-ゴスドラマ過去ログ:23201-23300-
効果音「コンコン!」
安岡優「ん?誰ぇ?入っていいよ。」
村上てつや「優、薫そろそろ寝かせてやれよ。」
黒沢カオル「あっ、てつ兄。」
村上てつや「若き青年が夜中の1時まで起きてるんじゃない!ほらっ、朝起きれねぇぞ!?もう寝ろ。」
安岡優「よく言うよ、てつやが高1だった時は夜中の3時までよく起きてたよなぁ〜?気のせい?!」
村上てつや「俺はいいんだよ!薫は別!ほらっ、早く寝ろ〜!」
黒沢カオル「はぁ〜い。優兄、ありがとう。おやすみなさぁい。」
ト書き「勉強道具を持ち部屋を後にする黒沢。イスを引っ張り出し座る村上。」
安岡優「陽一と雄二ももう寝たの?」
ト書き「ベットの上に寝転がり首だけを村上のほうに向ける安岡。」
村上てつや「陽一は部屋で勉強、雄二はもう寝た…。」
安岡優「そう…。」
ト書き「手を頭の後ろに置き天井を見る安岡、イスの背もたれに腕をかけて楽な態勢を取る村上。」
村上てつや「優、お前は親父とお袋に電話とかしてるか?」
安岡優「してないけど…。今イタリアだっけ?手紙は読んだ。」
村上てつや「って事はこの家で連絡を取ってるのは薫だけか…。」
安岡優「あ、薫は電話とかしてるんだ?」
村上てつや「らしいぞ、なんだ俺はてっきり取ってるのもんだと思ったよ。」
安岡優「てつやの方が親父とおふくろに信頼されてるんだから、俺はてっきりてつやは取ってるもんだと思ってたよ…」
村上てつや「…信頼、ね…。俺はお前が思ってる程信頼されてねぇけどよ。 『隣の芝生は青い』だけだって。」
安岡優「そーぉかな? …そーなのかも、な。」
村上てつや「とにかく…俺の前だけでもさ、『長男』すんなよ。 お前よりも少し遅く生まれただけで、兄貴面されんのは辛れぇし…。」
安岡優「なに?他にあるの?」
村上てつや「お前が、皆を食わせていくって、悩んでるの見るのは…もっと辛い。」
安岡優「だってさ…仕送りにあんまり手付けたくないじゃんか。 何時大金が必要になるか判んないんだし。」
村上てつや「だからって。」
安岡優「皆に『お兄ちゃん』が不安がってるトコ見せたくないの。…俺のちっちゃい意地ぐらい、護らせてくれよ。」
村上てつや「…俺もバイト増やそっかなぁ。」
安岡優「別にいいよ。てつはバイト増やさなくても…」
村上てつや「ばか、お前ばっかつらい思いさせてどーすんだよ」
安岡優「てつがおもってるほどつらい思いなんてしてないけど」
村上てつや「ならいーけどよ」
安岡優「もう寝よう?なんなら添い寝したげようか?」
村上てつや「ば〜かやろう!添い寝なら薫のほうがいいっての!じゃ〜な、おやすみ。」
安岡優「おやすみ!」
ナレーション「…そして翌日。雄二・陽一・薫が通う高校の前に車を停め、可愛い弟が出てくるのを待つ安岡。」
安岡優「まだかなあ、薫は。」
酒井雄二「……ゆた兄。何してんだ、こんなとこで?怪しい奴が校門のところにいるってかなり話題になってるぞ。」
北山陽一「…ゆた兄?なんで高校にいんのさ?」
安岡優「いや…薫、迎えにきたんだけど…。俺の格好ってそんな怪しいか?」
北山陽一「校門のところに大学生が立ってるだけで怪しいよ…。」
酒井雄二「ゆた兄はもう、それだけで怪しい。」
安岡優「失礼だよなお前たち…てつやよりは怪しくないだろう?」
北山陽一「まぁそうですけど…。ところでなんで薫を待ってるわけ?」
安岡優「欲しい本があるって言うからさ、まぁ〜jたまには買ってやろうかなって。」
酒井雄二「なるほど。多分もうすぐ出て来ると思う、1年生今掃除してたから。」
安岡優「そっか、サンキュ!てつやは今日も家でゴロゴロしてるから、鍵は開いてるよ。」
北山陽一「はぁ、帰ったら昼飯作りかぁ…。わかった、じゃ優兄と薫の昼飯はいらないね?」
安岡優「うん、食べてくるから。てつやよろしくな。」
酒井雄二「では、甘やかして薫に色んなもの買わないように!」
安岡優「わぁ〜かってるよ〜!」
ト書き「『じゃ!』と片手を挙げて歩道を歩く北山と酒井。」
安岡優「にしても遅いなぁ…。」
ト書き「すると玄関から走ってくる1つの影を見つける安岡。」
安岡優「やっと来た。」
効果音「プップ〜♪(クラクション)」
黒沢カオル「はぁハアはぁ…ごめん優兄、掃除がなかなか終わらなくって…ハァはあ…。」
安岡優「別にそんな息切れるまで猛ダッシュして来なくても…まぁいいから早く乗って!」
ト書き「黒沢は助手席に乗ると呼吸を整えて安岡笑顔を見せた。」
安岡優「じゃ、行くよ!」
ト書き「アクセルを踏むと車は勢いよく発進した。」
北山陽一「ただいま!」
酒井雄二「ただいま戻りましたっと…って、てつ兄居ないのか?」
北山陽一「そんなわけないと思う、幾らなんでも鍵はかけるでしょ。」
ト書き「応答が無いのを不審に思いながら2人は玄関で靴を脱ぐ。」
村上てつや「…あぁ、わかってるよ。うん、うん…だから心配ねぇって…たまには帰ってくるとかしろよ…。…だから〜、話聞けって!!」
ト書き「電話の子機を持ち部屋をウロウロシながら話をしている村上。玄関の様子に気がついていない。」
村上てつや「みんな一応は心配してんだぞ?…なぁ…ったく…だから仕送りの話はしてねぇって…あのな、俺や優だって色々あんだよ…。」
北山陽一「てつ兄?誰と話してるんですか…」
酒井雄二「幾ら1人でツマラナイからって、独り言を趣味にするのは…。」
村上てつや「違う!!親父だよ。俺達の。」
ト書き「驚く2人を尻目に呆れたように電話に耳を傾ける村上。」
村上てつや「あぁ、陽一と雄二が帰ってきたんだよ…だから、話を聞けっての!1人で喋るなよ!」
北山陽一「相変わらず親父のマイペースさに振り回されてるようだな、てつ兄は…。」
村上てつや「わかったからよ、帰って来いって…1日でも2日でも良いからよ…親父聞いてんのか?あ?お袋?ったく、急に代わるなよ…。」
ト書き「頭をワシワシとかきながら、もう付いて行けない村上の様子を見ている北山と酒井。」
村上てつや「あ?陽一か…」
ト書き「『俺?』と思いながら首を傾げる北山に電話を渡す村上。」
北山陽一「もしもし、陽一ですけど…。」
佐々木真理「(電話)アラッ!陽一ぃ〜元気?最近どう?勉強ちゃんとやってる?まぁ、陽一の事だから心配は無いと思うけど…!」
北山陽一「みんな仲良くやってるよ…お袋たちの方はどうなの?イタリアなんでしょ、今。」
小林社長「陽一、元気か?父さんたちは元気だぞ!変わり無いみたいで、良かったよかった。」
北山陽一「親父?…(何の前触れも無く代わらないで欲しい…)雄二に代わるよ。」
ト書き「半ば強引に酒井に電話を押付ける北山、溜息をつくと台所へ向かった。」
酒井雄二「うぇ・・お。おれぇ?」
ト書き「狼狽えながら、受話器を耳に当てる。」
酒井雄二「も、もしもし?」
小林社長「声だけだが、元気そうだな…雄二。ちゃんと学業その他諸々に励んでるか?」
酒井雄二「その他諸々はともかく、学業はちゃんとしてマスよ。御心配なく。」
小林社長「そういえば、優と薫は?居ないのか?元気にしてるか?」
酒井雄二「ああ、今二人とも出掛けてて…。」
ト書き「そのとき、ちょうど玄関のドアが開く音がした。」
安岡優「ただいま…。」
北山陽一「ウソ?早くないか?優兄、どうしたの?」
ト書き「キッチンから玄関へ顔を向ける北山、黒沢と安岡が靴を脱いでいる。」
黒沢カオル「ただいま、なんかね駅前のデパート改装中でやってなかったんだ。」
北山陽一「そう、残念だったね。あっ、お袋と親父から電話だよ、出てあげれば?」
黒沢カオル「父さんと母さん?!」
ト書き「慌ててリビングへ向かう黒沢、無言でリビングへ向かう安岡。」
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