-ゴスドラマ過去ログ:14101-14200-
一般人(男)「【医者】>いえ、なんでもありません。」
ト書き「医者は看護婦に投薬の指事を出してそのまま出ていった。」
北山陽一「なんで…しょうか…?」
酒井雄二「気になりますな。」
ト書き「怪訝そうな表情になる二人の後ろで、黒沢が看護婦に呼ばれた。」
一般人(女)「【看護婦】>あの、ちょっと…来て貰えますか?一番大きいお子さんと…一緒でも宜しいですので」
黒沢カオル「へ?お、お子さん?」
一般人(女)「【看護婦】>…先生から説明があるそうなので…奥様お一人で、」
黒沢カオル「はっ…あっ…えぇ?」
北山陽一「同席させて戴きます。良いよね?『母さん』。」
ト書き「何時の間にか、黒沢の背後に立っていた北山が申し出ていた。」
一般人(女)「【看護婦】>では、こちらへどうぞ。」
ト書き「看護婦が先に立つ形で黒沢と北山は部屋を出た。」
酒井雄二「あぁ〜わかった!黒沢さんの身体戻ってないからね…奥さんかと思ったわけだ。」
安岡優「なるほどねっ!…ある意味…芝居と平行してる?」
酒井雄二「みたいだな…」
ト書き「ボーっとしてる村上を他所に、微笑を浮かべる安岡、酒井。」
一般人(男)「【医者】>…どうぞ、お掛け下さい。」
北山陽一「あの…村上…あっ、『父さん』どうなんですか?」
一般人(男)「【医者】>まぁ、彼方にはさっき説明したと思いますが…。当分入院が必要ですね。」
黒沢カオル「村上、そんなに悪いんですか?!!」
一般人(男)「【医者】>えっ??」
ト書き「黒沢の言葉に驚く医者。」
黒沢カオル「あっ…イッイヤ…てっちゃん、そんなに悪いんでしょうか?」
ト書き「自分が”奥さん”だと思われている事を思い出し、急に女性らしくなる黒沢。」
一般人(男)「【医者】>お仕事、お忙しいでしょう?疲労、ストレスの溜まり過ぎで、胃に穴が開いているみたいです。腹痛の原因はそれかと。」
北山陽一「…あの『胸が痛くて苦しくなって、頭もグラグラした』と言っていたんですが…」
ト書き「北山の言葉に、医者はカルテを見ながら黙り込んでしまった。」
一般人(男)「【医者】>呼吸器系の病気は…かかったことありますか?喘息とか」
黒沢カオル「えっ」
北山陽一「『母さん』…知ってる?」
黒沢カオル「全然…本人からは聴いた事ありません。」
一般人(男)「【医者】>ストレスの所為で、一度治癒したはずの小児喘息が再発した、というケースがありますから…。」
黒沢カオル「ストレスで…。」
一般人(男)「【医者】>いえ、これは一ケースに過ぎませんから。全ての検査の結果ではっきりした事が判れば又お知らせします。」
北山陽一「すいません…『父』をお願いします。」
一般人(男)「【医者】>いや、病は気から、という言葉もあるように。本人の意思も大切なんです…お父さんを元気づけてあげて下さい」
黒沢カオル「…はい。」
ト書き「北山が丁寧に頭を下げて、二人はナースステーションを後にした。」
北山陽一「元気、出してくださいね・・。『母さん』」
黒沢カオル「北山、もう『母さん』やめてくれよ…。」
北山陽一「ハハハッ。 まっ、あの気の弱い兄さん」
黒沢カオル「…村上の事?」
北山陽一「えぇ…。励ます事の出来るのは黒沢さんだけですからね…。12年間一緒なんですから。」
黒沢カオル「…正しく言えば11年たけどね…。」
北山陽一「…長い、ですね。」
黒沢カオル「だからお互い信頼し合ってるって言うかさ…あうんの呼吸と言うかさ…。」
北山陽一「ツーカーの仲、と迄はいかないだろうけど。話するんなら村上さんにとって気のおけない人の方が良いでしょ。」
ト書き「言葉に吃驚したのか、反射的に北山の表情を見る黒沢。」
黒沢カオル「“気のおけない”って…って、あ、良いのか。」
北山陽一「信用出来る人っていう意味合いなんですけどね…。」
黒沢カオル「うん…。」
ト書き「心配そうな顔をしている黒沢をまじまじみつける北山。」
北山陽一「大丈夫ですよ。黒沢さんなら。」
黒沢カオル「ん…。ホント、何時もありがとな…北山。」
北山陽一「村上さんも本当に罪な男ですね、黒沢さんに心配ばっかりかけて…。」
黒沢カオル「ん……でも、いいんだ。心配だけだから。いつでも最後には、悲しくなんて、ならないから……。」
北山陽一「きっと村上さんも黒沢さんの事考えてるんですよ…。」
黒沢カオル「そうかなぁ…ハハハッ、そうとは見えないけどね。」
ト書き「可愛い顔して何気にキツイ事を言う黒沢。」
北山陽一「その心配させたがりあ待ってますから、病室に顔出ししときましょう。」
黒沢カオル「…うん。」
ト書き「そう遠くもない距離をほてほて歩き、二人は5秒も経たないうちに病室に着いた。」
酒井雄二「医者さんは何だって?」
北山陽一「潰瘍が出来てるって事と…あと呼吸器系の病気が…云々だそうで。」
安岡優「センセ…それって漫画の『かくかくしかじか』とおんなじじゃん。」
黒沢カオル「ともかく、そんなに悪くないみたいだよ。良かったね、てっちゃん。」
村上てつや「ふ〜ん…本当にそれだけかぁ?」
酒井雄二「先生が言ってたよ、『病は気から』って…ひとまず検査結果が出るまで入院。」
北山陽一「お前聞いてたのかよ??」
酒井雄二「トイレ行ったついでです…通りかかったら聞こえてしまったもんですから。」
黒沢カオル「それって”ついで”って言わないと思うんだけどなぁ…。」
安岡優「確かに…。」
村上てつや「…そうか……。」
ト書き「酸素マスクを付けている村上は少し遠い眼をした。」
黒沢カオル「大丈夫だよ、村上。検査結果が出たらすぐ退院だって。心配するなよぉ!!」
安岡優「そうだよ、リーダーの事だから病気の方が恐くって寄って来ないよ!」
村上てつや「…そうだと良いんだけどな……。」
安岡優「…俺何か悪い事言っちゃったかなぁ?…」
マネージャー竹内「小声で北山に向かって言う安岡。」
酒井雄二「うわっ!!なんですか、いきなり!!」
ト書き「私のセリフ取らないで下さい、竹内さん!!」
北山陽一「ヤス時と場所を選んで言葉を使え…仮にもあいては病人なんだから。」
黒沢カオル「…村上……。」
ト書き「みんなと目を合わせようとしない村上。心配する黒沢に北山は肩を優しく軽く叩いた。」
北山陽一「良くなろうって、前向きになってれば直ぐ良くなりますよ。」
黒沢カオル「そうだよ、てっちゃん。元気出してよ、俺達のためにも。」
村上てつや「…おう。心配かけて悪ぃな。俺ちょっと疲れたから寝るわ。」
ト書き「静かに目を閉じる村上。それを見て静かに退散する4人。」
黒沢カオル「…相当参ってるね…今まで入院とかもした事無かったしね、無理もないけどさぁ…。」
酒井雄二「あの時相当な痛みだったんだろう、精神的ダメージって言うの?!」
安岡優「あぁ見えて結構打たれ弱いもんね、てっちゃん。」
北山陽一「悪い方向に行かない事を祈るのみ…ですね…。」
ト書き「その時、遠くからバタバタと急ぐ足音が聞こえてくる。」
小林社長「村上が倒れたって!?無事なのか!?!?」
安岡優「社長〜、遅いです〜!!」
北山陽一「村上さん、今さっき寝ちゃいましたよ。」
ト書き「扉の前に立ち社長が入るのを防ごうとする北山。」
酒井雄二「検査結果が出るまで案性にと言う事なので、ひとまず入院になりした。」
黒沢カオル「仕事のキャンセルよろしくお願いします。」
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