-ゴスドラマ過去ログ:22301-22400- |
村上てつや「北山!連れてきたぞ!」 北山陽一「どうも…。」 ト書き「黒沢と北山はそのまま治療室に連れて行かれた」 安岡優「リーダー…北山先生は?」 村上てつや「かなり出血がひどい…ひどすぎる」 安岡優「あの野郎…」 ト書き「安岡の目が鋭くなっていった」 村上てつや「おい…止めろ。今は…北山助けんのが先だろ。」 安岡優「けど。…てっちゃんは、なんにも思わないの?」 村上てつや「ハッキリ言ってムカツイてるよ…」 酒井雄二「…私は何にも気付かなかった…」 村上てつや「けどな。身を呈してまで、『お前は悪くない』って…普通言えるか? 数時間前に知り合ったばっかりの奴を。」 ト書き「だから。と村上は言を続ける。」 村上てつや「…北山はヤツのこと子供だって言った…でも変だと思わないか?ずっと黒沢と一緒にいる奴なのに成長もしないなんて…」 安岡優「それは違うよ、てっちゃん…。」 村上てつや「え?」 安岡優「あの黒沢…いや・・裏の黒沢…成長する時間を無くしちゃったんじゃないかな?」 村上てつや「きっと…奴は演技してるんだ…悲劇の役者になったつもりで…北山をだまして…許せるかよ!」 一般人(女)「(看護婦さん)会う事ができますが…」 安岡優「どっちも起きてるんですか?」 一般人(女)「(看護婦さん)いえ…黒沢さんは寝ています」 酒井雄二「…あのー…すいません。こちら、どなたですか?我々が来た時は居ませんでしたよね?」 安岡優「え?」 村上てつや「俺が呼んだ…。近所のヤブ医者の、助手だ。」 ト書き「あらまぁ、という表情の、看護婦。」 一般人(女)「看護婦> ヤブじゃないですよぉ。 確かに、注射の時血管破く時はありますけど。」 村上てつや「…一応、そいつ…腕は確かだからな。」 安岡優「北山先生…!」 ト書き「安岡は北山を見に病室にはいった」 村上てつや「あんたは?見に行かなくて良いのか?」 酒井雄二「………」 ト書き「村上は無言で部屋に入った」 酒井雄二「・・・・・・・」 ト書き「酒井は病室の前のベンチに座っていた」 ナレーション「こちら病室にて」 北山陽一「みなさん…ご迷惑、かけました…」 村上てつや「まだ顔色悪ぃな…寝てろよ。」 ト書き「起き上がろうとする北山を制止すると、村上は隣のベッドに腰をかけた。」 北山陽一「…すいません。」 ト書き「向かいのベットでは黒沢が眠っている」 安岡優「傷の…具合は…?」 北山陽一「まだちょっと…それより、みんな黒沢さんに、話し掛けてあげてよ」 村上てつや「もうちょっと…したら、な。…まだ気持ちの整理が…ついてねぇから。」 北山陽一「そっか…」 安岡優「北さんは…恨んでないの? 自分を刺した…相手のコト。」 北山陽一「恨む前に可哀想になったよ。…自分に置き換えたら、生半可な事なんて言えないぐらい。」 ト書き「血の足りない脳で、言葉をまとめようとする北山。」 北山陽一「ああ。…それに、純粋すぎて恐かったかな…少し。」 安岡優「純粋? なにがどうしてそうなるの。」 北山陽一「…まっすぐな目で、『どうして人殺しはダメなんですか?』って訊かれたから。…俺は、答えられなかった。」 ト書き「一呼吸おいて、北山は村上を見上げる。」 北山陽一「村上さんと同じ心境になっちゃいましたよ…不覚にも。」 村上てつや「…俺が異常みたいな言い方だな。」 安岡優「…信じらんないよ・・それ異常だよ…そんなの…答えらんないに決まってんじゃん…」 ト書き「安岡がもっと熱くなって言う」 安岡優「黒沢薫も異常だけど…かまってやる北山先生も異常だよ」 北山陽一「そうかも知れない…刺されたときは殺してやるって思ったのに…黒沢薫が目の前でケラケラ笑ったら…黒沢薫の見方になってて…変だよな…」 ト書き「隣のベットでは黒沢が睡眠薬で眠っていた」 安岡優「俺は…許せないよ…」 ト書き「安岡は自分のポケットから小さな小型ナイフを手に持った」 村上てつや「やめろ!!安岡!!」 北山陽一「…止めとけ。俺はお前に裁いてくれなんて、頼んでないはずだ。」 安岡優「でも…でもさっ!」 北山陽一「ここで黒沢を殺したからって、俺の身体から流れた血は元に戻らない。傷も綺麗さっぱり消える訳でもない。残るのは、死体と殺人者と傍観者だけだ。」 ト書き「それとも。と北山は安岡に問う。」 北山陽一「お前は人殺しをしたいのか?」 ト書き「安岡の髪に銃弾がかすった」 村上てつや「え?」 ト書き「銃をにぎりしめて震えだし、涙でぐちゃぐちゃになった黒沢がベットに上半身をおこしていた」 北山陽一「黒沢さんっ?」 黒沢カオル「俺を殺そうとするから…」 北山陽一「…話し…聞いてたんですね。」 ト書き「表面張力で瞳にたまっていた涙が、頬をつたいそのまま上着の裾に落ちる。」 黒沢カオル「薫ばっかり…なんでだよ…」 ト書き「仕事柄、平気な顔をして黒沢にナイフを突きつける安岡」 北山陽一「ヤス…。」 安岡優「何で…隙だらけだったのに、命中させなかったの?」 ト書き「ナイフの切っ先が、ゆっくり移動して喉元で止まる。」 黒沢カオル「・・・・・死にたかったから」 ト書き「黒沢の涙がこぼれる」 黒沢カオル「俺の弾があたらなかったら…打ち返すと思って…」 安岡優「誰も、銃なんて持ってない。…期待外れだったね。」 黒沢カオル「きっと…今の俺は汚いんだろうね」 安岡優「汚い?」 黒沢カオル「薫は愛されてるけど…自分は愛されてない…それに…抱きしめられた事もない」 北山陽一「…憶えてないんですか?」 安岡優「え?…先生?」 ト書き「心外だ。という北山の表情を、村上は間近で目撃した。」 北山陽一「憶えてて欲しかったのに…。」 村上てつや「俺の居ねぇ時に、ナニやってんだお前は。」 黒沢カオル「名前・・・なんだっけ・・・」 ト書き「北山をジッとみて聞く黒沢」 北山陽一「え?・・・北山陽一」 黒沢カオル「北山陽一?BAD ENDになったはずじゃ」 ト書き「考え込んでいる間、安岡はBAD ENDってなんだ?よ思った」 北山陽一「黒沢さんが俺を刺した時、言った言葉だよ…死んだ奴はBAD ENDなんじゃないですか?」 黒沢カオル「………俺…ここから…出る…」 ト書き「なに言ってるんだ、と言う顔をした村上と安岡、そして北山は黒沢を見詰めていた」 黒沢カオル「……北山陽一…北山陽一の死体を捜す…きっと何処かで死んでいる…」 安岡優「まてよ!!北山先生はここに…」 |
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