-ゴスドラマ過去ログ:22901-23000-
酒井雄二「優兄も陽一もこれから出掛けるんですよ、だからです。」
村上てつや「だからってケチだよなぁ〜2人分も5人分も一緒だろ?」
北山陽一「…ちなみに、今日の食事当番はてつ兄ですよ。」
村上てつや「……アッ…。」
ト書き「すっかり忘れていた様子の村上。」
安岡優「楽しようったってそうは行かないからね…あっ、ちなみに薫に作らせるのもナシだからな!」
村上てつや「アッ!俺、明日提出のレポートがあるんだった…雄二、メシ頼むな!俺部屋に居るから!」
ト書き「小走りで自分の部屋へ戻る村上、呆れた表情で食器を片付ける安岡。」
安岡優「レポートなんて未だに1度も出した事無いくせに…薫、あんなヤツにはなっちゃダメだぞ!」
北山陽一「まぁ、薫は大丈夫でしょう。」
安岡優「そうだな、成績も毎回良いし、てつみたいに担任から電話かかって来る事も無いし。」
北山陽一「同じ学校に居ても恥ずかしくないですよ、ねぇ、雄二兄?」
酒井雄二「まぁ、確かに…。」
黒沢カオル「お腹空いた…仕方ない、僕が作るよ。」
ト書き「制服のままエプロンをつけると冷蔵庫を開け色々探し始める黒沢。」
黒沢カオル「えっと、冷蔵庫にはっと・・・。おっ、良いものあるじゃんか。」
INPUT TYPE="checkbox" NAME=2917> ト書き「早速作り始める黒沢。」
酒井雄二「すまんな…不甲斐無い兄貴で。」
黒沢カオル「はいはい、そこで悲愴感出しても飯は出来ないからね…。」
北山陽一「何か手伝うよ。」
黒沢カオル「ありがとう。でも、いいよ。出掛けるんでしょ?支度しなよ。」
酒井雄二「あぁ〜いい子だなぁ。うちの末っ子は…。(涙)」
黒沢カオル「何泣いてるの?最近、雄二兄ちゃんお父さんに似てきたよね〜。」
酒井雄二「ふはははは!」
安岡優「雄二・・・だいじょうぶか?何か、変だぞ!?」
酒井雄二「変じゃないですよ」
黒沢カオル「まぁまぁ〜、そんなことはいいから。」
酒井雄二「そこでそう片付けられても困るんだけど……」
ト書き「ちょっとだけショックな雄二兄……」
酒井雄二「だけど、そうやって器用なのは母さん譲りだよな、薫は」
黒沢カオル「えっ? そう??」
酒井雄二「あぁ。薫はよく覚えてないかもしれないけど、よく母さんのあとくっついてたからなぁ。自然と身についたのかな。」
黒沢カオル「そうかぁ……でもさ、やっぱこういう生活が続けば、自然と身についちゃうでしょ? 否応にもやんなきゃいけないんだもん。いつまでも甘えてらんないよ」
ト書き「そう言いながら、薫は器用にフライパンを操り、次々と料理を仕上げて行く」
北山陽一「じゃぁ出掛けて来るけど、あんまり遅くならないうちには帰るから。ゆた兄も多分今日は遅いはずだから、火の元だけは気をつけろよ」
酒井雄二「おう、お前も事故と女に気をつけな」
北山陽一「なんですか、それは。事故は分かるにしても女って……」
酒井雄二「あんまり深い意味はないさ」
安岡優「業だよ、ねえ?」
北山陽一「俺のこと何だと思ってんです?」
黒沢カオル「まあいいじゃん。それより行かなくていいの?」
北山陽一「そう、だね。そろそろ。優兄、乗せてってよ。」
安岡優「よっしゃ!行くか!じゃあ、薫あとよろしくね。」
黒沢カオル「うん。」
ト書き「フライパン片手に、二人を振り返る黒沢。」
黒沢カオル「行ってらっしゃい。…二人とも気を付けてね。」
安岡優「ああ。じゃ、行ってくる。」
北山陽一「行ってキマス。」
ト書き「末っ子を安心させるように笑って、二人は玄関から出て行った。」
村上てつや「はらへったよぉ」
黒沢カオル「てっちゃん、ちょっとは手伝ってよね!」
村上てつや「…薫。なんで俺だけ兄ちゃんって呼んでくれねぇんだ…。」
酒井雄二「それはやっぱり、兄らしさに欠けてるってことでしょうね。さ、薫、雄二兄ちゃんが手伝うぞ!」
黒沢カオル「うん、ありがと。じゃあ、そっちの皿持っていって。」
酒井雄二「ハイハイ、邪魔ですよ!そこの大きな大学生!」
村上てつや「あのなぁ、俺一応この家の長男なんだよ!窓際族扱いすんな!」
黒沢カオル「わかったよぉ、ハイ、てつ兄コレ運んで!」
ト書き「もう一つの大皿を兄に渡す、薫。」
村上てつや「淋しい飯だよな、5人兄弟なのに3人で食うなんてよ…。」
酒井雄二「仕方ないですよ、みんなそれなりに忙しいんですから。」
村上てつや「薫が1番かわいそうだよな…。まぁ、薫はよく連絡取ってるけどよ親父やお袋と。」
酒井雄二「今度はイタリアでしたっけ?もう3年も帰ってきてないんですね、日本に。」
村上てつや「俺と優は大学生になったから良いけどよ、薫はまだ高1だぜ?何考えてるんだかな…。」
黒沢カオル「お父さん仕事忙しいんだよ、お母さんだって手伝いしてるんだし…。」
ト書き「大皿を片手にキッチンから戻ってくる黒沢。」
酒井雄二「てつ兄や優兄は話してないんですか?父さんと母さんと。」
村上てつや「話す事ねぇだろ。せいぜい『陽一、雄二、薫の事よろしく!兄弟仲良くやるんだよ!長男、頑張れ!』って無責任な事言うだけだろうよ…。」
酒井雄二「父さんや母さんの楽天的な考えはてつ兄にも通用する所があると思うんだが…。」
黒沢カオル「お父さんもお母さんもそれだけてつ兄の事信頼してるんだよ!」
村上てつや「にしてもよ、1年に1回ぐらいは可愛い息子の顔見に帰って来る位出来るだろ?」
酒井雄二「こうなる事を承知でてつ兄が『俺たち5人で日本に住む!』って言い張ったんじゃないですか。」
村上てつや「俺だってせっかく入った高校は辞めたくなかったしよ、お前等だって友達と離れるのは嫌だっただろ?」
ト書き「”いただきます”と言い食べながら酒井と黒沢に目線を向ける。」
村上てつや「それに、短い単位で各国飛び回ったって仕方ねぇだろ?親父とお袋は良いけどよ…。」
酒井雄二「薫はどう思ってるんだ?やっぱり父さんと母さんと一緒に暮らしたいか?」
ト書き「箸の動きが止まり考え込む黒沢、それを見守る酒井と黙々と食べる村上。」
黒沢カオル「中学の頃はそう思ってたけど…でも今は今で楽しいよ。兄弟5人だけで暮らしてなかったら、今みたいに仲良くなってなかったかもしれないしさ。」
村上てつや「ったく、俺の教育が良いから薫はこんなに良い子供に育ったんだなぁ〜。うん、偉いぞ薫!!」
ト書き「村上の発言を聞き流し美味しく夕飯を食べる黒沢と酒井であった。」
村上てつや「そうやって無視すんなのよな、冷てーなぁ」
酒井雄二「別に無視なんかしてないよ。ただ、薫を育てたのはてつ兄だけじゃないってことさ。なんつったって薫はオレたちが育てたようなもんだもんな」
黒沢カオル「そうなの?」
酒井雄二「んにゃ? まぁ、薫が小さい頃から親父の仕事が忙しくなって、初めのうちは一人でもこなしてたけどそのうち母さんも手伝うようになっただろ? おかげで家事一般はオレたちの日課。勉強だってそれぞれに見てやったこともあったしなぁ」
村上てつや「一時期はそれどころじゃなかったけどよ」
酒井雄二「まぁ……そんな時期もありましたね。思い出したくもありませんけど」
黒沢カオル「そうだね……」
ト書き「そう言ったまま、3人はそれっきり黙ってしまった。」
安岡優「陽一、今日はバイトの日じゃないよな。デートか?」
北山陽一「そんな、いきなりストレートになんてことを……別に、そう言うわけじゃないですけど……」
安岡優「隠すなって。気にいった子がいるんなら、今度うちに連れてきたら……って、それは無理か。男5人が犇く家じゃむさ苦しいもんな」
北山陽一「まぁ、その時はそのときで……優兄こそいないんですか? そう言う人」
安岡優「オレ? オレはいないよ。バイトで忙しくてそれどころじゃないし」
北山陽一「優兄は忙し過ぎ。今いくつだっけ? バイトの掛け持ち」
安岡優「今のところは……昼夜合わせて4つか」
北山陽一「いつのまにか一つ増えて……いい加減身体壊しますよ」
ト書き「指折り数える優に、陽一は溜息をついた」
北山陽一「またなにか良からぬことを考えているんじゃないでしょうね?」
安岡優「良からぬことって、オレは悪の組織でもなんでもないんだけど」
北山陽一「あの事件以降ギクシャクしてた俺たちの関係が、今はほぼ修復されてます。少なくとも俺は、今の関係を壊したくは、ないから……」
安岡優「陽一……」
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