-ゴスドラマ過去ログ:22401-22500-
黒沢カオル「・・・・・え?」
北山陽一「黒沢さん…」
ト書き「北山を見つけた黒沢は北山に抱きついた」
黒沢カオル「な・・・なんで?」
村上てつや「黒沢!!戻ったのか?」
安岡優「いままで、まあ長い話だけど…」
北山陽一「痛ぅ…」
ト書き「黒沢に抱き締められた刺激に、傷が痛んだのか、北山は控えめに眉をしかめた。」
黒沢カオル「え…北山?俺…俺まさか…あいつが?」
北山陽一「俺…もう1人の黒沢さんを助けられたのかな?」
黒沢カオル「・・・・・・あいつの心は…真っ黒だよ」
北山陽一「いった……でも…もう1人の黒沢薫にひかれてたのかもしれない」
ト書き「どこか悲しそうに笑う北山」
村上てつや「黒澤・・・」
ト書き「困惑の表情を隠しきれない村上。」
村上てつや「どうするんだ、これから・・・。」
黒沢カオル「…どうすれば、良いんだろうね。 俺は人殺しだから…自首でもしようか?」
ト書き「冗談のように笑って見せたその顔は、本来の表情で。だが、やはり悲しそうだった。」
村上てつや「宇宙警察地球支部に報告でもするか…なぁ北山、どう思う。」
北山陽一「多重人格性を…提出すれば、多少、罪は軽くなりますが。」
ト書き「その場に居た、北山以外の人員の表情が一変する。」
村上てつや「何だよ…それ。」
安岡優「で・・でも、そんなことが本当に通用するのかな・・・?」
北山陽一「証拠は必要ですけどね。…犯罪者の中に少数ですがそういう前例があります。 犯罪を犯した人格と、本人の意思は違う事を証明しなければいけないんですけど。」
酒井雄二「でも証拠って、この場合何を証拠にするつもりだよ?」
北山陽一「それが、問題でして。」
安岡優「無理だよ…。」
村上てつや「黒沢。お前にはもう一人のお前がやったことの記憶がないんだろ?それを精神鑑定のときにアピールするんだ。」
酒井雄二「そんなに甘くはないですよ。医者だってプロなんだよ?見抜かれるよ。」
北山陽一「それに…彼は、自分が『汚い人格』として見なされるのを拒むでしょう。」
村上てつや「汚い?黒沢はマジでもう一人の自分の記憶がないんだ。そこを見抜かれて何の不都合がある?むしろ見抜いて立証してほしいところだろ?」
ト書き「何時の間にか法の目をくぐり抜ける算段をしている面々。」
黒沢カオル「俺は・・・俺は皆の意見に従うよ・・・」
北山陽一「じゃあ、まず…地球征服を志していた、という看板は下げて下さい。」
ト書き「それと、と北山は顎をつまんだ。」
北山陽一「バリ"K"〜んも、『天災』として処理します。」
安岡優「それは、ダイジョブ。 もう処理の書類出しちゃったし。」
黒沢カオル「でも、俺怖いよ・・・また・・・またあいつが俺の中」
北山陽一「『あいつが俺の中に戻ってくるんじゃないか』って、そう思っているんだろう?」
村上てつや「大丈夫だ。・・・あいつは・・・あいつは死んだよ。」
黒沢カオル「死んだ?」
安岡優「僕達の目の前で死んだよ。だから、いま黒ぽんはここにこうしているんじゃない。そうでしょう?」
黒沢カオル「でも…。」
村上てつや「…不安がって足下ばっか見てても仕方ねーだろ。」
黒沢カオル「それは……てつが獲た教訓?」
村上てつや「は?」
ト書き「すっとぼけた黒沢に、意表を突かれた表情の村上。」
安岡優「まーまー! 黒沢さんっ、倒れる時は前のめりだっ!」
酒井雄二「倒れられたら、困るんですが。」
北山陽一「そうだね。 …ま、地球人がどれだけ知能が遅れてるとか、タカ括ってる連中に一泡吹かせますか。」
黒沢カオル「良いのかなー……地球防衛隊がこんなで。」
ト書き「黒沢は苦笑いで呟く」
北山陽一「いいんですよ、これで」
ナレーション「安心快適真心をお届けする地球防衛隊〜!」
ゴスペラーズ「ふざけんじゃね―――っっ!!!!」
効果音「バシィィィィン!」
ト書き「いつのまにか所持していたハリセンによって、ナレーションは宇宙の彼方にまで飛ばされてしまった」
村上てつや「ったく、最後の最後まで世話の焼ける」
酒井雄二「あぁ言うのが居るからなめられるんでしょうね、我々は」
北山陽一「はいはい、もうちょっとですからがんばりましょうね〜」
安岡優「はいはい………じゃ、とりあえず、身柄の引渡しは……明日でもいい?」
北山陽一「そうですね、今から来いっていうのは少し酷でしょう。時間も時間ですし」
ト書き「それでいいですか?と確認を取るように北山は村上の方を見た」
村上てつや「あぁ。あとで俺が連絡いれておく。北山は治療に専念しろ。明日の引渡しにはオレと安岡が立ち合う」
黒沢カオル「てつ……」
村上てつや「安岡〜とりあえず残ってる報告書、早く仕上げろ。同時提出のもの優先だぞ」
安岡優「は〜い。まったく、そう言うめんどくさいことばっかり人に押しつけてさ……」
ト書き「ぶつぶつ文句を言いながらも安心したような笑みを浮かべた安岡は、その部屋を出て行った」
黒沢カオル「てつ、ありがとう……」
村上てつや「なぁに、やることをやってるだけだ。お前も休んでおけよ。明日からは休まる時間もないだろうからな」
ト書き「村上はそれだけを言うと部屋を出た。」
北山陽一「いい友人を持ちましたね、黒沢さん」
黒沢カオル「あぁ……俺には過ぎた友達だよ」
ト書き「そう言った黒沢の笑顔は、今までにないくらい柔和なものだった」
酒井雄二「ボス……」
ト書き「それからしばらくして、草木も眠る丑三つ時……」
効果音「コンコン」
安岡優「は〜い」
酒井雄二「入っても大丈夫ですか?」
安岡優「どーぞって、あぁ、酒井さんか」
酒井雄二「済みません、お忙しいのに御邪魔して」
安岡優「いいよ、そろそろ終わるし。それより、どうかした? 明日……ってもう今日だね。緊張する?」
酒井雄二「いえ、緊張と言う緊張とはして無いのですが……あなたにお願いがあってきたんです……」
安岡優「なに? 改まって。俺で出来ることなら……」
酒井雄二「そう言って頂けるとありがたいです。実は……」
ト書き「そう言うと酒井は、自らの胸の内を明かした。」
安岡優「ちょっと待ってよ。そんなことしたら……黒沢さんが」
酒井雄二「分かってはいるんです。でも、わたしにはこれくらいしか……」
安岡優「……決心は固いんだね」
ト書き「低く呟く安岡の言葉に、酒井は重く頷いた」
酒井雄二「ホントは、誰にもなにも言わずでも良かったのですが、やはりこれだけお世話になったボスになにも言わないと言うのはやはり心苦しいので」
安岡優「つまり俺に伝言番になれってことね。でもなんで俺? 黒沢さんへのメッセージならなにもてっちゃんでも……」
酒井雄二「それは考えました。でも、あの方はきっとわたしを説得にかかるでしょう。その、ボスのことを一番に考える方ですから。あの方に説得されたら、わたしも決心が揺らいでしまいそうになりますし」
安岡優「……………分かった。あなたの意思を尊重するよ」
酒井雄二「ありがとうございます……」
ト書き「酒井はそう言って笑うと、ある指示だけしてその部屋をあとにした。」
安岡優「ロボットのくせに、なんでかな……」
ト書き「安岡の呟きは闇に消え、密かな会談も闇の内に消えた。」
ナレーション「翌朝……」
黒沢カオル「さか……い…………」
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