王子と趣味について語り合える、数少ない理解者(笑)
   研究に没頭するあまり、非常にむさくるしい髭面になっている。
   (よって右図は想像図)
        ヴァランチーヌ       
    酒場の歌い手。リュートを奏で、美しい声で悲しい歌を唄う。
   色素を持たない為、瞳が赤く、髪は真っ白。


神殿跡地へ

   ホー・シェンはカイルロッドを手招きし、まだ形がはっきりと残っている、遺跡の中で一番大きな
   建物の中に入っていった。

   「どうするの?入るの?」
   ミランシャがカイルロッドを見上げた。崩れたらどうするんだと言いたげな上目遣いだが、
   「せっかくだから、招待されよう」
   基本的にこういうのが嫌いではないので、カイルロッドは嬉々として、ホー・シェンの後についていった。

   「そうね。これも付き合いだわ」
   「あーあ」
   ミランシャとレイブンが、仕方なさそうに男達の後に続いた。

4巻・面影は幻の彼方 ヘ                                 6巻・悲しみは黄昏とともに ヘ 

 卵王子の入り口へ

5巻「野望は暗闇の奥で」より抜粋させて頂きました。
今回は、朝日の中連れ立って遺跡へ向かう、比較的明るめなシーン。たまにはほのぼの〜。
(でもまたすぐ一騒動あるんですが)
後半に出てくる”子供の村”のお話がまたやるせないです。

ところでレイブンは通常徒歩で1時間の距離を20分で踏破するそうで。
足の長さからして違うんだろうけど、羨ましい。