-ゴスドラマ過去ログ:18901-19000-
村上てつや「飲み過ぎだろうよ…ついさっきも飲んだろ。」
黒沢カオル「でも、普通の奴じゃ効かないんだ。この薬でないと…。」
ト書き「何も言わず、村上は薬を口へ運ぼうとしていた黒沢の手首を掴んだ。」
黒沢カオル「な……に…してんの。」
ト書き「二人の片膝やシートに薬が落下する。」
村上てつや「薬飲まねぇで頭痛が軽くなる方法ってのは他にもあるのか?」
黒沢カオル「あるけど…。」
ト書き「黒沢は目を伏せたまま、自由な方の手で薬を拾う。」
村上てつや「俺がやれる事なら協力すんぞ、と。…おら。」
ト書き「村上の片腕が黒沢の頭部に延び、髪の上に手が置かれた。」
黒沢カオル「大丈夫だよ、薬飲めば治る事なんだし。わざわざてっちゃんの手を煩わす事でもないって…。」
ト書き「そう苦笑しながら言うと黒沢は、そっと村上の手を押し返した。」
村上てつや「ジャンキーになったお前の姿なんて…見たくねぇんだよ。それに」
黒沢カオル「それに?」
村上てつや「…これは俺が勝手にやってる事だし、煩わしい事でもない。」
黒沢カオル「てっちゃん…。」
村上てつや「(こんくらいしか…俺がお前にしてやれる事が、思い付かないんだよな…。」
ト書き「村上の表情をまじまじと見ていた黒沢は、拾っていた錠剤を瓶の中へ戻した。」
黒沢カオル「…心配してもらって、ありがとな。」
ト書き「ポケットの定位置へ戻る薬瓶を目で追い、村上はなんとも言えない表情を浮かべる。」
黒沢カオル「今回は…ちょっと寄り掛からせて貰っても良いか?」
村上てつや「今回と言わず、何時でも頼れ。…あ、でも保険の勧誘とかはナシな。」
黒沢カオル「判ってるって…。でも少し苦しい事は事実なんだ。」
ト書き「短く呼気を吐く黒沢に村上はその肩の付け根を叩いた。」
村上てつや「……苦しくなったら何時でも言えよ。」
黒沢カオル「うん…、手借りたくなったら言うよ。」
村上てつや「おう。お前の口は喋る為にも付いてるんだからな。活用しとけ。歌うのと飯喰うのだけに使われてるだけじゃ、そのうち恨んで枕元立つぞ。」
ト書き「手足が生えた、自分の口が枕もとに立つ姿を想像してしまった黒沢。」
黒沢カオル「…気色悪ぅ…そうならないうちに、ちゃんとてっちゃんには言うよ…」
村上てつや「ou」
安岡優「お??」
村上てつや「ちょっとローマ字でしゃべってみたかったんだよ」
ナレーション「村上てつや・・デタラメである(爆)」
村上てつや「なんだ?なんか言ったか!ナレーション!!」
ナレーション「い、いえっ!続けて下さい…(汗)」
酒井雄二「しーっっ、そんなに騒がないで下さい」
ナレーション「スイマセン…。」
村上てつや「静かにしろよまったく…。これで黒沢の身に何かあったら許さねーぞナレーション!」
黒沢カオル「まぁまぁ、てっちゃんおさえて」
ト書き「村上の方に頭を置き、安堵の色を見せる黒沢。」
村上てつや「ともかく…黒沢。薬の飲み過ぎだけはやめろよ…お前の辛そうな顔は見たくないけどよ、薬に頼るような黒沢なんか、俺はもっと見たくないからよ…。」
黒沢カオル「村上…頭撫でててくれる?」
ト書き「黒沢の言葉に敏感に反応する車内の一同。」
黒沢カオル「…安心するんだ…自然に痛みも引いていく…。」
村上てつや「あぁ…良いけどよ…。」
ト書き「片手を伸ばし黒沢の頭をそっと撫でる村上。」
村上てつや「…頭撫でるとなんで痛みが引くんだ?安心するって…。」
黒沢カオル「小さい頃…やってもらわなかった?お母さんかに…。」
村上てつや「覚えてねぇよ…けどなんで今そんなの…。」
黒沢カオル「喘息の発作の時にさ、村上が俺の顔見たら治まったってあっただろ…。」
村上てつや「あぁ…でもあれはたまたまだろ…確かに安心はしたけどよ…。」
黒沢カオル「俺も小さい頃喘息持ってた時にさ、母親に背中と頭撫でてくれて…それを思い出したんだよ。」
村上てつや「んで?頭痛だから頭撫でてもらえばってヤツか…。」
黒沢カオル「うん…先生が『心配な事とか不安とかストレスが貯まって起こる頭痛だから』って言っててさ…それならって思ったんだよ…。…楽になってきた…。」
村上てつや「いつでも撫でてやるよ…お前が楽になるならいつまでもな…。」
黒沢カオル「ありがとう…みんなには秘密な…チョット恥ずかしいし…。」
村上てつや「あぁ…わかったよ…。」
ト書き「村上はずっと黒沢の頭を撫でながら色んなことを思っていた。」
村上てつや「でも、あいつらもかなり心配してんぞ?」
黒沢カオル「…訊かれたら話そっか…、頭撫でられて安心するなんて、あんまり格好良く無いし。」
ト書き「髪に触れられている心地よさに目を閉じ、黒沢は苦笑混じりに答えた。」
黒沢カオル「……さっき安岡がちょっと怒ってたのはそのせいか…」
村上てつや「ヤスの機嫌が良くなるだろうよ…ちゃんと答えてやってくれ。」
黒沢カオル「みんな心配してくれてたんだ…やっぱり嬉しいよね、気にしてくれる人が居るって…。」
村上てつや「バーカ、あたり前だろ、黒沢の事心配してるヤツなんてたくさん居るんだよ…。」
黒沢カオル「そっか……眠くなってきた……」
ト書き「頭を撫でる心地よさに包まれて、黒沢はコトンと眠ってしまった。」
村上てつや「お前1人じゃねぇよ…5人なんだから…1人でも欠けたら、ダメなんだよ…。」
ト書き「黒沢の頭を撫でながら、村上は微笑んで呟いた。」
黒沢カオル「……ありがと、てつ…」
酒井雄二「…ナニやら、投げ込んだ爆弾は良い結果をもたらしましたな。」
安岡優「うん…。」
北山陽一「起きたの?お前。」
安岡優「五分ぐらい、前かな…会話の大半は聞けたしね。」
ト書き「くぁふ、と生欠伸を噛み殺し、髪の毛に手を突っ込む。」
村上てつや「安岡?起きたのか?」
安岡優「う〜ん・・・あ〜よく寝たぁ〜っ♪」
ナレーション「あくびをした安岡は自分を見つめる黒沢に気付き、にっこりと微笑んだ。」
安岡優「さっきはごめんね、黒ぽん。せっかく上着掛けてくれたのに…。」
黒沢カオル「ううん良いよ、もう気にしてないから…。」
酒井雄二「黒沢さん…さっきの事はもう良いです、スミマセンね変な気を使わせてしまいまして…。」
黒沢カオル「えっ…良いの?もう。」
村上てつや「お前ら聞いてただろ??」
ト書き「北山・酒井・安岡はいっせいに首を振った。」
村上てつや「バレバレだっつーの…。竹内も聞いてたんだろ?まぁ〜聞いてない訳はないよな。」
マネージャー竹内「ははっ…まぁでも疑問が一つ解決されて良かったです。」
ト書き「バックミラーで村上の顔を覗きながら竹内マネも安堵の色を見せた。」
北山陽一「これで一安心て感じですね〜」
安岡優「一件落着落着ぅ〜」
黒沢カオル「落着ぅ〜って…何か事件があった訳?」
北山陽一「いやいや、それでは早く行きましょうか?竹内さん。」
村上てつや「おぉ、そうだそうだ。早く行け、竹内♪」
マネージャー竹内「そんな二人して急かさなくても……」
酒井雄二「急ぎましょう」
黒沢カオル「皆してそんなに竹内苛めないの。事故でも起こしたら大変だろ?なぁ、竹内?」
村上てつや「竹内♪早ーくしないとー♪」
安岡優「早く♪早くー♪世界を」
黒沢カオル「こら!!村上安岡!!ココで変な歌うたうなー」
安岡優「じゃぁどこだったらいいのさー」
黒沢カオル「家で歌いなさい?」
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