-ゴスドラマ過去ログ:13001-13100-
黒沢カオル「雄二っ、雄二っ……ほらっ『椅子』っ!」
ナレーション「いわゆる「ハウス」である。」
酒井雄二「……え?椅子?」
ト書き「床に寝そべっていた酒井が勢い良く起き上がると、その椅子を抱き…あやし始めた。」
酒井雄二「酒井雄二ショー!」
村上てつや「……おい、カオル……部屋に連行すンぞ」
黒沢カオル「……そうだね、起きたしね。」
ト書き「言うが否や、村上が左、黒沢が右側につき酒井の両腕をとった。」
黒沢カオル「ほら…行くよ。」
酒井雄二「…ん?あっ、え?」
村上てつや「手間かけさせやがって…。」
黒沢カオル「雄二ぃ…重たい…。」
酒井雄二「放せー―――!!ハハハハハハハッッッ!!!!」
村上てつや「暴れんなよっ!!カオル平気かぁ…?!」
黒沢カオル「ダメッ…限界…もぉ〜…。」
ト書き「苦しい表情の村上とカオル、笑いながら暴れている雄二。」
酒井雄二「ハハハハハハハハッッッ!!開けろー―――!!」
村上てつや「カオル…ドア…開けて、くれ…。」
ト書き「カオルはすぐに扉を開け」
ナレーション「…そして部屋に入った3人。」
酒井雄二「ぁあっ!!よーいちーアニキー起きろー―――!!!」
黒沢カオル「チョ、チョットォォォ!!」
村上てつや「バカッッ!やめろ、雄二!!オイッッ!」
ト書き「陽一の身体を笑いながら揺らす雄二、それを止めようとするカオルと村上。」
北山陽一「んぁ?!ゆ、雄二?何だよ、どうしたの?…うっ、酒くさい…。」
酒井雄二「オレは寝るーーーーーーーーーーーー。」
村上てつや「……。勝手な奴だな…。」
北山陽一「ベッドは向こうだ…行くんならとっとと、火急的早急に行け。そして寝ろ。」
黒沢カオル「容赦ないね。」
北山陽一「酔っ払いは流石に…相手をしてると時間の無駄になる時がありますから。」
酒井雄二「俺は〜〜、オレは〜〜酔っ払ってませんっ!」
村上てつや「自己申告は当てにならねぇんだよっ。」
ト書き「酒井の腰をめがけ、村上は蹴りを放った。」
北山陽一「と…父さん、暴力は…。」
ト書き「ベッドの中に沈む酒井を横目に、北山は少し狼狽えて云った。」
村上てつや「良いんだよ、少しお灸据えてやったんだから…。」
黒沢カオル「ちょっと待って。そもそも雄二にお酒飲ませたのてっちゃんでしょ?!」
村上てつや「う゛っ・・・」
黒沢カオル「てっちゃんは、雄二にお酒なんて飲ませて楽しいのぉ?!どうして・・・なんで?雄二は・・・雄二はまだ・・・未成年なのに・・・」
ト書き「目に、うっすらと涙を浮かべる黒沢。」
村上てつや「カっ・・カオルっ!・・・悪かった、俺が悪かった!!!」
黒沢カオル「なのに、「お灸を据えた」なんてっ・・・!」
村上てつや「分かったから!分かったから泣かないでくれ!!!」
黒沢カオル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、てっちゃんなんて知らない・・・。」
村上てつや「へ?」
黒沢カオル「私、実家へ帰らせていただきますっ!!!」
村上てつや「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛〜〜〜〜〜!!!」
ト書き「村上が驚いている間に、黒沢は眠りについたばかりの陽一・雄二、そして優を目にも留まらぬ早さで起こし、荷物をまとめ、出ていってしまった。」
効果音「バタン・・・」
村上てつや「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かおる?」
ト書き「あまりの展開の早さに、頭が着いていかない村上。」
ナレーション「その頃、カオルの実家では…。」
小林社長「カ、カオル、突然帰ってきてどうしたんだい?泣いているのかい?ぬぅう、村上めぇ、私の大事な娘をナかせおって!!」
黒沢カオル「お父様ぁ!」
酒井雄二「相変わらず、じい様は親父のこと気に入らないみたいですな…。」
安岡優「どうなっちゃうのかな〜。」
ト書き「安岡は体育座りで言った。」
安岡優「おとぉさんと、おかぁさん…離婚しちゃうの?」
北山陽一「そんなに速く事は進まないだろ。雄二、酔い覚ましの水。」
小林社長「陽一、雄二、優もこっちにおいで。お菓子があるから!」
安岡優「わぁぁ〜い♪ありがとう、おじいちゃん!」
酒井雄二「さっきまで泣きそうだったくせに…。」
北山陽一「ま、しょうがないでしょ。6才児なんだし…。」
小林社長「雄二!ほらっ、新しいゲームソフトもあるぞ。」
酒井雄二「わあぁ〜い♪ありがとう、じい様!」
北山陽一「雄二……。お前、6才児と一緒だよ…それじゃあ。」
ト書き「ふぅ、と一つ北山は溜め息を吐いた。」
北山陽一「……母さん?」
黒沢カオル「ん…あ、陽一?」
北山陽一「言った側から嘘付いちゃ駄目だよ。…この場合は約束破りになるの?」
ト書き「北山は黒澤の持っていたやかんを取ると、それを持って台所へ向かった。」
黒沢カオル「約束破ったって…てっちゃんの事?」
ト書き「ガスコンロにやかんを載せて火を着けると、すぐ側の壁に北山はもたれ掛かった。」
北山陽一「父さんもだけど、母さんもね。今日…っと、昨日になるのか、昨日優の前で喧嘩しないって…まぁ事実と少し違いはあると思うけど言ったよね。」
黒沢カオル「っ…。」
北山陽一「無闇にちっちゃいの不安がらせたりするとね、ひねくれるよ。」
ト書き「ガスコンロの火を落とし、北山はカップの用意を始める。」
ナレーション「あちらの部屋から優たちの笑い声が漏れてくる」
(管理人のミスにより一部ログ消失)
ト書き「カオルは少しぎこちなく自分のマグカップを棚から下ろした。」
北山陽一「大丈夫。ミルクはちゃんと多めに入れるから。」
黒沢カオル「砂糖は入れなくていいからね。」
ト書き「温めたカップに珈琲を注ぎ終わると、北山は視線を黒澤に向けた。」
北山陽一「大丈夫、母さんの好みは重々知ってるからさ。…知らないのは優ぐらいだよ。」
ト書き「ミルクピッチャーになみなみとミルクを入れると、黒澤へ押しやった。そして椅子に座る。」
北山陽一「俺は大丈夫だよ」
黒沢カオル「……?」
ト書き「独特の芳香を味わいながら黒澤は両手で持ったカップを持ち直した。」
北山陽一「雄二も…それなりに受け止められると思うけど、優はどうかって思うんだよね。」
ト書き「脚を組むと、北山は黒澤を眼鏡の奥から見据えた。」
北山陽一「『喧嘩する程仲が良い』のか…本当に別れるのか。俺は子供じゃないから母さんの言ってる事は相応に理解出来るよ。だから。」
黒沢カオル「…だから?」
北山陽一「少しぐらいは相談して。突っ走って、後悔する前に。」
黒沢カオル「…陽一、ありがと。でも今回の事は離婚とは関係ないの。」
北山陽一「じゃあ、なに?」
ト書き「黒澤はマグカップを降ろすと含み笑いをした。」
黒沢カオル「陽一ったら、いつの間にか大人になっちゃって。これじゃどっちが親かわかんないわね…。ごめんね、心配ばかりかけるお母さんで…。」
北山陽一「いや…別に俺は母さんの事が…」
黒沢カオル「ん?なぁに、陽一?」
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