-ゴスドラマ過去ログ:11101-11200-
安岡優「本妻、つまり王妃って事になってるんだね、今のあなたは。」
佐々木真理「えぇ。」
酒井雄二「だから自分で守るのは不可能で、俺らに頼んだのね、納得!」
北山陽一「あなたも分かってなかったのですか…酒井さん…。」
ト書き「酒井は腕を組むとゆっくりとうなずいた。」
村上てつや「ややこしいなぁ!!ともかく、あの国王の後始末どうすんだよ!!」
黒沢カオル「…私…後を継ぐ気はない…てつ兄ちゃん、酒井さん、ヤスくん、北山さん…みんなと一緒にココじゃない所で暮らしたい…。」
山陽一「みんなと??」
安岡優「5人で…??」
村上てつや「(酒井と2人でじゃねぇのか?…5人なんて惨過ぎるぜ…。)」
酒井雄二「(村上さんとでは?…イヤ…出来ることなら俺もカオルちゃんの側に居たい。)」
黒沢カオル「(本当は…本当は酒井さんと2人が良い…でもてつ兄ちゃんを裏切るなんて出来ないから…みんなで一緒に。)」
ト書き「村上、酒井、黒沢が無言になったので北山と安岡は顔を見合わせた。」
安岡優「薫ちゃん、ちゃんと本心を言わなきゃ」
(管理人のチェックミスにより一部ログ消失、すみませんm(_ _)m)
酒井雄二「…カオル…くん…」
ト書き「肩をポンと叩かれ酒井゛と確認すると、黒沢はまた下を向いてしまった。」
酒井雄二「キミは本当に優しすぎるぐらい優しい子だね…。怖いの?みんなの反応が。」
黒沢カオル「…何が怖いのか分からない…でもね、もう人を傷つけたりはしたくない…それだけ。」
酒井雄二「そっか…。」
ト書き「酒井は、長身を屈め黒沢の顔を覗き込む」
酒井雄二「でも、それじゃあ前に進めないよ。」
ト書き「黒沢は驚いて酒井の顔を見た。」
酒井雄二「少しぐらい…我が侭言ってもさ、少なくともあの二人は許してくれるんじゃない?長い付き合いなら…色々お互いの事、分かってるだろうし。」
ト書き「酒井は黒沢の心を見透かしたように言った。」
酒井雄二「本心を言うことが、誰かを裏切ることになんてならないんだよ。自分の本当に思ってることを伝えることが、相手にとっての優しさなんだよ。」
黒沢カオル「でも。」
酒井雄二「君は…人に嫌われるのが怖いのかもしれないね。」
黒沢カオル「・・・酒井さんは怖くないの?」
ト書き「黒沢は酒井を上目つかいに小さな声で尋ねた。」
酒井雄二「好きな人に嫌われるのは…ショックだけど。怖くはないね。全人類と仲良く出来るとは思わないから。」
ト書き「とっくりと、静かな穏やかな口調で酒井は応えた。」
黒沢カオル「酒井さんは…強いんだね。」
酒井雄二「そうかな?俺よりもカオル君の方が強いと思うけど。」
黒沢カオル「どうして?酒井さんみたく、誰かを助ける為に撃たれるなんて…俺には出来ない。」
酒井雄二「う〜む…肉体的な強さが凡てじゃあないんだけどねぇ。」
ト書き「ひょい、と口元を持ち上げる。」
酒井雄二「受け入れる強さ…許す強さ…一杯あるよ。そっちの強さを持つ人は少ないけどさ。」
黒沢カオル「強くなるなんて…出来ないよ…私はどれにもきっと当てはまらない。」
酒井雄二「じゃ、カオル君の強いところ俺が言ってあげよっか?!」
ト書き「黒沢は目を大きく見開いて酒井を見た。」
酒井雄二「心が本当は強いんだよ、カオル君は。」
黒沢カオル「えっ…?」
酒井雄二「ただ、それを隠そうとしてる。自分の心に嘘をつき続けて、心が本当は強いのに、弱いって思い込んでる。」
黒沢カオル「…心に嘘ついてる…」
酒井雄二「今まで自分の本当の意志とはまったく逆の行動を取って来たんじゃない?」
ト書き「酒井は黒沢を凝視した。」
酒井雄二「誰かに嫌われるのが怖くて、傷つけないような事ばっかりを考えて、選んで…。」
黒沢カオル「…私…酒井さんとずっと居たい…ず〜っと…ず〜っと…。」
ト書き「黒沢は呟き、顔を真っ赤にして下を向いた。」
黒沢カオル「てつ兄ちゃん、ヤスくん、北山さん…みんな大好き…でも、1番酒井さんと居たい…酒井さんの事…好きだから…1番好きだから…。」
酒井雄二「そっか…ありがとう…言ってくれて。」
ト書き「酒井は黒沢の頭をポンポンと叩き、髪の毛を軽く握った。」
酒井雄二「…俺もこんな気持ちになったのは久しぶりだよ…。」
黒沢カオル「…守ってあげた人?…」
酒井雄二「正確に言うと、守ってあげられなかった人だけどね…。」
ト書き「酒井は照れを隠すように苦笑いをした。」
酒井雄二「カオル君もあいつと同じ…。『俺が絶対守ってやる!』って…で気が付くと『誰よりも好きな人だから…』になってた。」
黒沢カオル「人を守るの…好き?誰かを救うこと、好き?」
酒井雄二「う〜ん…嫌いって言ったら嘘になる。けど救うって言葉は嫌いだな。」
黒沢カオル「私の事…どうして守るって思ったの?」
酒井雄二「ほおって置けないからね。…傷つくのを怖れてる人は優しい人だけだから、生きていなきゃいけない人だからね。」
黒沢カオル「生きていなきゃいけない…私…」
酒井雄二「あいつを最後まで守ってやれなかったから…だから、カオル君だけは絶対に守ってやるって…俺が死ぬまで絶対にって…。」
黒沢カオル「……。」
酒井雄二「正直あの時以来、人を好きになるなんて事はなかった。これから先もないって思ってた…。」
ト書き「酒井はふと上を見上げた。」
酒井雄二「けど今は違う…カオル君…が好きだ…好きになったんだ…俺は。」
ト書き「黒沢は、かぶっていた帽子を脱いで、まとめていた髪を下ろした。」
黒沢カオル「もう…こんな恰好しなくても、良いよね。」
ト書き「ほてほてと近付いて互いの距離を縮めると、黒沢は酒井の頭に、自分でかぶって居た帽子を乗せた。」
村上てつや「あっ、居たぁっ!」
酒井雄二「あら、発見されちゃいました。」
黒沢カオル「てっちゃん…。」
ト書き「駆け寄ってくる村上を、二人は何故か残念そうに見た。」
北山陽一「(あ〜あ…村上さんに発見されちゃいましたねぇ。」
安岡優「(そうだねぇ…折角、『遠ざけて』おいたのにさ。」
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