-ゴスドラマ過去ログ:23001-23100-
ト書き「前方を見る視線はそのままに、安岡は呟いた。」
北山陽一「あっ、ここでいいよ。じゃあね!兄貴あんまり遅くなるなよ、薫が心配するから!」
安岡優「はい、行ってらっしゃい!…うちの連中はホント薫中心に世界が回ってるよなぁ。ま、しょうがないか、うちの末っ子は可愛いもんなぁ…。」
ト書き「フゥと1つ溜め息を吐いて安岡は歩き出した。」
安岡優「あんな可愛い弟どこにもいないからなぁ。」
効果音「チャリーン」
安岡優「れ?何の音だろ?」
ト書き「助手席から落ちた金属音のモノを確かめる安岡。」
安岡優「なんだろ?陽一のかな…まあ、良いか。」
ト書き「自分の胸ポケットにしまうと安岡は車を発進させた。」
黒沢カオル「ごちそうさま。」
酒井雄二「ご馳走様でした…。」
村上てつや「片付けはじゃんけんだからなぁ〜。」
黒沢カオル「えぇ〜!てつ兄が当番なのに僕がやったんだよ?てつ兄が片付けだよぉ!」
村上てつや「当番は飯作るだけだろ?毎回片付けはじゃんけんじゃねぇか、文句言わない!」
酒井雄二「ったく長男はズルイんですから、ねぇ薫!」
黒沢カオル「ホントだよねぇ〜。」
村上てつや「ウルサイ、やるぞ!」
ゴスペラーズ「(村・酒・黒)>い〜んじゃ〜んで、ホイ!」
ト書き「酒井・村上はグー、黒沢はチョキで負ける。」
黒沢カオル「……。」
村上てつや「ご馳走さん!雄二、ゲームやるぞぉ〜!」
酒井雄二「悪いな、薫。頑張れ!」
ト書き「テレビの前で早速セッティングし始める村上と酒井。肩を落としながらキッチンへ向かう黒沢。」
黒沢カオル「ったく、いつも僕なんだから…。はぁ〜あ、お父さんとお母さん今ナニやってるんだろう…イタリアかぁ。」
ト書き「食器を洗いながらふと両親を羨ましく思う黒沢。」
黒沢カオル「良いなぁ、僕もいつかお父さんみたいに各国飛び回って仕事とかしてみたいなぁ!」
村上てつや「…薫は純粋すぎたよな、高校1年なのによ。」
酒井雄二「てつ兄とは全く違いますね…。」
村上てつや「うるせぇよ…! 薫〜お前も早く終わらせて」
酒井雄二「ゲームしよう!!」
黒沢カオル「うん、わかったぁ〜もうすぐ終わるから待ってて!!」
ナレーション「慌てて皿を食器棚にしまうとテレビの前へ走ってくる黒沢。が、見事にこける。」
効果音「どんがらがっしゃ〜ん!!」
黒沢カオル「いたたた……。足の小指ぶつけた〜。」
村上てつや「あ〜あ…。何やってんだ、ほら、見せてみな?」
酒井雄二「ありゃあ…爪剥がれかけてますよ…。」
黒沢カオル「うーうー。」
ナレーション「涙目になる黒沢。その愛らしさはとても高校一年生には見えない…。」
酒井雄二「消毒するから…少し我慢してろ?」
黒沢カオル「…ぁう…。」
ト書き「黒沢のくるぶしを掴んだまま、マ◯ロンとティッシュを片手に足を上げさせる。」
黒沢カオル「く〜〜……。」
酒井雄二「やるよ〜…覚悟は良いかね?」
効果音「しゅうぅぅぅ!」
ト書き「苦痛に顔を歪ませつつも頷いた黒沢の足の小指に、消毒液を吹き掛けた。」
黒沢カオル「ぅっ……くぅうう…」
酒井雄二「よし!終わり!」
黒沢カオル「痛い…。てつ兄のばかぁ!」
村上てつや「何で俺なんだよ!ったく!ほら、足かしてみろ。包帯まくから。」
黒沢カオル「う…ごめん。八つ当たりした…。」
ト書き「手際よくガーゼを張って包帯を巻いてやる村上。」
村上てつや「今日は風呂入れねぇな…。」
黒沢カオル「…仕方ないっかぁ…しみるもん。」
酒井雄二「これ以上、痛い思いしたくないなら我慢。だな。」
黒沢カオル「痛いのやだから我慢する。」
村上てつや「ったく子供みたいだなぁ薫は…触るなよ、歩けなくなっても知らねぇぞ!?」
黒沢カオル「んなことある訳ないじゃン…」
酒井雄二「いや? もしも化膿して、放置すると菌が繁殖して腐り始めるだろ。じわじわ激痛と共にな。そのまんま更に時間経過すると…歩けなくなる。」
黒沢カオル「雄二兄までやめてよ〜ぉ!!!本気でこわいじゃん!!!(涙)」
村上てつや「はは・・・そんなことないだろう!うちの末っ子は、本当にかわいいなぁ〜!ぎゅっとしてあげようか?(ニヤリ)」
黒沢カオル「やだよ、ブラコン!!」
酒井雄二「何やってんだよ、二人とも!」
黒沢カオル「もういつまでも子ども扱いしないでよね!僕だって一応高1なんだから!」
村上てつや「俺は大学1年だもんねぇ!どうだ参ったか?!」
酒井雄二「変な意地の張り合いしないでくれ…まったく。」
村上てつや「とりあえず大人しくしてろ、薫」
黒沢カオル「うん・・・」
酒井雄二「薫、片付け終わったんならもう寝たら?」
黒沢カオル「えぇ?まだ10時じゃん。まだ寝ない!」
ナレーション「子供扱いされて悔しい黒沢は酒井に向かって「いぃ〜〜だっ!」をしてみせた。」
村上てつや「そういうコトが子供だった言ってんの!」
黒沢カオル「何だよ、てつ兄まで!もう、てつ兄も雄二兄ちゃんも嫌い!」
ゴスペラーズ「(村上・酒井)が〜〜〜〜〜〜ん!!!」
村上てつや「き、嫌いって……。」
酒井雄二「てつ兄、落ち着け!薫が本気でそんな事言うわけないじゃないか!な、薫?」
黒沢カオル「しらない!」
ゴスペラーズ「(村上・酒井)薫ぅぅぅ!!」
効果音「バタン!」
北山陽一「ただいま!ごめん、遅くなって…って、どうしたの?」
村上てつや「なんかあまりのショックに具合悪くなってきた…。」
酒井雄二「てつ兄、しっかりしろ〜。あれは幻聴だ!そうに違いない!」
北山陽一「なにしてんの? 二人して」
酒井雄二「いや、今、薫にキライって言われて……」
北山陽一「つまりはそう言われて二人してショックで落ちこんでると……」
ト書き「事情を察した陽一は、思わず溜息をついた」
村上てつや「俺、薫に否定されたら生きていけねぇ……」
北山陽一「って、あんたなにしてんですかっっ!!」
酒井雄二「い、いつの間にそんなもの……やめてくれよ兄貴! 早まるんじゃないって」
ト書き「何気にてつやの方を見ると、いつの間に持ち出していたのか、ナイフを首筋に当てていた。」
村上てつや「止めるなー止めないでくれ〜〜〜〜。俺は薫に嫌われたら生きていけないんだぁぁぁ」
北山陽一「んなバカなこと言うんじゃありません。また繰り返すつもりですか!! それこそ薫を悲しませるんじゃないですか?」
酒井雄二「僕はもう嫌ですよ、あんな目に遭うのは。薫うんぬんの前に俺たちや親が悲しみます。」
黒沢カオル「てつ兄何してんの?」
村上てつや「え?」
黒沢カオル「だから・・・何してんの?何か、騒がしかったから出てきたんだけどさぁ〜あぶないよ〜そんなものもってたら・・・」
ナレーション「原因が自分にあることが分からない天然薫・・・。」
黒沢カオル「ちょっとそれ貸して?リンゴ剥いてあげるよ。隣のおばさんからおいしいリンゴ貰ったの忘れててさ〜。」
ゴスペラーズ「二人>ポカ〜ん・・・・」
村上てつや「かっ、薫ぅーっ!!(がしっ)」
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