-ゴスドラマ過去ログ:13701-13800-
ナレーション「社長に促されて居間に移る一同。」
北山陽一「で、どういう事なんですか?母さんの記憶と真理さんの結婚ってどんな繋がりがあるんですか?」
黒沢カオル「あの旅行は真理ちゃんの駆け落ちのカムフラージュだったのよ。途中で事故に遭ったことにして真理ちゃんは相手の人と一緒にいなくなる予定で。」
北山陽一「だから、母さんの事故での怪我は軽いものだったんですね。」
佐々木真理「そうそう、私が薫を押し倒して捻挫させたのよね〜。」
村上てつや「お前なぁ!!」
酒井雄二「まぁまぁ。で、何でその後母さんは行方不明なんかに?」
黒沢カオル「うん、真理ちゃんをよろしくお願いしますって、どうしても相手の人に言いたくて…。病院を抜け出して2人を見送りにいったのよ。そしたら、その相手の人が……。」
酒井雄二「相手の人が?!」
村上てつや「なんなんだ?」
黒沢カオル「お、男の人だったのよぉ!!!」
効果音「ずるっ!!」
ナレーション「黒沢のセリフに息を詰めて聞いていた一同が(真理さん除く)いっせいにコケる。」
北山陽一「…いや、それのどこが問題なんですか?」
黒沢カオル「だって、だって、真理ちゃんは男の子なのよ!!」
ゴスペラーズ「(黒沢除く)えぇぇぇ〜!!」
黒沢カオル「そういう人たちがいるって事は知ってたけど、まさか真理ちゃんがそうだとは知らなくて…。私、ビックリして…。」
佐々木真理「薫には言えなかったのよ。」
黒沢カオル「それで、2人が行っちゃった後、ぼーっとして足を滑らせて階段から落ちちゃったの…。で、ちょうど下に止まってた東京行きのトラックの荷台に載っちゃって…。」
酒井雄二「そんな、漫画みたいなことって…。いや、母さんだし…。」
北山陽一「あるかもな…。何たって、母さんなんだし。」
村上てつや「あるだろ。薫だからな。」
北山陽一「で、そのショックで記憶を無くした…と。」
酒井雄二「それが空白の2年間のはじまりってわけですか…。」
村上てつや「医者が言ってた精神的なショックってのは、真理に『彼氏』がいたってことか…?ってことはつまり…、原因はお前かぁ!!真理ぃ!!」
佐々木真理「…そうみたいねぇ。う〜ん、人生ってどう転ぶか判らないわ。」
ト書き「他人事のように言い放つ真理女史。」
安岡優「おばちゃん、『おじちゃん』なのぉ?」
ト書き「百万ドルの笑顔でしゃあしゃあと質問を投げかける優。」
北山陽一「優、カワイイ顔したらなんでも聞いていいってわけじゃないんだよ。」
安岡優「カワイイ顔って、こんな顔?」
北山陽一「いやそれブスな顔?」
酒井雄二「iya,」
安岡優「え?なに?」
酒井雄二「それって、ほえ面?」
安岡優「ひっでぇっ、おにーちゃんのバカー!ぐれてやるぅうー!」
黒沢カオル「こらぁ!ぐれるなんて!お母さん許しませんよっ!」
村上てつや「つぅーかよ…真理ぃ!お前のせいでなぁ〜2日間大変だったんだよぉぉ!!」
佐々木真理「ったくぅ…私のせいにしないでよぉ。村上にだって本当は悪い事あるんじゃないのぉ?私のせいだけじゃないのかもよぉ?」
酒井雄二「意味深発言……。」
安岡優「…あっ!…」
北山陽一「どうした?優。」
安岡優「僕のコト…ママ、僕を生んだ記憶…無いんだよね…?」
ト書き「優の言葉に空白の間が流れた。」
佐々木真理「ちょっちょっちょっとぉぉぉぉ!村上、カオルが記憶失ってる事を良い事に、違う女の子を連れてきたんじゃないでしょうね???」
黒沢カオル「てっちゃん!?」
酒井雄二「親父…。」
北山陽一「…マジかよぉ?…親父…。」
小林社長「おのれ、貴様ぁぁぁっ!」
村上てつや「チョッ、オイ!待てよ!!なんでだよ?!真理ぃ、てめえ〜!根も葉もない嘘言うんじゃネェよ!…カオル、お父さん、お前らも信じろよ、なぁ!?」
佐々木真理「村上ならありえそうだもんねぇ〜。大学時代からカオルの他に結構女、居たらしいじゃなぁい?罪なヤツ!」
黒沢カオル「…てっちゃん…そんな、酷い…私…信じてたのに…てっちゃん……。」
ト書き「カオルの目にうっすらと涙がちらついた。」
安岡優「??ボク…ママの子じゃないの?ボク…ボク…パパ??」
ト書き「薫に続き優の目にもうっすらと涙が…。」
北山陽一「母さん泣かないでくださいよ。」
酒井雄二「優も、ホラッ。」
村上てつや「……わかったよ…そんなに信じらんないんだよな?カオル…。……別れよう…。 」
黒沢カオル「……?!てっちゃん…?」
村上てつや「そんなに俺の事……もういい、わかったよ…。」
ト書き「そう一言残すと村上は玄関の方に向かい静かに歩いていった。」
酒井雄二「待てよ、親父。」
ト書き「がし、と北山が村上の腕を捕らえる。」
北山陽一「…どうにも、本人の記憶が無いからと言って、疑う訳にはいかないでしょう。言い訳ぐらい、していったらどうだ?」
酒井雄二「母さんが思い出したのは…自分の記憶が無くなるきっかけ」
北山陽一「雄二の後を引き継ぐと、…全貌は全て見えてないから、親父にもう一度チャンスを与えてくれって事。」
村上てつや「お前ら…。」
ト書き「力強く村上を引っ張って、引き戻し村上の腕を離す。」
酒井雄二「母さん泣かせた責任ぐらい、ちゃんと収拾してから出てって下さいよ。」
北山陽一「泣かせっぱなしじゃ、俺も親父を許せなくなっちゃうんでね。」
酒井雄二「突っ走らないで下さいよいくらなんでも…親父だって言いたい事はたくさんあるんでしょう?」
村上てつや「…別に……。」
北山陽一「ったく、変なところで意固地にならなくても…。これで親父が出てった所でどうなるんだよ?」
村上てつや「じゃなんだ?誰も信じてくれそうもねぇこの状況でよ、言い訳したところでどうなるってんだよ?」
北山陽一「たとえ俺らが親父を疑ったとしても、一度愛したアンタを母さんは信じるんじゃないか?」
酒井雄二「母さんはきっと親父の言葉を聞きたいと思うよ…。例えそれが嘘であったとしても、信じたいって気持ちがある限り…。1%でも期待してるよ、絶対に…。」
北山陽一「座れよ…親父…。」
ト書き「無理矢理村上を椅子に座らせる北山と酒井。」
黒沢カオル「てっちゃん…。」
村上てつや「…話しても…良いか。約束したしな。」
ト書き「ぽつり、と呟くと村上は顔の前で指を組ませた。」
黒沢カオル「誰と…約束したの?優の…お母さん?」
ト書き「椅子に座った優が表情を強張らせる。」
村上てつや「信じて貰えるかどうか…。ま、お前らの自由だけどよぉ、カオル」
黒沢カオル「な…に?」
村上てつや「人格って言えば良いのか?カオルの中に別人の人格が発生して…仮に」
北山陽一「仮に『薫』とでも呼んでたんですか?」
村上てつや「そんなもんだ。…最初、俺とか…陽一とか雄二の事、それに色々の事がぽっかり抜けた、すかすかの記憶を抱えてたのが…『薫』だった。」
黒沢カオル「私じゃない…私。」
村上てつや「ああ…でも、癖とか好みは全部カオルと同じだ。最初は介護を拒まれたけど、だんだん俺の事を受け入れてくれるようになって…その時に腹が膨らみ始めたんだよな。」
安岡優「…それがボク…?」
村上てつや「優が生まれる前日、『薫』が俺にさ…。」
酒井雄二「親父に?…なんだよ?」
村上てつや「『このお腹の子、あなたと私の子だから…本当の【カオル】には不安がらせないで…彼女は私の存在には気がついてないから』って…。」
北山陽一「つまり…『薫』っていう母さんのもう1人の人格は、母さんの事分かっている。」
酒井雄二「母さんが気付かないうちに、母さんは親父の子をはらんでたんだ…。」
黒沢カオル「私が記憶の無い間はもう1人の私が…。その間に優が生まれて…だから私は記憶が無いのね。」
安岡優「僕…僕、本当にパパとママの子なの?…僕、わからないよぉ…。」
北山陽一「優にはまだ難しいなぁ…。でも大丈夫、親父はちゃんと話してくれて、俺も雄二も優が本当の弟だってわかったから。だから安心して良いよ。」
黒沢カオル「ごめんね、てっちゃん…私そんな事わからなかったから……。」
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