-ゴスドラマ過去ログ:11301-11400-
ト書き「村上を後ろに居る黒沢に振り向かず手を振った。」
安岡優「さて、僕たちもそろそろスタンバイしたほうが良いよね。」
黒沢カオル「う、うん…。」
ト書き「黒沢は綺麗に輝く黒水晶のロザリオを見つめた。」
北山陽一「…酒井さん…あなた何か隠しているでしょう?」
酒井雄二「(ドキ!)…いや〜何にも隠してなんか…ねぇ〜、北山くん、はっはっはぁ〜!…」
北山陽一「私が当てましょうか…村上さん居なくなるでしょう…当たってますね?!」
酒井雄二「はっ…はははは…はっ…。」
ト書き「酒井の顔は明らかに引きつっていた。」
北山陽一「村上さんが決めた事なのでしょう…。まぁ、良いです。」
ト書き「そう言うと酒井のところから安岡のところへと小走りで走っていった。」
黒沢カオル「…ねぇ、ヤスくん…」
安岡優「んっ?!なぁ〜に、カオルちゃん、緊張してきたの?」
黒沢カオル「ううん、そうじゃなくて…てっちゃんどうして私にこれをくれたのかなぁ…って…。」
ト書き「黒沢は安岡に黒水晶を見せるとそう呟いた。」
安岡優「…カオルちゃんに似合うからじゃない?てっちゃんが持っててもねぇ〜。…大事にするんだよ!…一生ね…。」
黒沢カオル「…うん…。」
ト書き「黒沢は、急に走り出した。」
安岡優「ちょっ…!」
黒沢カオル「ごめんっ、すぐ戻るからっ!」
ト書き「悠々と歩いている村上に追い付いた黒沢が、その腕にしがみついた。」
黒沢カオル「てっちゃんっ!」
村上てつや「っ…カオル…?」
ト書き「何か言いかけた村上の唇に、ロザリオを押し付ける。」
黒沢カオル「…何も言わないで…居なくなるのは…卑怯だよ。」
ト書き「ロザリオを口元から外し、村上は努めて笑顔になった。」
村上てつや「もう…『お兄ちゃん』は必要無いだろ?」
ト書き「鎖を外して、首の後ろで繋ぐと黒沢の胸元を飾ってやる。」
村上てつや「最期ぐらい…笑って、“さよなら”してくれよ。」
黒沢カオル「やだ…もう、これっきりなんて…嫌だぁっ!」
ト書き「目許を濡らす液体もそのままに、黒沢は村上の服の袖をを掴んだ」
村上てつや「…考えてみたら、初めてカオルに言うんだよな。この言葉……。」>br? ト書き「しゃくりあげる黒沢の顔を上向かせ、村上は親指で涙の跡を拭った。」>br? 村上てつや「さよなら。」
ト書き「力無く黒沢の腕がだらり、と下がった。」
黒沢カオル「……さよなら…てっちゃん。」
ト書き「黒沢の鼻を軽く摘んで揺すると村上は何も言わず、立ち去った。」
BGM「ゴーン……ゴーン……」
(管理人ミスによりログ一部消失)
安岡優「(二…」
黒沢カオル「(…1。」
ト書き「外に出ると同時に、黒沢は一方向を凝視した。」
効果音「銃声」
ト書き「黒沢は、よろめいて、倒れた。」
黒沢カオル「…(痛〜)。」
ト書き「まとっていた豪奢な衣類に、じわじわと赤い色が広がっていく。」
佐々木真理「きゃぁーーーーーーーーーーーーーー!!カオルッ!カオルゥー!!」
ト書き「予想外の痛みに、息を吐こうとしたが咳き込んでしまった。」
安岡優「カオルちゃんっ!」
黒沢カオル「ゆ…ゆ、たか?」
ト書き「駆け寄った安岡に、身体を預けて黒沢は意識を失った。」
安岡優「どっ、どうしよう?! 落ち着け、優!!」
ト書き「安岡は自分に言い聞かせるようにそう言うと、頭をひと振りした。」
安岡優「脈は……ある。大丈夫、気絶しただけ……。」
ト書き「誰にも聞こえないように呟き、安岡は黒沢の身体を抱き上げた。」
安岡優「真理さん…すいません、この場はお願いします。」
佐々木真理「えっ…ええ。」
ト書き「呆然としていた国民が騒ぎ始めたのを後目に、安岡は屋内に戻った。」
村上てつや「おい…マジ弾じゃねぇだろうな…これ。」
ト書き「姿を隠した後、村上は心配になっていた。」
安岡優「……本物じゃない…よね?怪我して出血してるんじゃないんだよね?」
北山陽一「…ええ、大丈夫です。血は本物ですけど。」
ト書き「あらかじめ用意していた車の中で、二人は横たわる黒沢を挟み会話をしていた。」
北山陽一「後で本当にこの服を撃つなりして、それなりの証拠を作らないと…。」
黒沢カオル「……いっ‥‥…たぁ〜〜…。」
ト書き「後頭部を抑えて、黒沢は呻いた。」
黒沢カオル「こぶ出来た…」
北山陽一「生きてる証拠ですよ。むしろ喜びましょう。」
安岡優「それにしても…考えるね、酒井さん。」
酒井雄二「んぁ〜?何がぁ?」
北山陽一「私設救急医療サービスを呼び出しておいて…それとそっくりの車両で逃走するって事ですよ。」
酒井雄二「猪口才な小細工の手段なら結構ストック持ってるからな…。まだ『王女』が死んだとは気付かれて無いから国境付近で別の車に乗り換えれば誰にも捕まえられないさ。」
黒沢カオル「成功…だよね…?」
北山陽一「えぇ…名演技でしたよ。」
ト書き「黒沢はにっこり微笑むと、車の外を見た。」
黒沢カオル「(ありがとう、てつ兄ちゃん…さようなら…お母様…みんな…みんな…」
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