-ゴスドラマ過去ログ:16501-16600-
安岡優「……ってこれもドラマの中の事だったのぉ??」
北山陽一「どう言うことですか?村上さん!」
村上てつや「…ファミリーコメディの途中で新しいシナリオが届いたんだよ。お前らに内緒で次の話しを始めるからって…。」
酒井雄二「…誰からですか?」
村上てつや「…社長。」
北山陽一「じゃあ、社長もグルだったんですか?」
安岡優「ひどいよ!何でそんなことすんのさ!」
村上てつや「社長がファミコメじゃ面白みが足りないからって……。俺は止めようって言ったんだぜ!」
酒井雄二「それでも結局は話しに乗ったわけでしょう?同罪ですよ!」
安岡優「そうだよ!…う、うわぁ!」
ナレーション「黒沢がいきなりボートを岸に向かって漕ぎ始めたおかげで安岡はバランスを崩して船底に尻餅をついた。」
北山陽一「く、黒沢さん?」
効果音「黒ぽん?あ、あの……。」
安岡優「それ、俺が言うんじゃ…。」
ナレーション「無表情のままボートを漕ぎ続ける黒沢に北山と安岡はちょっと不安になった。」
村上てつや「おい!黒沢!とめろよ!」
ナレーション「村上の声を無視した黒沢は岸にたどり着くとボートを降りた。」
黒沢カオル「俺、先に帰る!」
北山陽一「え?いや、でもここからペンションは遠いですよ。」
黒沢カオル「平気!村上の顔見たくないから、歩いてでも帰る!」
安岡優「そんな…。じゃ、俺送ってくから…ね、落ち着いて。」
黒沢カオル「どれだけ心配したと思ってるんだよ!人のこと馬鹿にして!!」
北山陽一「黒沢さん、落ち着いて!」
黒沢カオル「俺のことはほっといてっ!!」
安岡優「ほっとけないよ!俺黒ぽん連れて先に帰るから、あとよろしくね!」
ナレーション「なだめるように黒沢の肩を抱いた安岡は、北山にそう言い残して車へ向かった。」
村上てつや「黒沢!待てよ、黒沢ッ!!」
ト書き「村上の発した日本語は、黒沢に聞こえないフリをされて意味のないものになった」
酒井雄二「……自業自得、因果応報、主客転倒……、昔の人は良い言葉残してくれますね…。」
ト書き「しゃがみ込み、頬杖をついた酒井がぽつりと呟いた。」
北山陽一「もう、良い大人なんで表には出してませんが。心底はらわたが煮えくり返ってるんですけどね…。」
ト書き「準備運動さながらの動きをして、一つ北山は息を吐き、そして。」
北山陽一「歯、ちゃんと食いしばって下さい…でないと、舌噛みますから。」
ト書き「堅く握られた拳が、村上に振り降ろされそうになる。」
効果音「ばしっ」
ト書き「目を閉じていた村上が、恐る恐る開くと酒井の手の平で北山の拳がとめられていた。」
酒井雄二「お…いったぁ〜〜っ!」
ナレーション「受け止めた方の手を天にかざして、痛がる酒井雄二。」
北山陽一「何で…なんで止めたんですか、雄二さんっ!?」
ト書き「手首から先をぶんぶん振って、酒井は少し困ったような表情を取った。」
酒井雄二「そりゃあ…感情のままに行動したら、後々8割5分の確率で後悔するからさ。俺は、リーダーが殴られても仕方の無い事をしたと思ってるが、今はそれよりももうちょっと冷静になるべきだろ?」
ト書き「その言葉に項垂れる、北山・村上の2人の肩を叩いて酒井は一方向を指差した。」
酒井雄二「…あそこの甘味処で、容疑者に加担したと思われる男の話を聞いて差し上げようじゃありませんか……。勿論、おごりでね。」
ナレーション「酒井に促されて二人は歩き出した。」
村上てつや「あ…あの…さ。」
酒井雄二「んー?」
ト書き「珍しく動揺の色を隠せないのか・・なかなか続きの出てこない村上」
村上てつや「言い訳にしか聞こえないかもしれないけど・・・止められなかったんだよ・・」
北山陽一「・・・・・意志の弱さです」
ト書き「酒井の言う「甘味処」に着いた一行」
酒井雄二「さてと、話を聞いてみましょうか。」
北山陽一「言っときますけど、情状酌量の余地は無いですから!」
酒井雄二「まぁ、取り敢えず落ち着け北山。」
北山陽一「落ち着けません!黒沢さんのあんなに怒った姿見たの初めてですよ!」
安岡優「俺もだよ!いつもすごくやさしい黒ぽんなのにぃ・・・・」
村上てつや「………」
小林社長「なんだなんだ。どうしたんだ?いきなり呼び出して。」
北山陽一「なんだじゃありませんよ!ちゃんと説明してもらいますよ!」
酒井雄二「まぁまぁ。」
村上てつや「北山…あんま社長を責めないでくれよ…。」
北山陽一「冗談じゃないですよ。だいたいアナタにそんな事言う資格ありません。」
小林社長「おいおい。何もめてるんだ??」
北山陽一「まだとぼける気ですか!?」
村上てつや「社長も仕方なくシナリオに従ったんだよ!…な?社長!」
小林社長「え?…あ?…うん?」
ト書き「慌ててフォローする村上を酒井と安岡は怪訝な表情で見つめる。」
安岡優「俺、黒ぽんの様子みてくるね。」
ト書き「そう言って部屋を後にする安岡。」
村上てつや「だからさ俺の病気も全部シナリオ通りに演技してただけで…社長は何も悪くねぇから。」
小林社長「村上…。」
北山陽一「じゃあ全ての責任は村上さんにあるんですね?」
村上てつや「あぁ…どんな罰も受けるよ。」
北山陽一「それでは…。」
安岡優「黒ぽん、だいじょうぶ?」
黒沢カオル「うん。…すっごい腹立ってるけど…ね。」
安岡優「あのさ〜俺、てっちゃんが嘘ついてるように思うんだよね。」
黒沢カオル「そうだよ。てつは俺等をダマしてたんだよ。」
安岡優「いやいや、そうじゃなくて。ホントは嘘のシナリオなんて存在しないんじゃないかなって…。」
黒沢カオル「どういうこと?」
安岡優「つまり、むしろ今現在が演技なんじゃないかな〜?ってさ。」
黒沢カオル「真実を誤摩化してるって事?」
安岡優「だってどんな名役者でも、あんな咳き込んだり出来無いでしょ〜?特にてっちゃんなんて不器用だし。」
黒沢カオル「そういえば、そうだよなぁ。。。。じゃ、わざと?!」
ナレーション「こっくりと頷く安岡。」
黒沢カオル「でも……。」
効果音「バリンッッ!!!!」
安岡優「……なに?!てっちゃん達がいる部屋からだ。」
黒沢カオル「ヤスっ!」
ト書き「安岡は黒沢へ頷き返し、ドアを開けた。」
黒沢カオル「おいっ!」
安岡優「ちょっと待って、黒ぽん。」
黒沢カオル「…なんだよ。」
ト書き「『ドア』の存在した空間に立つ黒沢を呼び止め、安岡は怪訝そうな表情を浮かべる。」
安岡優「慎重に動いた方が良いかも…。」
黒沢カオル「 ? ……何?」
安岡優「あれだけの物音がしたのに、全然その後静かじゃん。…故意に、誰かが物音出したのかも知れない。」
黒沢カオル「どういうことだよ?俺にはわかんないよ。。もし、本当にてつに何か起きたんじゃないか?」
安岡優「……大丈夫。根拠は無いけど、そんな気がする。」
黒沢カオル「分かった。ヤスを信じるよ。」
ト書き「黒沢の肩に置いた手を安岡は外し、扉を見つめた。」
[TOP|NEXT|BACK]