-ゴスドラマ過去ログ:20901-21000-
村上てつや「勝手にしろ…あっ、田辺。弾が少なくなったから補充頼むわ。」
田辺恵二「あっ!村上のために新しい銃を考案したんだけど、試してくれないか?」
村上てつや「ぁん?どれだよ…。」
ト書き「田辺は自分の脇に置かれていたジュラルミンケースを机の上に置き開く。」
北山陽一「はぁ、今回のは凄そうですね…前回のより一回り大きいみたいですし。」
田辺恵二「村上用に作ったものだからな、村上には使いやすいと思うぞ?!」
村上てつや「重さ的にもまぁまぁだな…1回の弾の数も多いし…。」
ト書き「構えてみたり色々調べている村上の傍を安岡が通った。」
田辺恵二「大丈夫?ヤス君。」
安岡優「…うん、ごめんなさい田辺さん…。」
北山陽一「ヤス、この中から好きな武器選んでいいよ。」
安岡優「ホントに?良いの!?」
村上てつや「田辺、コレ貰うわ…。あっ、でもこいつの弾の補充も忘れないでくれよ。」
ト書き「今まで使っていた銃を出し、田辺に渡す。」
田辺恵二「はいはい。…で、ヤスくんどれがいい?」
北山陽一「ヤス、銃使うの意外と上手かったから銃にすれば?」
安岡優「うぅ〜ん…でも銃は恐かったからな…コレってナニ?」
ト書き「安岡が指したのは黒光りする30cm位の鉄の棒。」
田辺恵二「若い子は目の付ける所が違うねぇ〜コレ、今回初めて作ったんだよ。”長刀”だよ、試してみれば?」
ト書き「安岡は黒く輝く棒を持ち回してみる。」
安岡優「わぁぁっっぬ」
ト書き「棒は自分の身長より少し長く伸びて両端に鋭く長い刃物が現れた。」
村上てつや「武器は危ねぇんだよ…1つ間違えれば自分の命も落とす…。」
安岡優「……わかってるよ。」
田辺恵二「大変だ、時間が!また来るよ、気に入らなかったらまた言ってくれ!安岡君。では、また!」
ト書き「慌しく片付けをし、その場を後にする田辺氏。」
村上てつや「北山はよかったのか、新しい武器貰わなくて…。」
北山陽一「私の今ので充分です、頭脳はプレーですからね。」
村上てつや「そうか…。」
ト書き「新しい銃をしまい、村上は机の上の書類に目を通し始めた。」
安岡優「…俺ね、昔警察学校に通ってた時に親友を亡くしたんだ…。」
ト書き「自分も武器をしまい、ポツリと北山に呟いた。」
安岡優「拳銃の練習の時…そいつの拳銃の銃口がふさがれてて…。」
北山陽一「…ヤス…。」
安岡優「隣で倒れてるの見て…恐かった…銃使うのが恐くなった…友達を失いたくないって…思った。」
村上てつや「………。」
安岡優「てっちゃんの気持ち、分からない訳じゃないんだよ…ただ、友達なら正しい道に戻してあげる優しい強さも大切だと思うんだ…。」
村上てつや「…逃がしたのは捕まえたくないとか私的な感情じゃねぇ…それだけは分かってくれ。」
安岡優「うん…さっきは酷い事言ってごめん……」
ト書き「安岡は、目を伏せて村上へ詫びた。」
北山陽一「にしても…この長刀の構造って…どっかで見た事有るような気がするの、俺だけか?」
村上てつや「どれ?」
北山陽一「この刃の出方が……う〜ん…」
効果音「ちっ…ちっ…ちっ…ポーン」
ト書き「ナニかを思い出したのか、北山は手の平に握った右手を打ち付ける。」
北山陽一「あ。」
村上てつや「何だよ…?」
北山陽一「多分…『三匹が斬る』だったと…。」
安岡優「時代劇ぃ!? …良く考えてみたら、時代劇以外でこんなの使わないかぁ…」
北山陽一「でも、これとは別物ですんで。…飽くまでも、のハナシ。」
黒沢カオル「そんなこともうわかってるって」
村上てつや「……へ?」
ト書き「声のした方を見ると、比較的大きいディスプレイに黒沢の顔が表示されていた。」
黒沢カオル「数時間ぶりだな。村上。……いい加減、お前との関係に決着を付けたい。」
北山陽一「…コンピュータに割り込んで来てますね…。場所が特定出来ないように、公共の施設を利用してます。」
黒沢カオル「……4日、23時に…あの場所で待ってる。あの場所ってのは少し考えれば判るはずだ。」
安岡優「あの場所?」
黒沢カオル「じゃあな、約束だからな」
村上てつや「カオル……。約束、か…。」
北山陽一「約束って…?」
村上てつや「……4日…23時…あの場所…約束…。」
安岡優「何かわかった?てっちゃん…。」
ト書き「黒沢の顔が消え、真っ黒になったディスプレイを凝視し考えている村上。」
北山陽一「まぁ、まだ時間はありますし…ゆっくり思い出してください。」
ト書き「村上の前に置かれた書類を持ち上げると、”北山専用デスク”に運ばれた。」
安岡優「報告書は俺が書いておくよ、てっちゃんはゆっくりしてて。」
ト書き「勝手に所長の席に座ると安岡は資料を取り出し報告書を書き始めた。」
黒沢カオル「はい、酒井。パンだよ、メロンパンにジャムパン、クリームパンにカレーパン…他にもホラたくさん!」
ト書き「甘く香ばしいパンの香りが基地に充満している。」
酒井雄二「ボス…ありがとうございます…なんてお礼をし、またお詫びをして良いのやら…。」
黒沢カオル「謝らなくちゃいけないのは俺だよ、酒井みたいに”感情”のファイルを入れなかったから…。」
酒井雄二「いいえ…。しかしボスと村上が同級生だったとは知りませんでした…どうするんですか?これから。」
黒沢カオル「4日の23時に決着を付ける…。それまでに酒井には元気になってもらわなくっちゃな!」
酒井雄二「そうですね、頑張ります!(ボス…貴方の目は寂しさに耐えています…私には分かります。)」
黒沢カオル「今日はそれ食べたら休んでていいからな。」
酒井雄二「ボス…ボスが亡くなったら、私も一緒にお供しますからね…だから、」
黒沢カオル「村上には勝つよ、絶対に…だからそんな事言わないでくれ、”地球征服”して俺達の世界にしよう!」
ト書き「そう言った黒沢の瞳は、なぜか悲しみの色を隠せなかった」
ナレーション「黒沢さん、それに気付いてないみたいですけどね……」
酒井雄二「お前にも分かる? やっぱり」
ナレーション「当然です。いったいどれだけ長い間あなたがたを見てると思ってるんですかぁ!!」
酒井雄二「それもそうか……」
黒沢カオル「酒井、一体誰と話してるんだよ?」
酒井雄二「ワぁ〜!びっくりしたぁ〜急に現れないでくださいよ!」
ト書き「酒井が得体の知れない相手と話していると思ったのか、黒沢は首を傾げて尋ねて来た」
ナレーション「得体の知れない相手だなんて……あたしは酒井さんのスイートハニーなのよっっ」
効果音「ガスッ!」
ト書き「酒井の裏拳は、ナレーションにクリーンヒット。」
マネージャー竹内「まったく懲りてないですね〜」
黒沢カオル「竹内、どっから出てきたんだ??」
酒井雄二「知りませんよ。んなこたぁ。」
マネージャー竹内「私はいつでも神出鬼没ですから」
ト書き「竹内に不審な目を向けつつ、酒井はクリームパンの最後の一口を口に放り込んだ。」
酒井雄二「一体、こやつはナニモノなんです。」
黒沢カオル「あ、酒井は初めてだっけ?」
マネージャー竹内「え〜…表の名刺で宜しいでしょうか?」
ト書き「竹内から名刺を受け取り、目を細めてその文字を追う。」
酒井雄二「株式会社……重役?」
マネージャー竹内「貴方のボスの、会社に勤めさせて戴いてます。」
黒沢カオル「俺の義父の会社で働いてるんだよ。武器調達とかもやってくれてる。」
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