-ゴスドラマ過去ログ:23501-23600-
黒沢カオル「保護者会も、授業参観も、体育祭も…全部全部てつ兄と優兄が来てくれたでしょ?みんなはお父さんお母さんが来てるのに…。」
村上てつや「薫は親父とお袋の事恨んでるか?」
黒沢カオル「最初は恨んでた…けど…。」
村上てつや「…けど?」
黒沢カオル「けど良かったかも、って思ってる…てつ兄はどう?父さん母さんの事恨んでる?」
村上てつや「俺か?そうだな…恨んでるな。」
ト書き「予想外の答えに驚きを隠せない黒沢。」
村上てつや「俺だって高1の時いきなりお前等弟の3人の面倒を見ろ!なんて言われて何処か行かれたらなぁ…やっぱり面倒だろ?」
黒沢カオル「…面倒…。」
村上てつや「親らしい事はしなくちゃいけねぇだろ?俺等には身内はいねぇんだし…。」
黒沢カオル「…うん。」
村上てつや「最初の頃、優はお前等の面倒なんか見ないで色んな所に遊びには行くし…お陰で俺は高1.2の楽しい生活を満喫できなかったんだぞ?」
黒沢カオル「…ゴメン…。」
村上てつや「雄二、陽一、薫の進路面談…全部俺がお前等の親代わり…頭割れるかと思ったつーの。」
ト書き「激しい村上の気持ちを目の当たりにし、終には言葉が出なくなってしまった黒沢。」
村上てつや「俺宛の手紙には全部『てつやだけが頼りよ。てつやなら安心して他子を任せられる。母さんも父さんも気兼ねなく仕事が出来る。』なんて書かれて…。知らなかっただろ?本当は親父たちと連絡とってたんだよ。」
黒沢カオル「手紙のやり取りしてたの…?」
村上てつや「事あるごとにな…優にも誰にも相談できねぇ状態だったら、やっぱり親に頼るしかねぇだろ?けどいつも答えは『てつやに任せる』…結局俺1人で…。」
黒沢カオル「そんな事知らなかった…そんなにてつ兄が大変だったなんて…。」
村上てつや「あっ……。ゴメン、何言ってんだろうな俺…ハハハッ。」
ト書き「我に帰った村上は黒沢のうつむきを見て、空笑いをした。」
黒沢カオル「ううん、きっと言われなかったら僕も気付かなかった」
村上てつや「あっ、そうだ。どうせやることないんだったら、大学の中でも見学してくか?」
ト書き「でも、宿題やらせないとマズイか……とかぶつぶつ言ってるてつやに、薫は少しだけ笑顔を見せた」
黒沢カオル「ううん、僕見て行きたいなぁ、てつ兄の学校。」
村上てつや「よっしゃ、案内してやるよ。付いてきな」
黒沢カオル「うんっ!」
ト書き「薫はてつやの腕に自分のをからめて一緒に中に入って行った」
ナレーション「まるでカップルのような……」
効果音「ドゴッ」
村上てつや「バカなこと言ってんじゃねーよ」
黒沢カオル「相変わらず懲りない……」
ト書き「(まぁ、バカは放っておいて)一方自宅組は……」
北山陽一「ゆた兄、あのさぁ……」
安岡優「ん?」
ト書き「食後のお茶をすすっていた陽一は、なにか思い立ったように、片付けしている優に声を掛けた」
北山陽一「俺は隠し事するのもされるのも好きじゃないんで単刀直入に聞くけど、もしかして、ここ出て行くつもりでいる?」
安岡優「ストレートだね。まぁ、俺はそう言う陽一はキライじゃないけど……。まだ決めてないよ。でも、いつかはそうなるときが来るだろ? それは俺だけじゃなくててつやも雄二もお前も……薫だってそうだよ」
北山陽一「だからって・・・・・・っ」
安岡優「今は詳しく話せない。っていうか、もうちょっと自分の中で整理してからみんなに話すから。今すぐじゃないから安心して」
北山陽一「ゆた兄……」
ト書き「このとき、陽一は嫌な予感がしていた。目の前にいる存在がある時突然消えてしまうのではないかと言う恐れを……」
北山陽一「(こういう時の予感って、やなことになかなか高い確率で当たるんだよな・・・・・・)」
BGM「幾千の季節越えて 出会うから〜♪」
ナレーション「またずいぶん懐かしい唄を……」
酒井雄二「そのままずばりっって唄ですな」
安岡優「あっ、雄二。どうしたの?」
酒井雄二「夕飯の買い物行ってくる。材料がないようなので」
北山陽一「とりあえず食べられるものをお願いしますよ〜」
酒井雄二「それが兄に対する言葉か?」
ト書き「しかし、間違ったことを言われていないので、反論出来ない雄二」
安岡優「気をつけて行っておいで」
酒井雄二「うん……」
ト書き「雄二は、暗い影を背負ったまま家を出た」
安岡優「あんまり雄二をいじめるなよ、陽一」
北山陽一「別にいじめてるわけじゃ在りませんよ。雄二兄は遊び甲斐があるので。それよりさっきのこと……薫が知ったら悲しみますよ」
安岡優「……薫はもう知ってるよ。誰よりも先にオレのところに来て確かめて行った」
北山陽一「薫が?!」
安岡優「一応無理ない応え方はしておいたけど……」
北山陽一「そうですか・・・・・・」
ト書き「それっきり二人は黙ってしまった。その後、てつやと薫が外から戻り、少し遅れて雄二も買い物から戻ってきた。いつもと変わりのない団欒の一時……」
ナレーション「しかし、それから数時間後……」
安岡優「“父さんと母さんのところに行ってきます。数日で戻る予定なので心配しないよーに”」
村上てつや「何書いてんだ?」
安岡優「うわっ?!何だよ、気配殺して近づくなよ!」
村上てつや「お前、どこ行く気だ?」
安岡優「別にてつには関係ないよ」
村上てつや「関係なくなんかないだろーが!」
安岡優「大丈夫、てつやには迷惑かけないから…。」
村上てつや「言ってくれない方が逆に心配で、迷惑なんだが?」
安岡優「ともかく何でもないよ…あいつ等怪しがるだろ?リビング戻れって。」
ト書き「ニヤリと怪しい笑顔を浮かべると村上は安岡の隠していた紙を素早く奪った。」
安岡優「馬鹿!てつ、コラ返せよ!!」
村上てつや「俺に瞬発力と身長が勝てると思うなよぉ〜…!」
ト書き「紙を高い位置でヒラヒラさせながら安岡を茶化す村上。」
安岡優「てつ、返せって言ってんだろ!?」
村上てつや「嫌だぁ!…何々…、親父とお袋の所に行く…?何考えてんだよ、優。」
ト書き「手紙を一節を読み黙った村上の手から紙を奪う安岡。」
安岡優「イタリアに行って来る…すぐ戻るよ、その間またてつやには面倒かけるけど…。」
村上てつや「行く必要ねぇだろ…近いうち戻ってくるって言ってんだし。」
安岡優「そう言ってもう3年も帰ってきてないんだぜ?…もう待ってられない、何時になるかそれこそ分からないじゃんか。」
村上てつや「また俺に3人を押付けて行くのかよ?お前甘えてんじゃねぇの?」
安岡優「3人ともてつやが好きなんだから良いだろ…お前はあいつ等の面倒を2年も完全に見てきた…俺はこの1年しかまともに接してない。」
村上てつや「そんなもん兄弟なんだから関係ないだろ?」
黒沢カオル「ゆた兄・・・どっかいくの?」
安岡優「薫?!」
黒沢カオル「なんか、二人とも騒がしいなぁ〜とおもって、来たんだけどまずかった?どっか行くの?」
村上てつや「ソレがな薫、優・・・が母さんもごもご・・」
黒沢カオル「・・?」
ト書き「安岡の背後に在るでっかい鞄を見つけ、黒沢は表情を曇らせた。」
黒沢カオル「優兄チャン・・やっぱりどっかに行っちゃうんだね」
安岡優「……薫。」
黒沢カオル「ごめんね、邪魔して…。僕、もう寝るから!」
安岡優「薫!」
村上てつや「ぶはぁ…苦しかった…。あぁ、どうすんたよ?」
安岡優「どうするも何も…。」
村上てつや「ったく…。お前の決断は断固として譲らないようだな…。」
安岡優「てつやにはいつも悪いと思ってる…。」
村上てつや「思うだけなら簡単だもんな。」
安岡優「そう言う言い方するなよ…本当に思ってるんだから。」
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