-ゴスドラマ過去ログ:20401-20500- |
村上てつや「熱くなってんのはお前だ……。冷静になれ、とにかく。」 北山陽一「そういうのは、冷静な人の言う台詞です。…言いたくはありませんが、今の貴方は冷静とは言いがたい考えを持っているでしょう。」 安岡優「もう、2人ともわかったから!ほら、行こう!また逃げられちゃうよ!!」 北山陽一「さぁ、行きますよ、村上さん!」 村上てつや「はいはい…っと。」 ト書き「村上は重い腰を上げ、椅子から立ち上がった。」 ナレーション「深夜2時」 酒井雄二「…随分と明るいモンですな…この区画は。…眠る事を知らないのですか?ボス。」 黒沢カオル「同じ事訊くねぇ…。眠る事は知ってるけど、それを実行しないだけさ。無闇に利益を上げようとして…かな。」 酒井雄二「(…誰と『同じ事』を尋いたんだ…俺は。……。)」 黒沢カオル「酒井?」 酒井雄二「あ。はい。」 黒沢カオル「そんな考えるなって」 酒井雄二「そう…見えますか? 考え込んでいる風体に」 ト書き「つるりと顎を撫でて、酒井は何も無かったように装った。」 酒井雄二「表情を出す術は学習済みですが、自然に出せたとなると…偉い進歩ですね。」 ト書き「そこで、酒井はようやく黒沢がやや哀しそうな表情を浮かべている事に気付いた。」 酒井雄二「……ボス?如何なされましたか。」 黒沢カオル「なんでも、ない。…‥なんでもないんだ。」 酒井雄二「…すいません。」 ト書き「「なんでもないはずはない」と思いつつも、謝る事しか出来ない酒井…」 黒沢カオル「何謝ってんだよ。さて、これから、どうするか?」 酒井雄二「・・・・・・・・・・」 ト書き「幾ら深夜とはいえ、これだけ明るかったら不審な行動を咎められてしまうだろう。事を予想して酒井は考え込んだ。」 黒沢カオル「酒井?・・・・どうした?」 酒井雄二「いえ、事を起こすには明るすぎるかと…。」 黒沢カオル「そう、だな。時が満ちるのを待とうか。」 ト書き「ふと、何かの気配を感じ、視線を移動させると防衛軍御用達の車輌が向かってきているのが見える。」 黒沢カオル「やっば…移動するぞっ、酒井!自然に素早くな!」 酒井雄二「…少々無理難題ですな。そりゃ。」 ト書き「二人は車のライトが届かない範囲へと歩を早めた。」 酒井雄二「(まあったく、何だってんだい!!!薫さんの様子も気になるし……。どうしたもんかな。)」 黒沢カオル「うぎゃあ〜」 ト書き「こける黒沢カオル・・・」 酒井雄二「はいはい…慣れない靴でも履きましたか…?」 黒沢カオル「ったぁ〜…何でこんな時に。」 ト書き「酒井に腕をとって助け起こしてもらっているうちに、車は二人の少し手前で止まった。」 酒井雄二「(やば…。)ボスっ、少しの辛抱です。失礼します!」 黒沢カオル「はぁ…?」 ト書き「黒沢を抱き締めると、道路へ背を向けてその身体を隠した。」 酒井雄二「…(ぼそぼそ)…すいません…このまま、装って下さい。‥‥」 黒沢カオル「うグッ…く゛る゛し゛い゛…。」 効果音「バタン!バタン!バタン!(車のドアが閉まる音)」 北山陽一「夜でもやっぱり明るいですね、ココは…。」 村上てつや「駐車場ねぇしな……。タクシー邪魔だっつーに!」 安岡優「でも…いるトコにはいるんだね…。アベックってさ。」 村上てつや「あぁあ…お盛んなこって。」 北山陽一「女の子の方、嫌がってませんか…?」 村上てつや「何?無理やりか?そりゃ助けないと!!地球を守るぞ!」 安岡優「めちゃめちゃ地道な守り方だなぁ…。」 ナレーション「とは言うものの、やっぱり女の子に弱い地球防衛軍の面々である。早速、救出に向かった。」 村上てつや「おい!そこのでっかい男!その子を離せ!」 北山陽一「彼女、嫌がってるじゃないですか!」 安岡優「そうだそうだ!無理やりなんて最低だぞ!」 村上てつや「女の事なんかどうでもいいんだよ!ホラッ、探すぞ!」 ト書き「仕事には厳しいリーダー村上。」 安岡優「なに怖気になってんのさぁ…。」 北山陽一「放してあげなさい!!」 村上てつや「…良いから、、オイ!…ほら。」 ト書き「何かに気が付き急いでその場から北山と安岡を追い出そうとする村上。」 安岡優「なぁ〜にさぁ〜…もぅ!」 村上てつや「アッ!向こうに怪しい影が!命令だ、すぐに2人で向こうを追え!」 北山陽一「わかりましたよ、行くぞ!ヤス!」 ト書き「リーダーの命令は絶対なので仕方なく言われるがまま、向こうに走り確かめに行く2人。」 村上てつや「……放してやれよ、酒井。黒沢苦しがってんだろ?一応お前のボスだろ?」 酒井雄二「エッ……(気が付いてる…なのに捕まえない…)。」 ト書き「驚きジタバタと暴れる黒沢を慌てて放す酒井。」 黒沢カオル「はぁあ〜〜〜苦しかったぁ…少しは加減してろよな、酒井…って……村上?」 ト書き「村上の姿に驚き動揺する黒沢。何がなんだかわからなく混乱する酒井。」 村上てつや「…やっとお前の姿近くで見た…。」 黒沢カオル「…てつ…捕まえるんなら捕まえろよ…。」 酒井雄二「…ボス…?」 村上てつや「…お前とは正々堂々と戦うつもりだ…俺の腕も見てもらいたいしな。」 黒沢カオル「…お前と俺はもう違うんだよ話す事は無いだろ。行くぞ、酒井!」 村上てつや「待てよ!!」 ト書き「黒沢の手首を掴み放さない村上。」 村上てつや「俺はお前に聞きたいことが山ほどあるんだよ…安岡、北山が居たらそれも出来ないまま、お前と一生の別れになるかも知れねぇ…。」 黒沢カオル「高校時代の同級生として?…それとも、”正義のリーダー”と”悪の提督”として?」 村上てつや「…両方だな…。」 酒井雄二「高等学校の同級生…だったんですか。お二人は。」 ト書き「酒井の呟きに、黒沢と村上はそれぞれの面持ちで頷く。」 安岡優「てっちゃ〜ん!怪しい人なんて居なかったよぉ〜!」 ト書き「遠くから安岡の声が聞こえ、慌てて酒井と黒沢を路地の奥に押す村上。」 安岡優「アレッ??北山さん…てっちゃんがいない…。 」 北山陽一「向こう行ったんじゃない?あっち探してみよう。」 ト書き「路地の奥の影に気がつかず違う所に向かう北山と安岡。」 黒沢カオル「なんのつもり?」 酒井雄二「ボス、ここは撤退しましょう!危険です、この男の考えが読めません!」 ナレーション「酒井は黒沢を包み込むようにして村上の視線から逃れさせながら囁いた。」 村上てつや「おい!俺は黒沢に話があるんだ。お前に用はねぇよ、撤退したいなら一人退け!」 酒井雄二「な!なんですと?!」 黒沢カオル「酒井、落ち着け…」 ト書き「黒沢は酒井の右腕をそっと押しのけ、一歩前に出た。」 黒沢カオル「始末するなら、やれよ・・・ただ、酒井には、手をだすな!」 村上てつや「ずいぶん優しいんだな。自分で作ったロボットに情が移ったか?」 黒沢カオル「それとこれとは別だ」 酒井雄二「なに言ってんですかボスっ。さぁ、早く!」 黒沢カオル「悪い、酒井。やっぱりオレは一緒に行けないよ。」 酒井雄二「ボス……」 ト書き「今までに感じたことのない、黒沢との見えない隔たりを感じて悲しい表情を見せた。」 |
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