富士見ファンタジア文庫 <卵王子>カイルロッドの苦難 G やさしさは風の調べ

著:冴木 忍 挿絵イラスト:田中 久仁彦

 あらすじ 

  「イルダーナフが大神官!?」
  会議が終わった後も、カイルロッドは呆然としていた。
  普通の男ではないと思っていたが、まさか大神官だったとは。

  イルダーナフはフェルハーン大神殿を捨てて、秘められていた≪第二の神殿≫へ向かうことを告げた。
  それによって聖地は騒然とする。
  そんな中、聖地を捨てることに抵抗する現神官長の母、キアラが不穏な動きを見せ始める。
   一方、カイルロッドにはイルダーナフから、新たな難題が与えられた……。

 登場人物 

       キ ア ラ

  美しく若々しいがプライドが高く、大変に激しい気性の持ち主。
   現神官長で息子でもあるアクディス・レヴィを溺愛しており、
  近付く者は肩書きを大いに振りかざし容赦無く排除しようとする。

         ゼノドロス
   キアラの弟にして現神官長の叔父にあたる男。
  姉にはあまり頭が上がらないが、甥の権威を傘に好き放題を
  言っては保身を図る小心者である。
  力や人望ある者を妬み、特にエル・トパックを目の敵にしている。

         ジ ュ デ ィ

   第二の神殿へと移動する大行列の中、王子と出会う少女。
  弱冠16歳にして1児の母となりかけている。
   王子の人となりをすぐに見抜き、優しく接してくれる。


     「私はキアラを恨んでいない。しかし、ここであなたが彼女と一緒に死ぬというのなら、
      私は彼女を憎みます!」

     常に沈着冷静な異母兄が泣いていた。それを見て、アクディス・レヴィは「生きなくては」
     と思った。どんなことがあっても生きなくてはならない、と。

     いよいよ炎は激しくなり、次々と天井から石の塊が落ちてくる。柱は崩れ、床が落ちていく。
     その中を二人は走っていた。

7巻・ 微笑みはかろやかに ヘ                              9巻・ 思い出はいつまでも ヘ

 卵王子の入り口へ 

8巻「やさしさは風の調べ」より抜粋させて頂きました。

王子も相変わらず苦労してますが、エル・トパックやレヴィなど今まで絡んできたサブキャラ達の見せ場の巻
でもあるかなと思います。中でもキアラは強烈ですね。
愛情表現の凄まじさは登場時からでしたが、とうとう最後まで自分を曲げない人でした…
恐い人だけれど、その不屈の精神だけは感心すらしてしまうかも。

今回は火事場=赤色だらけだったのでなんとも目に痛いです;