-ゴスドラマ過去ログ:18101-18200-
酒井雄二「それは・・・・・」
ト書き「酒井は事の経緯を全て話した。村上の発言によって、自分がどれだけ悔しく・かなしい思いをしたかも全て」
酒井雄二「それに・・多少の自己嫌悪もあるんです」
北山陽一「どうして?」
酒井雄二「・・・・・・・・・・」
一般人(女)「【ウエイトレス】お待たせしましたぁ〜。ハンバーグAセットのお客サまぁ〜」
ト書き「沈黙の中、料理が運ばれてくる。3人はまたウエイトレスが去るのを待ち、話しを始める」
安岡優「おいしそぉ♪とりあえず食べようよ!いっただきま〜す」
北山陽一「そだな。食べよう。」
酒井雄二「いただきます・・・」
安岡優「うまーいぃ♪・・てっちゃんたちどうしてるんだろう?」
ト書き「っはと現実にかえる3人・・・・。」
酒井雄二「多分診察の最中ですよ・・・・」
ナレーション「淡々と、感情もなく喋る酒井雄二」
ト書き「焦って話題を変えようとする北山安岡ご両人」
安岡優「難しい話は後にして、まずはおなかいっぱい食べようね。」
北山陽一「腹が減ってたら、良い考えも浮かびませんしね。」 酒井雄二「…腹が一杯でも、どうにもならん事はどうにもならんさ…。」
安岡優「ゆぅじ……。」
ト書き「一呼吸置いて、沈痛な面持ちになると酒井は食器から視線をあげる。」
酒井雄二「例えば……『ピサの斜塔』!あれなんてどうだ!?餓死寸前の人類総てが腹一杯になったとて、斜塔は斜塔!元には戻らんっ!」
安岡優「っ……?……」
ト書き「きょとん、と大きな音が聴こえてきそうな表情で2人は酒井を見た。」
酒井雄二「はぁ………。」
ト書き「コーヒーを交ぜながら、酒井はため息を吐いた。」
安岡優「なんかさぁ・・・」
ト書き「食べる手を止め安岡がポツリと言った。」
安岡優「みんな違うよね…生まれた所も、育った環境も違う5人が一緒に過ごすって…難しいよね…。」
北山陽一「…難しいかぁ…そうだよな。」
安岡優「でもさ、みんな一緒だったらきっと毎日が物足らないんだろうね…違うから、みんな1人1人違うから衝突しあったり、理解しあったり、毎日毎日がハプニングの連続でさぁ…。」
ト書き「下を向いていた安岡はゆっくり視線を酒井に向けた。」
安岡優「【人は1人では生きていけない】…上手い事言ったよね、本当にそうだと思うんだぁ、俺。それぞれ違う人たちが助け合って色んな道を歩いていく事が、本当に”生きていく”っていう意味だと思うんだ。」
酒井雄二「…安岡…。」
安岡優「……なんか、珍しく難しいこと喋っちゃた・・・」
北山陽一「ヤス……」
酒井雄二「漢字をいっぱいしゃべってたな。えらいぞ、ヤス!」
安岡優「はにゃ!ありがと♪ …で、酒井さん。自己嫌悪におちいってるの??」
北山陽一「ヤスが頑張って喋ったんですからね、雄二もシッカリ話して下さい。」
酒井雄二「俺は…」
ナレーション「重い口を開く酒井」
酒井雄二「多分、リーダーに期待してたんだろうな。…過剰なぐらい。」
北山陽一「『期待』、ですか。」
酒井雄二「怒らせて、向こうが感情を爆発させれば…少しは冷静になった時周囲に目が向くのではないか…とか。でも人間性を測り間違えてまして。」
安岡優「悩む時は一人で底まで沈んじゃうから…頼って欲しくても、手を出せないんだよね。」
酒井雄二「責任感と、自らが総ての責任を好き好んで被るのは違うっしょ?」
北山陽一「…そうですね…。」
酒井雄二「口があるのなら、その使用法法を間違わなければ良いだけの事で、…もっと活用して欲しいんですよ。」
北山陽一「…だ、そうですが。如何なものでしょう?」
ト書き「慌てて安岡と酒井の2人は、北山の問いかけの先を見る。…無言でそこに立っている村上が目に入った。」
安岡優「てっちゃん……」
村上てつや「なんか…さ、俺…ほんとに迷惑かけてばっかだな(苦笑)」
北山陽一「まぁ、座ったらどうですか?なに食べますか?」
村上てつや「腹減ってないからいいわ…コーヒーで。」
北山陽一「すみません!」
ト書き「安岡の隣に座る村上。北山は手をあげウェイトレスを呼んだ。」
北山陽一「コーヒー1つ、追加でお願いします。」
一般人(女)「(ウェイトレス)>かしこまりました。」
ト書き「ウェイトレスが立ち去り、村上も酒井も黙ったまま顔を挙げようとしない。不安になる安岡と北山。」
北山陽一「そういえば・・村上さん、検診は・・・?」
村上てつや「ああ、順調に回復してるってよ。先生にお前らのおかげだって言われたよ…。ありがとな。」
酒井雄二「リーダー…。」
安岡優「や、やめてよ!そんな、てっちゃんらしくないこと言うの!なんか鳥肌たっちゃたよ〜。」
北山陽一「ヤス…。」
ナレーション「村上と酒井の気まずい雰囲気を察して、わざと明るい声を出してみた安岡に一同、笑顔が戻ってきた。」
村上てつや「な〜にか言ったか?安岡ぁ?」
安岡優「わわっ!!てっちゃん痛いよぉ、もう!」
北山陽一「ヤスの隣に座る理由はいじめやすいから・・ですいたか。なるほど。」
酒井雄二「それでこそ、村上てつやです!」
ナレーション「一方、黒沢の部屋へ戻った竹内マネは…。」
黒沢カオル「く〜〜……。」
マネージャー竹内「よしよし、グッスリですね」
ト書き「薄目を開けていたが、振り返った瞬間に直ぐさま目を閉じる。」
黒沢カオル「(…痛くて眠れなくなってきた……。」
ト書き「眉間に皺を寄せ、黒沢は寝返りをうった。」
マネージャー竹内「起こしました?」
ト書き「答えが返ってこないので寝ている、と思ったのか竹内はそのまま病室内の椅子に腰掛ける。」
黒沢カオル「(う〜…」
ト書き「ずきずき、というはっきりした痛みが、頭部の一部で徐々に大きくなる。」
黒沢カオル「う…。た、たけうちぃ……。ごめん、ちょ…っと…。」
マネージャー竹内「どうしました?」
ナレーション「黒沢の顔を覗きこむ竹内マネ。」
マネージャー竹内「げっ!顔、真っ青じゃないですか!大丈夫ですか?あ、えっと…ナ、ナースコール!!」
黒沢カオル「竹内…。平気だから…。だから呼ばなくていいよ。」
マネージャー竹内「いや、でも……。」
黒沢カオル「ほんとに大丈夫。悪いけど…少しの間でいいから頭撫ぜててくれる…?」
マネージャー竹内「え?それは…かまいませんが…。ホントのホントに大丈夫ですか?」
黒沢カオル「うん…。子供のころさぁ…頭痛くなったらお袋が頭撫ぜてくれたんだよ……。何か安心して眠れるようになったんだ。だから……。」
マネージャー竹内「分かりました!でも、どうしても堪えられなくなったら絶対に言ってくださいね!」
黒沢カオル「うん、ありがと…。」
ナレーション「黒沢の頭をそっと撫ぜる竹内マネ。その温もりを感じながら、黒沢はじっと頭痛を堪えながら目を閉じた。」
マネージャー竹内「何でも一人で抱え込み過ぎなんですよ、黒沢は…。もっと周りを頼っても良いのに……。」
ナレーション「目元を潤ませながらも必死に痛みを堪えている黒沢の姿に竹内マネは思わず呟いていた。」
ト書き「しばらくすると、黒沢から寝息が聞こえてきた」
マネージャー竹内「・・・・やっと寝つけたのかな。はぁ・・・ビックリした。あまりに真っ青なんだもんな・・・」
ナレーション「竹内は黒沢の目元に滲んだ涙を指でそっとぬぐった。…と、そこへ。」
村上てつや「た〜け〜う〜ち〜!お前、何してんだ!」
マネージャー竹内「ううわっ!村上!」
北山陽一「竹内さん…。あなたがそんな人だったなんて!!」
安岡優「ずるい〜ボクもする〜」
酒井雄二「馬鹿言うんじゃ有りません!竹内、即刻黒ぽんから離れなさい!」
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