-ゴスドラマ過去ログ:16801-16900-
酒井雄二「ヤス、そうしよう!殺気を感じてならない…。」
安岡優「う、うん…。」
ナレーション「殺気って!失礼ですよ、酒井さん!」
安岡優「わかったよ」
酒井雄二「ささ、退陣。」
ナレーション「安岡を押すようにしてこの場を去る酒井。」
安岡優「なんでばれたんだろう???」
酒井雄二「ばれない方が不思議でしょう。あれだけ声を出しておいて。まったく。」
黒沢カオル「ありがとう、ナレーションさん。酒井と安岡を追い払うのはやっぱり気持ちがとがめてさぁ。」
ナレーション「だからって私を使う事ないのにぃ…。」
ト書き「酒井・安岡を追い払うのに利用されたナレーションであった。」
安岡優「悪い事しちゃったかなぁ…黒ぽんに。」
酒井雄二「かも知れませんね…『1人にしてくれ』…。」
ナレーション「一方、ペンションでは…。」
村上てつや「飲みもん飲みもん♪っと…。」
ト書き「陽気にキッチンへ向かう村上、リビングにいる北山に全く気がつかない。」
北山陽一「アルコールはだめですよ!」
村上てつや「……あ。」
北山陽一「病気じゃなくても…まだ夜じゃないんですから…。」
村上てつや「おうっ…わかってるよ…。」
北山陽一「村上さん…本当に”嘘の病気”だったんですよね?」
村上てつや「あぁ……俺の身体はいたって健康だよ。」
北山陽一「これは”演技”じゃないですよね?」
村上てつや「…あぁ…(何で痛いところばっか突くんだよ…本当に悟ってんのか?まさか、安岡言ったのか?)…。」
北山陽一「信じて良いんですね?…村上さんを…。」
ト書き「北山の言葉に答える事の出来ない村上は、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと部屋に戻った。」
北山陽一「…(やっぱり違う…嘘なんですね…村上さん…)…。」
ト書き「心痛の面持ちのまま、北山はリビングへ戻った。」
村上てつや「(…やっぱり、バレてんのか?)」
北山陽一「どうして、…ホントの事だけじゃ、満足出来ないんだろう…。どうして…言葉にすると嘘になるんだろう。」
ト書き「細い膝頭を抱いて、北山は考えていた。」
村上てつや「(他のメンバーにはばれてもいい・・でも、くろさわだけには・・・)」
ナレーション「村上はミネラルウォーターを一口飲んで、ベッドに座った。」
酒井雄二「ただいま戻りました!」
北山陽一「あ、雄二か……お帰り。」
ト書き「安岡の姿が見えない」
北山陽一「あれ?安岡は?」
安岡優「いるよ〜北山さん〜。もぉ酒井さんってば飛ぶ様に帰ってくんだもん」
酒井雄二「こんな状態ではアノ場に1秒たりともいたくないですよ!」
ト書き「今なお鳥肌のたった腕を2人に見せる酒井」
北山陽一「何かあったんですか?」
ナレーション「さ〜か〜い〜さ〜〜ん!!」
酒井雄二「何だ?うるさいぞ??」
安岡優「なに?」
北山陽一「わ!!!ナレーションだ!!」
ナレーション「えうえうえう(泣)」
効果音「ナレーションさん、かわいそう…」
酒井雄二「う……そんな目で見ないでくだせえよ……」
安岡優「酒井さん・・しゃべりかたおかしい・・・」
酒井雄二「そんな事はござらんよ。ところで他の2人は?」
北山陽一「小林社長は帰ったし、村上さんは……。」
安岡優「…部屋?」
北山陽一「…飲み物取りにさっきココに来たんですよ…けど…。」
酒井雄二「何か言った訳?」
北山陽一「…『”演技”じゃないですね?”信じて良い”んですね?』と…最後の言葉に返事はなかったのですが…。」
安岡優「俺様子見てくる…。大丈夫!ただ様子を見に行くだけだから…。」
酒井雄二「何も言ってないのに”大丈夫”って…。」
ト書き「足早に村上の部屋に向かう安岡。」
効果音「コンコン…コンコン」
安岡優「…てっちゃん…入るよ。」
ト書き「そっと部屋に入る安岡、ベットに座りぼんやり外を眺めている村上。」
村上てつや「ヤス〜…お前…北山とか酒井に言ってないよな…?ましてや黒沢になんか…。」
ト書き「ボーっとした口調で話す村上。側に歩み寄る安岡。」
村上てつや「さっき北山がよぉ…」
安岡優「聞いたよ!…聞いたよ…北山さんに。ねぇ…黒ぽんが”BLACK&BUTな状態”ってどういう状態のとき…?」
村上てつや「…何かあったのか?」
安岡優「うん…”1人にして”とか、”願いなんてどうでもいい”みたいな…ともかくいつもの黒ぽんじゃ考えられないような”言葉”ばっかり…。」
村上てつや「……バレバレじゃねぇかよ。」
ト書き「前髪を後ろに撫で付けながら、村上は椅子に座り直した。」
安岡優「ね。…具体的にはどういう…カンジの時?」
村上てつや「俺の主観で良いのか?」
安岡優「それを訊けるのはてっちゃんだけだから、…不本意ながらって事にしといてよ。」
ト書き「村上は苦笑しながら、ネジ式のボトルキャップを開けてミネラルウォーターへ口をつけた。」
村上てつや「言っとくが…あいつも普通の人間だからな。地球外生命体とかじゃないんだから。」
安岡優「…知ってるよ、それくらい。先……続けて。」
村上てつや「んーー」
ト書き「目を閉じて考える村上。」
村上てつや「そうだなぁ……。」
安岡優「…もったいぶらないでよぉ〜。」
村上てつや「…俺が何かに対して投げやりになった時…『村上らしくない!』ってそういう時はいつも言ってるな…アイツ。」
安岡優「他には?」
村上てつや「…黒沢が自分でもどうして良いか分からなくなった時…心の中の自分が無意識のうちに出て来るんだと。」
安岡優「後の方かもね…今の黒ぽんの状態って…。大丈夫かなぁ。」
村上てつや「イヤ、両方かもな。見透かしてるよアイツ…俺気持ち…。」
安岡優「やっぱり俺、言った方が良いと思うよ。このままじゃ黒ぽん…。ねぇ、遅くないよ、てっちゃん!!」
村上てつや「さっき言っただろ…これ以上、黒沢に迷惑かけたくないって…俺が耐えればいい事なんだよ…黒沢の心を大事にしたいんだよ…お前には言っただろ。」
安岡優「でもさっ!」
村上てつや「…もう、遅いかも知れないけどな。」
ト書き「困ったような表情を浮かべて、村上は言った。」
村上てつや「自分の事よりも優先したい時ってのがあるんだ。…俺は…それがあいつだったって事だけさ。」
黒沢カオル「阿呆。」
ト書き「ぺしっ、と黒沢は村上の後頭部をはたいた。」
安岡優「黒…ぽん…買い物行ってたんじゃ…。」
黒沢カオル「途中で引き返して来た……(財布忘れたし。」
村上てつや「…何処から聞いてたんだ。」
黒沢カオル「色んなトコから。なに、阿呆じゃなかったら脳足りん?アンポンタン?まだまだ一杯罵倒用語出てくるよ。」
安岡優「黒ぽん…その辺にしときなよ。」
黒沢カオル「あのな…。俺を何だと思ってンだお前は。少女漫画で血でも吐く王子様か。」
安岡優「そんな漫画、もう無いけど。」
ト書き「無言の村上をおいて、安岡が黒沢へツッコミを入れる。」
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