-ゴスドラマ過去ログ:12701-12800-
黒沢カオル「それじゃ、むっちゃん。」
北山陽一「又、後日に。」
安岡優「ばいば〜い。お兄ちゃん。」
ト書き「ぞろぞろ、家主を除いた村上一家はクリーニング店から出た。」
村上てつや「あっ…お前らっ。」
酒井雄二「親父まで来ちゃったか。」
安岡優「あっ、おとーさんだー。」
ト書き「北山の腕から抜けて、安岡は村上に駆け寄った。」
村上てつや「やっぱり…ここに来てた。」
黒沢カオル「『やっぱり』って…何?私の事信じて…くれないの?」
ト書き「涙声で黒沢が村上に言った。」
村上てつや「だっ……」
北山陽一「父さん、これ…なんだと思います?」
ト書き「肩を掴んだまま、おろおろしている村上へ北山が写真を見せた。」
村上てつや「え…?これって…学校の時の…カオル…?」
酒井雄二「そ。修学旅行の時に写真屋のおっさんが写真におさめて、それを竹内さんから借りてきたんだ」
北山陽一「状態と状況はなんであれ、『寝顔』にはかわりない。…だろ?母さん。」
ト書き「黒沢は一つ頷いて、村上に近寄った。」
黒沢カオル「私が…ここにきたのはね…事実無根だって事をてっちゃんに伝えたかったから。てっちゃんと…仲直りしたかったから…なの」
村上てつや「カオル…俺…。」
ト書き「涙声で言った黒沢に村上は言葉を詰まらせた。」
村上てつや「ゴメンなっ…俺不安になってよぉ…カオルを信じてなかった訳じゃないんだ…」
黒沢カオル「もう良いの、てっちゃん。私もつい…ゴメンネ。」
安岡優「パパ…ママ…もうケンカしない??」
ト書き「安岡は黒沢と村上の手を掴むと、上目遣いで2人を見上げた。」
村上てつや「しないよ、約束する。」
ト書き「そう言うと、村上は安岡を抱き上げた。」
安岡優「絶対だよぉ!ぜぇ〜ったぁいしない?ボク…ママとパパのケンカしてるのもう見たくないんだぁ…。」
北山陽一「大丈夫だよ、優。親父も母さんも、もう喧嘩はしないよ。」
酒井雄二「喧嘩したら俺たちがなんとしてでも仲直りさせるさっ、だから優は心配しないの!」
安岡優「うん…ボク、ママもパパも、陽一にぃちゃんも雄二にぃちゃんもみんなだぁ〜いすき♪」
ト書き「安岡は小さい両手で大きな丸を書いて、『大好き』を表現した。」
黒沢カオル「さぁ、帰りましょ♪」
ト書き「黒沢は村上に寄り添うと”ニコッ”っと笑いかけ頭を村上の腕に付けた。」
ナレーション「帰宅する村上一家」
安岡優「たぁ〜だぁ〜いまぁ〜!!」
北山陽一「はぁ…(疲れたぁ…)アッ!!」
酒井雄二「どうしたんだっ?兄貴。」
北山陽一「俺、明日テストだったんだ…ヤバイ…。」
黒沢カオル「お勉強するの?」
北山陽一「このテスト落としたら単位取れないんだよ…。」
村上てつや「陽一なら大丈夫だろ?!そんな勉強ばっかりしなくても。」
北山陽一「………。」
村上てつや「もっしもぉ〜しっ??」
ト書き「ぶつぶつと何かを呟き、完全に自分の世界に入ってしまった北山と、それを見る4人。」
安岡優「よーいちにぃちゃぁーん??だいじょーぶ??」
北山陽一「……………。」
ト書き「北山はメガネを掛け直し、何も反応を示さず部屋に向かってしまった。」
黒沢カオル「大丈夫かしら?陽一…。」
村上てつや「ま、陽一のこったから、大丈夫だろ?!」
酒井雄二「そうそう!それより、俺気になったことがあるんだけど…。」
村上てつや「なんだよ?」
酒井雄二「さっきの写真の清純そうな母さんと、きっとガラの悪かったであろう父さんって、どういうきっかけで付き合うようになったんだ?」
北山陽一「あっ!それは、俺も聞きたい!」
ナレーション「北山さん、勉強してたんじゃ…?!」
北山陽一「それはそれ。気になるものは気になるんです。」
黒沢カオル「そうね〜。確か大学のサークルが一緒だったのよね。」
北山陽一「何の?何のサークル?」
ト書き「さっきとは打って変わって興味津々の陽一。」
黒沢カオル「確かねぇ…。」
ト書き「 人差し指を唇にあてて、黒沢は回想し始めた。」
安岡優「サークルって、何のさーくる?」
ト書き「安岡は首を傾げた」
村上てつや「…音楽…歌ってたんだよ、俺たち…。」
酒井雄二「エッー―――――!!!!」
北山陽一「母さんは良いとして…親父が歌ってた!!?」
黒沢カオル「そうそう♪てっちゃんの歌ってる姿がスゴクカッコよくてね〜♪」
安岡優「なに歌ってたのぉ??パパ。」
黒沢カオル「忘れもしないわ、スティービィー・ワンダーの曲よ。」
酒井雄二「親父が歌ですか…上手かったんですか?」
黒沢カオル「もちろんよ!ひときわ目立ってたわ、美声が。」
北山陽一「で、どっちが先に声かけたんですか?」
黒沢カオル「てっちゃんよね♪」
村上てつや「あぁ…。歌ってるときに、目の前に可愛い子が立ってたらなぁ…声かけるだろうよ。」
ト書き「村上は髪の毛をワシワシと掴み照れていた。」
酒井雄二「で?どうなったんですか?」
黒沢カオル「それがね〜……。」
ト書き「黒沢が、くつくつ笑う。村上は恥ずかしいのか、耳が真っ赤に染まっていた。」
安岡優「おかぁさん?」
黒沢カオル「声かけられたんだけど、逃げちゃったの…凄く吃驚して。」
北山陽一「に…。」
酒井雄二「逃げ…た?」
ト書き「そう。と黒沢は頷いた。」
黒沢カオル「あの人格好良いなぁって。こっちはぼぉ〜っとしてたのに肩叩かれて、振り向いたらその人が居たんだよ?吃驚して後ずさって」
村上てつや「…そのまんま、人込みの中に入って、見えなくなったんだよな…。」
ト書き「うんうん、と村上は頷いた。」
酒井雄二「逃げて…その後どうやって又しても出会ったんです?」
黒沢カオル「所謂異文化交流みたいなカンジ…の事がてっちゃんの大学で行われてたの。そこのサークルを見に行って、ばったり。」
村上てつや「で、「これは運命だ〜〜!」って・・・」
北山陽一「どっちから声かけたわけ?」
黒沢カオル「てっちゃんから…でもまた吃驚しちゃってね」
安岡優「また逃げちゃったのぉ??」
黒沢カオル「ふふふっ、それがねてっちゃんたら…私の手を掴んでいきなり『名前なに?』って…」
村上てつや「また逃げられたらなぁ…こんなチャンスめったにねぇーのに。」
ト書き「ぼやく村上。」
黒沢カオル「それでてっちゃんとは出会ったのよ♪」
村上てつや「頑張ってな俺、探したんだぜカオルの事…キャンパス内を隅から隅まで。」
ト書き「タバコに火をつけ、村上はカオルの側に寄った。」
村上てつや「そんな変なサークル本当は行く気しなかったんだけどよ、なんか足運んじゃったんだよなぁ。」
酒井雄二「でも母さんに会えたんだから…」
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