-ゴスドラマ過去ログ:21401-21500-
ト書き「村上のストレートが、黒沢の顳かみに決まる。」
村上てつや「誰も…俺を救っちゃくれねぇからな…。阿呆みてーな理由だろ。」
黒沢カオル「自己防衛の道具として『正義』を使ってるなんて…後悔って何だよ?てつにとっての”後悔”ってなんなんだよ?」
ト書き「軽く頭を抑えながら、黒沢は村上へにじり寄る。」
村上てつや「……自分の一番近くに居た…奴を、全部ひっくるめて守れなかった。そいつは親友だった…少なくとも、俺はそう思ってた。」
ト書き「切れた口元の血を拭い、痛てぇな、と村上は呟いた。」
黒沢カオル「…馬鹿じゃねぇの…馬鹿…じゃ…。」
村上てつや「ああ…そうさ…。俺は馬鹿だよ……。」
ト書き「どさ、と黒沢が倒れた。」
酒井雄二「ボス!!!」
安岡優「嘘ぉ…黒沢の方が有利な態勢だったのに…。」
北山陽一「待て!ヤス、違う…。」
村上てつや「痛てぇ……。」
ト書き「村上は座り込んで、そのまま横になってしまった。」
安岡優「てっちゃん!!」
酒井雄二「ボス!ボス、しっかり!」
黒沢カオル「…俺…泣いてる…どうして…。」
ト書き「黒沢は頬をつたうモノの温かさを感じた。」
北山陽一「駄目だ…完全に向こう行っちゃってます。」
安岡優「…変身してたら勝てたかもしれないのに…何で!?」
ト書き「意識を失った村上を二人掛かりで抱え、車まで移動しようとした。」
北山陽一「ヤス…それは、黒沢がどうして発砲しなかったのか、っていう疑問と同系列だから。」
ト書き「肩越しに振り返って、北山は二人を見る。」
北山陽一「…後ろから撃たないで下さいね。」
黒沢カオル「…戦いはお預けだ…。」
北山陽一「あ。その事で一つ提案が。」
黒沢カオル「…手短に…。」
ト書き「北山と村上を除く3人が、怪訝そうな表情で発言者を凝視した。」
北山陽一「完治するまで、うちの治療ラボに居るってのはどうですかね。」
ト書き「一応、秘密基地とは別の場所です。と付け加える。」
北山陽一「そちらは医療品を受け取る代わりに、我々の監視を受けますけど。」
安岡優「センセ!何言ってんのさぁ!?」
北山陽一「…拘束し、地球支部にも引き渡しません。今は…ですが。」
ト書き「どうです?という意味合いを込めて、北山は首を傾げてみせる。その顔は何かを誑っている表情にも、見えた。」
黒沢カオル「完治した寸前を狙って逮捕って言うのか…見え過ぎた真似はやめて欲しい…。」
北山陽一「違いますよ。 うちのリーダーに刺されるような事は出来ません。恐れ多くて。」
ト書き「気を失っているのを良い事に、好き勝手喋る北山に酒井は無表情だった。」
北山陽一「しいて言えば。個人的な好奇心ってトコですか。」
黒沢カオル「好奇心??」
北山陽一「その辺りは追々……もっともあなたに興味があるのはわたしだけじゃありませんから」
ト書き「北山はそう言うと、何気に安岡の方に視線を向けた」
安岡優「オ、オレは、別に……」
北山陽一「聞きたいことがあるんでしょう?」
安岡優「…うん…。」
北山陽一「とにかく回答は今すぐお願いします。わたしはあまり気の長い方じゃないんで」
黒沢カオル「…酒井の食事の面倒もちゃんと見てくれるだろうな…?」
安岡優「美味しいパン屋さん知ってるよ、俺…。」
黒沢カオル「…酒井、あの人たちに付いて行こう…。」
酒井雄二「ボス、罠かもしれません!人間はみな嘘つきです!!」
黒沢カオル「北山…だったよな?」
北山陽一「はい。ちなみにこっちは安岡です…。」
黒沢カオル「…酒井に『人間は嘘をつく生物じゃない』って事を見せて欲しい…。」
北山陽一「わかりました。…では、行きましょう。治療ラボはすぐ近くですから。」
ト書き「北山の言葉に、彼らは頷いて、車に乗り込んだ」
安岡優「ちょっと窮屈だけど、少しの間だけ我慢してね」
酒井雄二「…ボス。」
黒沢カオル「酒井、行こう」
ト書き「渋る酒井をなだめ、黒沢は二人について行く。」
黒沢カオル「それに、酒井…」
ト書き「酒井の耳元へ口を近づけ、囁く黒沢。」
黒沢カオル「‘人間、皆、嘘つき’ってことは、俺もその‘嘘つき’の中に入ってしまう事にならないか?」
ト書き「一生懸命に笑顔を作って、黒沢は酒井に囁いた。」
酒井雄二「え?イヤ?!そ。そんな…ボスは…あー。うー。あいつらは、ボスの、敵だからして…決して!ボスがそうと言う…」
ト書き「まずい事を口走った自己嫌悪か、酒井は一生懸命に言葉を探す。が、流石の黒沢製人工頭脳もショートしかけている。」
黒沢カオル「わ〜、酒井〜。落ち着け!すまなかった!俺が言いすぎたよ!…とにかく、今はあいつらについて行くしかないんだから…」
ト書き「必死に酒井をなだめる黒沢。そのやり取りを、呆れながらながめる北山と安岡であった。」
北山陽一「この場面をリーダーが見てたら…修羅場だな。」
安岡優「同感。寝ていてくれて、助かったね…」
ト書き「五人は車に乗り、治療ラボへと向かった。」
安岡優「センセ〜、早く開けて〜!重い…。」
ト書き「ラボの入り口には村上を担いだ安岡と黒沢を担いだ酒井が、北山が扉を開けるのを待っている。」
北山陽一「はいはい…開いたよ。」
ト書き「素早くラボに入る一行。」
北山陽一「ひとまず、寝ているリーダーは後にして…貴方から…。」
安岡優「北山さんは医師免許も持ってるから、安心して。」
ト書き「上着を脱ぎ北山の前に座る黒沢。」
北山陽一「…黒沢さんで良いですか?一応お客様なので。」
黒沢カオル「…何でもいい…。」
北山陽一「単刀直入に聞きます…黒沢さんにとって村上さんはどんな存在なんですか?…派手にやりましたね…村上さん…。」
黒沢カオル「痛ッ…、…別に…。」
安岡優「あんな有利な態勢だったら普通は銃で発砲して、ハイ終わりってなるでしょ…悪の提督なんだし。」
ト書き「治療をしている黒沢を眺めながら痛いところを突く安岡。」
村上てつや「ゥうッ…ココ…何処だぁ…?」
ト書き「ソファーに転がされていた村上が起き上がる。」
村上てつや「痛ぇ…ん?!…黒沢…。」
北山陽一「村上さんも黒沢さんも完治するまでココで療養です…敵・味方は別として…。」
村上てつや「ナニ考えてんだよ!…っうッ…条例に違反するぞ…!」
安岡優「いつも守ってないくせによく言うよねぇ〜。」
村上てつや「うるせぇ!!…っうッ…痛ぇ…。」
ト書き「素早く腕を安岡に伸ばそうとするが、身体に激痛が走りいつものように叩けない村上。」
北山陽一「”子供の喧嘩”で決着がつくというんですか?…リーダーなんだからわかるでしょう、それぐらい…。ハイ、黒沢さん…傷口は触らないで下さいね、後は腹部等にもアザがたくさんあるので…。」
安岡優「ハイ、次はてっちゃん!黒沢さんはこっちに座ってて、酒井さんも座りなよぉ〜。」
ト書き「何も反応を示さずすれ違う黒沢と村上。」
北山陽一「よくこんなになるまで殴り合いましたね…。」
酒井雄二「ボス、大丈夫ですか…?」
黒沢カオル「あぁ…大丈夫だよこれぐらい。」
北山陽一「酒井さん、この薬を貴方の旦那様につけてあげてください。」
ト書き「軽く投げられた塗り薬のチューブを受け取る酒井。」
村上てつや「痛っ!…痛ぇ…北山もっと優しく出来ねぇーのかよ?」
安岡優「文句言わないの〜こんなに派手にやったんだから、少しは我慢しなさい!」
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