-ゴスドラマ過去ログ:22001-22100-
村上てつや「お前さ…昨日のこと覚えてるの?」
黒沢カオル「覚えてるよ…あいつ昔のこと引っ張り出して…」
村上てつや「昔って?」
黒沢カオル「言わなかったけ?俺…誰かに暴力をつかってたんだよね…そいつはもう1人の俺だった」
村上てつや「暴力?」
黒沢カオル「ああ、たまったストレスや憎しみを全部、裏の黒沢に押し付けてた、だから俺、ここまで生きたんだ」
村上てつや「黒沢…それ…ひどすぎないか?」
黒沢カオル「なんで?」
ト書き「キョトンとした顔を黒沢はした」
村上てつや「何でって…お前…」
黒沢カオル「なんでよ。」
ト書き「黒沢の顔は生気が失われていた。」
黒沢カオル「俺より弱者の奴に暴力をふるっちゃいけないの?」
村上てつや「あたり前だろ…お前一体誰なんだよ!正体見せやがれ!」
黒沢カオル「テツ…何言ってんだよ、俺は”黒沢薫”だよ!?」
ト書き「胸元から拳銃を出し黒沢の額にあてる村上。」
村上てつや「惚けんな!昨日のからおかしいんだよ、俺に死ねって言ったかと思えば、自分で死のうとはするし…矛盾してんだよ!!」
黒沢カオル「…ハハハハハッ、お前がココで引き金を引けば薫まで死ぬことになるんだぞ?」
ト書き「怪しく笑う黒沢の顔を見て、憎しみがこみ上げるが拳銃をそっとしまう村上。」
村上てつや「黒沢を返せ…!」
黒沢カオル「俺も、『黒沢薫』。あいつも『黒沢薫』。返せなんて言われる筋合いは無い。」
村上てつや「外見だけだろ。…お前は、カオルとは似ても似つかねぇし。」
黒沢カオル「似てる? …人格性に“似てる”なんて表現は使わないで欲しいな。」
ト書き「嘲笑に歪められた口元は、不自然に見えた。」
黒沢カオル「村上!俺はいいから、早くコイツを撃って!」
村上てつや「黒沢…?!」
黒沢カオル「黙れ!!!お前になんか用はない!お前は裏で脅えてればいいんだよ!」
安岡優「てっちゃん!!」
村上てつや「ヤス、来るな!!」
酒井雄二「……ボ…ス?」
黒沢カオル「酒井!其処を動くな!」
ト書き「たじろいだように、酒井の動きが止まる。」
黒沢カオル「…酒井、俺を…撃って。」
酒井雄二「え?…ボス?‥‥俺は、俺は…どうすれば良いんですかっ!?」
黒沢カオル「俺を撃って!」
ト書き「黒沢の左半分が叫ぶ。」
黒沢カオル「其処に立ってろ!」
ト書き「今度は右半分が叫ぶ。安岡は訳も判らずに唖然としていた。」
安岡優「いっ◯く堂……?」
効果音「スパコーン!!」
安岡優「いてーっ!」
村上てつや「ふざけた事ぬかしてんじゃねぇっ!」
北山陽一「村上さん退いて下さい!!!」
効果音「パン!!」
ト書き「倒れる黒沢、唖然とする一同。」
北山陽一「ふぅ…、大丈夫です、人間用麻酔銃ですから。」
安岡優「どうしちゃったのさぁ、黒沢さん。」
北山陽一「1時間後には目を覚まします…まぁ、本当の黒沢さんに戻るかは分かりませんが。」
村上てつや「なんなんだよ…黒沢…。」
ト書き「黒沢をベットに寝かせると部屋を後にする面々。」
北山陽一「…で、俺としては説明を必要としているのですが。」
ト書き「腕と脚を組み、細い体躯を殊更にコンパクトに見せて北山が言った。」
酒井雄二「…あの…。宜しいでしょうか。」
ト書き「頭と同じ高さに手を持ち上げた酒井が、遠慮しながら口を開く。その言葉に顔を動かした者もいれば目だけを動かした人員もいた。」
酒井雄二「本日、AM4:◯◯、我々は我がアジトに到着しました。…その時は、まだ…『俺を撃て』と言ったボスだったんです。」
北山陽一「……本当に、そう言い切れる?」
酒井雄二「は?…質問の意図は…どちらですか?到着時刻なのか、人格の入れ代わりか。」
北山陽一「ああ。ごめんね。…人格のほうだよ。 本当に、俺達と話をした黒沢さんが、そちらのアジトに着いてから人格が交代したのか。否かって。」
ト書き「考え込む仕種で、北山は酒井に柔和な視線を向ける。」
北山陽一「だって、黒沢薫´(ダッシュ)も…広い見取りで考えたら1人の人間な訳で。だったら嘘だってつくだろうし芝居だってうつからね。」
村上てつや「なんだ、そのダッシュって。」
北山陽一「いえ、呼び方に困るから。」
酒井雄二「そのネーミングセンスはどうかと……。」
北山陽一「・・・で、洒井、どうなんだ?」
酒井雄二「薫さんは。。。あんな嘘は吐きません…」
ト書き「ふむ、と一つ北山は頷いた」
北山陽一「とりあえず、確定的な事は言えない訳だね。」
村上てつや「北山…。」
ト書き「咎めるように言われた自分の名前にも、躊躇せずに北山は酒井から視線を反らさなかった。」
黒沢カオル「うぅ……ん…」
村上てつや「・・・・・」
黒沢カオル「村上てつや…村上てつやだろ?」
村上てつや「お前か」
黒沢カオル「逃げてもいい?俺、薫に傷つけられた加害者だよ」
村上てつや「何言ってんだよ…お前が黒沢を」
黒沢カオル「けけけ…黒沢はお前の事好きだよ「村上と戦いたくない」って言ってたな…ピュアだよな」
ト書き「またl黒沢はケラケラ笑う」
黒沢カオル「黒沢は俺のこと汚い奴だって言うんだ…何人も人殺しさせといてさ…」
村上てつや「え?」
黒沢カオル「薫は自分が傷つくのが嫌だから俺に人殺しさせたんだよ」
村上てつや「嘘だ…黒沢は…」
黒沢カオル「そう!お前が信じてた黒沢薫は偽善者だったのよ」
村上てつや「黒沢と…黒沢と話させてくれ」
黒沢カオル「俺も『黒沢』なんだがねぇ……呼べばいいのか? あいつが何言っても、責任取れねーぞ俺は。」
村上てつや「…お前と話してるよりは…大分、マシだと思うが。」
黒沢カオル「ほぉ…そうかい?」
ト書き「薫’は目を閉じた。一瞬、頭がガクリとうなだれ、次に村上が見た黒沢の表情は…」
黒沢カオル「てつ…助けて…。」
村上てつや「黒沢か?何がなんなんだかさっぱり分かんねぇよ。」
酒井雄二「ボ、ス…本当に貴方は私のボスなんですか…?」
黒沢カオル「酒井…ごめん。…なんでアイツ…どうして急に出てきたんだよ…どうして…。」
ト書き「黒沢は涙を浮かべ頭を抱え込んだ。」
北山陽一「時々ある事なんですか?それとも…。」
黒沢カオル「わかんないんだ…急にいつも出てくる、で気が付くと自分に戻ってる…でも気が付くのはいつも何かを犯した後なんだ。」
安岡優「じゃあ、今までの犯罪は全部もう1人の黒沢さんなの?」
黒沢カオル「……。」
村上てつや「オイ、黒沢、行くな!戻って来い!まだ話してねぇじゃねぇか!」
黒沢カオル「俺のセリフばっかり言ってるな…良いヤツぶりやがってよ。」
村上てつや「お前に用は無いって言ってんだろ!引っ込め!」
黒沢カオル「うるさい、黙れ!!」
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