-ゴスドラマ過去ログ:20801-20900- |
北山陽一「”だね”だろ…。冷静な判断、さすがリーダーです。」 村上てつや「そんな事より…ヤス、べレッタ貸せ。」 安岡優「あっ、うん…ハイ。」 ト書き「べレッタを持つと、村上は静かに黒沢と酒井の所へ向かった。」 村上てつや「ありがとな…。早く帰って酒井修理しろよ、お前との勝負は酒井が居て、黒沢が居て成り立つ…。」 黒沢カオル「高校時代の仮は返したぞ…。」 村上てつや「なんのだよ…。」 ト書き「思い出してみるが見当がつかない村上、酒井を持ち上げると黒沢。」 黒沢カオル「”高3の体育祭”」 村上てつや「”体育祭”…?」 黒沢カオル「俺の機械整備技能試験の時に重なっただろ?あの時てつは俺の出る種目全部出ただろ…。」 村上てつや「アッ…あれか。担任にメチャメチャ怒られて、一緒に校長室にまで謝りに行ったりした…。」 ト書き「やっと思い出した村上の顔を見て柔らかい顔になる黒沢。」 村上てつや「これで心置きなく勝負できるな。…行けよ、酒井危ないんだろ?早く直してやれ。」 ト書き「黒沢は頷くと酒井を倉庫の外へ運び出し、車を走らせた。」 安岡優「てっちゃん、どうして逃がしたのさぁ…。」 北山陽一「村上さんは”黒沢・酒井”と戦いたいんだよ、何年も追いつづけて来たから…。」 安岡優「せっかくのチャンスを逃すなんて…俺なら倒すな。」 村上てつや「俺たちも帰るぞ、夜が明けちまう…。」 ト書き「呟くように言うと、北山と安岡の間を抜け外へと歩き出す村上。」 北山陽一「ヤスは酒井の強さをまだ知らないからな…。強い敵がいるからこそ、俺たちは遣り甲斐があるって実感できるんだよ。最初から弱っている状態のものは勉強にもならない…。」 安岡優「それがてっちゃんと北山さんの優しさなの?…そんな優しさはいらないよ。」 ト書き「不満が溜まって毒を吐いた安岡を置いて、北山は黙って外へ出た。」 安岡優「…(結局てっちゃん逃げてるじゃん…黒沢を倒す事出来ない臆病者なんだよ。)…。」 ナレーション「夜が明け、基地に戻った村上・安岡・北山。まだ安岡は納得の行かない顔をしている。」 北山陽一「…お茶淹れるけど…何か飲む?」 安岡優「ありがと。でもいらない…。」 北山陽一「リーダーは?」 村上てつや「俺も、いい。」 北山陽一「そうですか…。」 ト書き「紙コップの中にティーバッグを入れて、北山は自分の椅子に腰掛ける。」 北山陽一「…にしても、これから向こうはどう動きますかね。」 村上てつや「酒井を回復させる為に…多分、小麦粉とか狙われるんじゃねぇのか?」 安岡優「……。」 村上てつや「パン屋とかも気をつけねぇとな…。」 北山陽一「卸しの工場とか…どうでしょうか。」 安岡優「親友の事だから、さぞかしよく分かるんだろうねぇ〜…。」 ト書き「嫌味っぽく言う安岡、嫌な予感がする北山の目には冷静な村上の表情が映った。」 安岡優「あぁ〜あ、疲れたぁ〜!ったく、早く片付けちゃえばこんなに考えなくて済むのに…ねぇ、北山さん。」 北山陽一「ヤス…言い過ぎだぞ…。」 村上てつや「………。」 安岡優「そうやって何に対してもてっちゃんは逃げるんだ!1秒でも尊敬した俺って馬鹿だったのかな!」 北山陽一「いい加減にしろ、ヤス!」 安岡優「昔の”黒沢”はもう居ないんだよ!ナニいつまでも引っ張ってるのさ。臆病者!弱虫!バカじゃないの!?」 効果音「パシンッ!」 村上てつや「…何もわからねぇクセに、偉そうな事言うな…。」 ト書き「冷静な面持ちで村上は安岡の頬を叩き、隣の部屋に行ってしまった。」 安岡優「…分かるわけ…ない…よ…。」 ト書き「うっすらと涙を浮かべうずくまる安岡、村上の向かった部屋のドアをみつめる北山。」 効果音「ピンポーン!!」 北山陽一「はぁーい!…誰だろう、こんな朝早く…。」 ト書き「うずくまる安岡を横目に扉に向かう北山。」 北山陽一「はい…。あっ、田辺さん。お元気でしたか?」 田辺恵二「やぁ、北山君こそ元気だったかい?今日は新しい武器を持ってきたんだが…今大丈夫かい?」 北山陽一「えっ…えぇ、大丈夫だとは思いますよ…たぶん。」 ト書き「スリッパを出すと部屋に入る北山、後から田辺氏も入る。」 北山陽一「ヤス、お客さん。田辺さんだから、コーヒー出して。」 ト書き「安岡は無言でコーヒーメーカーのある所へ歩いていく。」 田辺恵二「村上君はと所長は?まぁ、北山君だけでも良いんだけどね…一応。」 北山陽一「あぁ、所長は今居ないんですけど…。今、村上さんを呼んで来ます。」 ト書き「北山は村上を呼びに行く。安岡は軽く会釈をしコーヒーを田辺氏に出す。」 田辺恵二「どうしたの?安岡君…元気ないみたいだけど…。」 安岡優「いいえ…別に…。」 平見文生「空気がね〜…“そうじゃない”って思いっきり物語ってるけど。」 安岡優「田辺さーん!!!うわぁ〜ん!!!!(大泣)」 田辺恵二「なに…男は泣けないから辛い、っていう論は撤回してもイイぐらい泣くね…ホント。」 ト書き「箱ティッシュから数枚、無遠慮に抜き取って安岡に持たせる」 田辺恵二「話し聴いちゃうとややこしくなりそうだから、聴かないでおくわ。向こう行って顔洗ってくれば?」 ト書き「化粧室を指差す田辺に、一つ安岡は頷いた。」 北山陽一「お待たせしました…って、あれ。平見さん?」 ト書き「何の用件で、という含みを持った言葉に平見氏は片手を振った。」 平見文生「書類持って来ただけだから、これで失礼するよ。…じゃ、早く報告書出してね」 ト書き「そう云うと、さり気なく平見氏は出て行った。」 北山陽一「本当に書類持ってきただけで去ってしまった…。」 ト書き「机の上に置かれた紙の束を一瞥し、北山はのろのろと部屋から現れた村上に、こっちへ来いと促してみせる。」 村上てつや「…ったく。」 ト書き「ブツブツと文句を言いながらも北山のところへと移動してくる」 北山陽一「文句を言ってる場合ではないようですよ」 村上てつや「文句なんか言ってねーだろ?」 北山陽一「言いたそうな顔をしてるからそう言っただけです。」 ト書き「なにもかも見透かしたような物言いをする北山に、村上はチッと舌打ちをしてそっぽを向いた」 北山陽一「おかしな人ですね、あなたも」 村上てつや「なにがだよ」 北山陽一「感情がすぐ顔に出るくせに、口から出るのは偽りごとばかり。もう少し正直になったらどうです?」 田辺恵二「痴話喧嘩は俺が帰った後でやってくれない?見てて楽しいけど。」 ト書き「にこやかな笑みを浮かべているが、目は笑っていない田辺氏」 北山陽一「痴話ゲンカってなんですか?田辺さん」 村上てつや「っていうか、まだいたのか?あんた」 田辺恵二「俺ってそんなに存在薄いかな……」 効果音「が〜〜〜ん」 北山陽一「なんか後ろにずいぶんおっきな影背負ってるような気がするんだけど……」 田辺恵二「もう放っておいてくれ……」 北山陽一「苦労してますね……」 村上てつや「ったく…。」 田辺恵二「俺も今日これから忙しいんだよ…だからこっち早く来てやったのに酷いよなぁ。」 北山陽一「スミマセン。っと、武器の事でしたよね?」 ト書き「田辺氏の向かい側に座り、机に置かれた武器の数を数えた。」 北山陽一「1.2.3.4.5…って今回凄いですね、一気に5つも。」 田辺恵二「まぁ、銃が3つと刃物が2つですけどね。」 北山陽一「今の所私と村上さんの武器は壊れたりしてませんし…ヤスのでも選びますか、ねぇ、村上さん?!」 |
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