-ゴスドラマ過去ログ:19701-19800-
安岡優「一緒の職場で、働いてる人。見ての通り甘党でさ…気にしないで。」
ト書き「ふむ、と一つ頷くと、酒井はメニューへ視線を落とす。」
酒井雄二「え〜あ〜…盗まれたってのは、まず事実。ホントだ。でもな。変な盗み方していきやがって…。」
安岡優「っていうと…?」
酒井雄二「消えたのはゲーム本体と、デジカメ…その他諸々なんだが。何故か『ザウルス』と『グラストロン』は盗まれておらんのだよ。」
ト書き「北山はパフェを食べる手を止めず、聞き耳を立てている。」
安岡優「ザウルスって…電子手帳みたいなのだよね?」
酒井雄二「おう。目につく所にあったにも拘らず、だ。パソコンには劣るが、ゲーム機本体よりも価値が高いものを残していくっつーのは…如何なものだろう、と。ここまで考えて、盗人は盗人だが、金銭目当ての盗人ではない、という推測論を打ち出してみた。」
ト書き「村上が、お冷やを片手にとっくりと酒井を観察し、再び目の前のパフェに対峙した。」
安岡優「変だねー…じゃ、どうしてそのハナシ。俺にしようと思ったの?警察行った?」
酒井雄二「今は暇じゃないんだそうだ。…思いっきり無下にあしらわれてな。腹が立って一気に脳まで直行よぉ?んで、俺の八つ当たり相手に見事御当選したのがキミだ。」
安岡優「あ、そ……。」
ト書き「呆れた表情を形造り、ひょい、と口の端を上げてみせる。」
酒井雄二「っと。そろそろ定食サービスが付く時間帯か。奢って、くれるんだったよな?」
安岡優「あはは…腹八分にしといてね。」
ト書き「メニューを手に取った酒井をしり目に、器用にも北山はテーブルの下でメールを打つ。」
村上てつや「…ん?」
ト書き「着信した画面に目を落とすと、目の前にいる男から。『出番?…のようですが。』と回りくどい文面で書かれている。」
村上てつや「なぁ…この『たちつてと』ってなんだよ。…俺携帯変えたばっかりだっつうに。」
北山陽一「着メロは、浜あゆですか。そうですか。」
酒井雄二「…公務員って、こういう人もいるわけ…イメージ改めんといかんな。」
ト書き「悪戯メール、で酒井の不審を忘れさせ、二人は目配せした。自分達が動くべき、少々間抜けな事態だ、と判断したのだ」
村上てつや「よっしゃあ、やるか!」
北山陽一「気合はいりまくりですね。」
村上てつや「行くぞ、ヤス、北山!んじゃまた、酒井さんとやら…。」
ト書き「北山・安岡の襟元を持ち上げて席を後にしようとする村上。」
安岡優「ちょっとぉ〜!まだ、話が…!!ってあぁ〜〜!!」
北山陽一「貴重な情報、ありがとうございましたぁ〜!」
効果音「カランかラン♪」
ト書き「机に置かれた2000円札と、静かに3人の後を見つめる酒井。」
酒井雄二「…やっぱり…。」
ト書き「ポケットから携帯電話を取り出し、かけ始める。」
酒井雄二「…あ、もしもし酒井だけど…やっぱり動き出しましたよあの3人…はい…はい。では、後はよろしくお願いします。」
黒沢カオル「あぁ…わかった、ありがとうな、酒井。その足で他の機械類もドンドン取っ手来るんだ!」
ト書き「電話の相手は黒沢。」
酒井雄二「わかりました!イイ機械を運びますよ、ボス。」
ト書き「電話を切り、怪しげな笑みを浮かべると、酒井も店を出た。」
村上てつや「ひとまず、昨日の事件が起きた電気屋に行くぞ。」
安岡優「今、会ったじゃない!被害者。」
北山陽一「まだまだ甘いね、新人・安岡…。酒井さんとやらも被害者かもしれないが、その1件だけじゃ解決には結びつかないんだよ。」
村上てつや「これだから頭の固い”国家公務員志望者”は困るんだよ…。」
ト書き「タバコの煙を安岡に吹きつけ、村上はあきれた顔で見た。」
安岡優「ゴホッゴホッ!煙いよぉ…しかも”志望者”って言い方やめてくれない?もうなるんだから!」
村上てつや「…勝手に言ってろ…! 北山、事件の起きた電気屋知ってるだろ?連れてってくれ。」
北山陽一「わかりました…。ほらっ、行くよ!ヤス。」
安岡優「あぁ〜待ってよぉ〜!もぅ!人のこと子供扱いしてさぁ…。」
ト書き「安岡は、先を歩く北山と村上の背中に呟くように文句を言うと、走って後を追いかけた。」
黒沢カオル「…はっきり云って、暇…だよなー…。」
ト書き「なにやら、おどろおどろしい雰囲気には似つかない口調で、黒沢は独り言を吐いた。」
黒沢カオル「悪役ってこんなに暇なモンなの?ナレーションさん。」
ナレーション「私に聞かれても…!!悪役なんてやったこと無いですから…。」
黒沢カオル「だよね…。でもさ、結構この衣装は気に入ってるんだよね。」
ト書き「いかにも”ボス”と言った感じの全身真っ黒な衣装を着ている黒沢薫。」
DJバリ"K"〜ん「早く機械くれー!!腹が減ったぞ!!」
ト書き「大きな檻の仲には大きな怪獣が居た。」
黒沢カオル「(ゴスドラマに戻ろう)…今、酒井が持ってくるそれまで待っていてくれ…。」
DJバリ"K"〜ん「早くしろー!!」
黒沢カオル「昨日20個ぐらい食べたのに…まぁ、これでエネルギーが溜まって地球を征服できるなら、それで良いけどな…。」
ト書き「電気・機械類を食べエネルギーにする怪獣を見上げ、黒沢は怪しい笑みを浮かべた。」
ナレーション「黒沢さん黒沢さん!顔がほにゃららな笑顔になってますよ!引き締めて!!」
黒沢カオル「ふぁあは〜〜…酒井早く帰ってこねーかなぁ……。ゲーム進めなくなっちゃったしさぁ…」
ナレーション「進めない、のではなく。進ませる事が出来ないのでしょう・・・黒沢さん。」
黒沢カオル「なんだよぉっ、じゃあ、ナレーションやってみてよ!」
ナレーション「良いですよ…?」
ト書き「悪の組織、と言えるのは『怪獣』がいるだけになってしまい。空気は庶民的になってしまった。」
北山陽一「…えぇ、はい。有難うございました…。」
ト書き「電器屋から出てきた北山を確認し、外で待機していた安岡と村上は歩み寄る。」
村上てつや「どうだった?」
北山陽一「製品倉庫の中が荒らされていた事は、今までに廻った電器屋とおんなじでした。」
安岡優「被害にあったモノは?」
北山陽一「同じですね…。洗濯機とか、冷蔵庫といった大型の物は盗まれずに、FAXやテレビ、といった中型から小型に相当するものが盗まれています。」
村上てつや「…洗濯機に、冷蔵庫?ちょっと待てよ…。」
ト書き「村上は、ナニかに気付いた…素振りを見せる。」
安岡優「? どうしたの?」
村上てつや「冷蔵庫とか洗濯機って…持ち運びが不便だよな。…それに、かさ張る部分が大きい割に、機械の部分が少ねぇ。」
北山陽一「リーダー。と、すると。敵の目的は『電化製品』ではなく、中身の精密機器、になりますが。」
村上てつや「ピンポ〜ン!正解です。」
安岡優「さすが先生にリーダー。よく気がつきますなぁ。」
ナレーション「ちょっと関心の安岡・・・?」
村上てつや「ま、こんぐらいは夕飯前だよな?北山。」
北山陽一「それを言うなら朝飯前です…。」
安岡優「・…(関心なんてしなきゃよかった)」
村上てつや「いんだよ、名案にはかわりないんだから『昼飯』だろうがなんだっ」
安岡優「でも・・その精密機器を使ってなにしようってんdなろぉ」
村上てつや「おい・・・いきなり噛んでんじゃねぇ〜よ!!」
安岡優「ご、ごめん〜。」
北山陽一「…普通の電化製品を集めて出来る事なんて、日本警察がとっくに考え出してますよ。俺達が出るくらいの、日本警察が太刀打ち出来ない状況は…」
村上てつや「地球規模の大事件って事だよな…。」
安岡優「俺たちの仕事ってそんな大掛かりな事なの?」
北山陽一「そうか…ヤスはココに入ってから仕事って仕事してないんだったな…。」
村上てつや「俺たちにとっても久々の仕事だもんな、腕が鳴るぜ。」
安岡優「良くわかんないんだけど〜!?ちゃんと説明してくれるなぁい?む」
北山陽一「そろそろ戻ろうか、大体の事は分かりましたし…。戻ったら説明してあげるよ…。」
村上てつや「そうだな、色々説明とかもしなくちゃいけねぇーし向こうに戻ってからゆっくり説明するかぁ…。」
ト書き「ひとまず”秘密基地”に戻る事にした3人。」
村上てつや「ただいま戻りましたっ!とぉ…。」
小林社長「おぉ!ご苦労様…どうだ?何かわかったか?」
北山陽一「狙いは”精密機器”です…。でもあとの事はまだ情報不足で…全く。」
村上てつや「なぁ、過去の犯罪リスト調べてくれよ。同じような事件構えにも起こってるかも知れねぇし…。」
小林社長「あぁ、わかった調べておこう…。」
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