-ゴスドラマ過去ログ:18801-18900-
酒井雄二「普通といえば普通では?」
マネージャー竹内「そうかもしれません。ただ・・小さい頃母親によく撫でてもらったから、それを思い出して安心するって・・」
村上てつや「・・・・・・それでか。竹内ヘンな事聞くな・・って思ったさ」
マネージャー竹内「その話しをする時は必ず笑ってますが、全て作り笑いです。逆に笑っていないと話せない・・とも受け取れます」
北山陽一「黒沢さんの過去になにかあったと・・・そういうこと・・?」
ト書き「北山の問いかけに、竹内は控えめに頷いた。」
村上てつや「うーん・・でも実際俺もそこまでは分からないんだよな・・」
酒井雄二「そうでしょうね・・赤ん坊の頃からいっしょなワケではありませんからね」
北山陽一「・・・親の愛に飢えていた・・・とか?」
マネージャー竹内「えぇ・・・そのところが気になりまして。あの偏頭痛は今回の村上の病気以前からの問題ですし」
安岡優「喋るの悩むよね…こりゃあ。」
村上てつや「俺なんで気づかなかったんだ・・・??(あいつ・・いつからこんな・・・・?)」
ト書き「そう呟くと、村上は黙ってしまう」
北山陽一「・・・村上さん、なんか気が付いた事とかは?」
村上てつや「そう言われても・・・ん〜・・・」
ト書き「一同、首を傾げる。その間に竹内はエンジンをかけ直して車を発進させた。」
村上てつや「……今度、それとなく探りでも入れるか?俺のと違って黒沢の方が治癒早そうだしな。」
酒井雄二「簡単には解決しそうにないですがね…根深いからこそ、今の今まで身体に顕著に現れてる。」
北山陽一「でも…黒ぽんは多分自覚してないかもしれませんね。」
安岡優「…頭痛の原因?」
北山陽一「自立心が大きいのか、それともそうならざるをえなかったのかも判りませんが…多分頭痛の原因は黒沢さんの中では勘違いされてますよ。」
酒井雄二「というと?」
北山陽一「多分…これは俺の推測ですが、黒沢さんは『不安』や『トラウマ』から頭痛を引き起こしてるかもしれません。」
安岡優「ん〜…?どう…云う事?」
北山陽一「…素人の考えで悪いんですが、俺の中で推測論は二つ。」
ト書き「北山はピースサインを大真面目に出した。」
北山陽一「一つ目は竹内の云う、愛情が欠乏…頭撫でられるとそれを親だって錯覚して、頭痛が軽くなるパターン。」
村上てつや「もう一つは?」
安岡優「なになに?」
北山陽一「二つ目は、不安に駆られたり…何か心中に傷があって、それを連想させる事態が起こった時。頭を撫でられると安心して頭痛が軽くなる。」
酒井雄二「…なんか…どちらにも愛情が関わってるような…。」
北山陽一「親がトラウマ作ってるケースなんて一杯ありますよ。親に置いていかれた事がショックで、幼少時泣きを見たっていう人も存在しますし。」
安岡優「それって…俺たちが簡単に踏み込んで良い事なのかなぁ…。」
村上てつや「でも俺達があいつを助けてやらなくて、誰が助けてやるんだよ?」
酒井雄二「下手に触られたくない部分かも知れないでしょう?」
北山陽一「所詮、俺達は一番近い他人に過ぎませんからね。」
ト書き「項垂れつつ、北山は言った。」
安岡優「でも…でもっ、てっちゃんなら…多分、ぎりぎりまで踏み込んでも大丈夫だと思う。」
村上てつや「あ?」
安岡優「…頭撫でてる手を無意識に選んでるなんて、そうそう出来る事じゃないし…。」
酒井雄二「そうですね、リーダーなら大丈夫かもしれませんなぁ。」
北山陽一「この事は村上さんに一任して、俺達はサポートへ回りますか。」
ト書き「北山はそういうと、小さく溜め息をついた。」
村上てつや「お前らなぁ…俺だって黒沢の中に土足で入るようなマネは…。」
北山陽一「何言ってるんですか、村上さんだからできるんですよ。」
村上てつや「いい加減にしろよ!…黒沢の頭痛の原因が何であろうと良いじゃねぇか…俺らがトヤカク言うことじゃねぇよ。」
北山陽一「黒沢さんが心配なんです…。いつも優しく笑ってくれるから…だから…。」
酒井雄二「無責任かと思われても、仕様が無いですが…俺個人ではどうしようも、手段が思い付きません。」
村上てつや「だからって・・・」
黒沢カオル「…ん」
村上てつや「やめようぜ、この話…黒沢にも悪い…。」
黒沢カオル「…村上…?」
村上てつや「あっ…黒沢、起きたか?…どうだ、気分の方は…?」
黒沢カオル「もう平気だけど…ナニ?俺に悪いって…。」
村上てつや「あぁ?…なんでもねぇよ、ただ起こすか起こさないかってので揉めてただけだよ…。」
安岡優「…てっちゃんらしくないよね…。俺着くまで寝てる!オヤスミ!!」
ト書き「少し怒り口調で安岡は言い残し、体を丸めた。」
黒沢カオル「安岡、寝るんなら体冷えるから、コレ掛けなよ…。はい!」
ナレーション「安岡の背中に自分の上着を掛けてあげる黒沢。」
安岡優「イイよ!大丈夫!!」
ト書き「黒沢がかけようとした毛布を片手で払うと更に体を丸めた。」
黒沢カオル「…どうしたんだよ安岡…ふてくされちゃって…。」
北山陽一「何かしらナイーブになる事が起きたんでしょう。…にしても渋滞してますね。」
ト書き「フロントガラスから見える光景に、北山は呟いた。」
マネージャー竹内「…遅れる旨を連絡しておきます。」
黒沢カオル「俺が寝てる間に…何かあった?」
ト書き「車内の空気を察知して、誰となく訊ねた。」
黒沢カオル「…ふ〜ん…。」
酒井雄二「あの、黒沢…。」
黒沢カオル「ん?なに?そんなにもかしこまってさ。」
酒井雄二「あっ…イヤ、別に…。」
黒沢カオル「なんか気分悪い…良いけどさ、別に。深く追求しないよ…。」
ト書き「誰も答えてくれそうにない雰囲気を察知した黒沢は、そう言い残すと黙って外を見た。」
酒井雄二「後で…2・3、宜しいですかね…。」
ト書き「視線を外した黒沢に、聞こえるか否かの微妙な大きさで酒井は言った。」
黒沢カオル「…酒井?」
ト書き「ふぃ、と酒井は黒沢の座っているシートから離れた。」
黒沢カオル「(何だよ・・みんな・・俺なんかまずいことでもしたのかな?)」
村上てつや「ったく…オイ!まだ着かねぇのかよ〜?竹内ぃ〜!!」
マネージャー竹内「渋滞してるんですから!…なんで村上さんまでピリピリするかなぁ…もぉ…。」
北山陽一「村上さん!貴方までそんなに怒る事ないでしょう…。」
村上てつや「怒ってなんかねぇ〜よ…。」
北山陽一「怒ってるじゃないですか!子供みたいに…。」
酒井雄二「やめろ、北山…火に油注ぐようなことはしないの…。」
ト書き「車内は更に険悪なムードに包まれてしまった。」
村上てつや「馬鹿じゃねぇーの…ドイツもコイツも……。」
酒井雄二「…(ボソボソ)…本当はそう言って村上さんが1番気になってるんですから…。」
北山陽一「…(ボソボソ)…わかってますけど…。」
酒井雄二「…(ボソボソ)…ひとまず後で黒沢さんに尋ねてみますよ…。」
北山陽一「…(ボソボソ)…悪い、頼むわ…それを聞いたらヤスの機嫌も少しは良くなるだろうし…。」
ト書き「2人は無意識のうちに屈めた身体を元に戻すと平静を装った。」
黒沢カオル「・・・・(なんなんだ)・・・・」
ト書き「つきり、という痛みが黒沢の内に発生する。それは頭痛にもなって徐々に大きくなった。」
黒沢カオル「薬…くすり…。」
村上てつや「おい。」
ト書き「上着のポケットから錠剤の瓶を取り出した黒沢へ、村上が不機嫌を隠さずに声をかける。」
黒沢カオル「な…に…?」
村上てつや「薬は…あんまり飲まねぇ方が良いんだぞ、と。」
黒沢カオル「…知ってるよ。元々は毒なのを、害にもならない成分と混ぜてるんだし」
ト書き「しゃらり、という音を聞きながら、黒沢は薬を手の平へあけた。」
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