-ゴスドラマ過去ログ:23601-23700- |
村上てつや「なぁ?こうしねーか?…優がイタリアに行くのは許す、けど帰国する時に一緒に親父たちも連れて来い。…俺は何とかしてあいつ等を説得させるよ。」 安岡優「てつや…。」 村上てつや「親父とお袋を連れて戻ってくるって言ったら、なんとか納得するだろ?反対はしねーよ。」 安岡優「…わかった、親父とお袋をちゃんと連れて来るよ。」 村上てつや「餞別やるよ。大手振って玄関からいってこい。」 ト書き「財布の中からお守りを取り出し、無理矢理安岡に持たせる。」 安岡優「…ありがと。有り難く、借りてく。」 村上てつや「そういうのは、帰って来てから言えよ。…ちゃんと、皆に、な。」 安岡優「必ず帰るから…。」 ト書き「安岡は大きな鞄を持ち上げると玄関へ向かい、村上は弟たちを呼びに行った。」 ナレーション「靴を履いている安岡の後ろに黙って4人が立つ。」 北山陽一「ゆた兄はイタリア語って話せたの?」 安岡優「…少しだけね…英語でほとんど通じるだろ?大丈夫だよ。」 酒井雄二「父さん母さんの居る所知ってるんですか?」 安岡優「手紙に住所が書いてあっただろ…人に聞けば何とかなるよ。」 黒沢カオル「……。」 ト書き「靴を履き終えて立ち上がり後ろを向く安岡。」 安岡優「すぐ戻ってくるからさ、お土産と親父、お袋を楽しみにしてて!」 村上てつや「向こうで彼女とかつくってくるなよ!?」 安岡優「あのねぇ…てつやじゃないんだからすぐナンパはしないよ。」 黒沢カオル「…優兄…気をつけてね。」 安岡優「うん、大丈夫だよ。ちゃんと親父、お袋連れて帰るからさ…テスト近いんだろ?頑張れよ!てつやもソコソコ頭良いんだから、色々聞いて。」 酒井雄二「次の職場に移った後でしたら、すぐに戻って来て下さいよ?」 安岡優「そんなまだイタリアでの仕事1ヶ月も経ってないんだから…。」 北山陽一「ともかく速やかに帰ってきて下さいね、4人で当番回すの大変なんですから…。」 安岡優「俺の心配じゃないわけね、陽一は…。(苦笑) じゃあ、行ってくるから!」 ト書き「大きな鞄を肩にかけて玄関を出て行く安岡、扉が閉まりリビングに戻る4人。」 ナレーション「4人はリビングでコーヒーを飲んでいる。」 黒沢カオル「……僕、やっぱりゆた兄に付いて行く!!」 ナレーション「突然立ちあがり部屋を飛び出していく黒沢。そのまま玄関へ向かい家を出たところに!」 効果音「キキーーーッ!!ドンッ!!」 村上てつや「薫!!」 ナレーション「通りを走ってきた宅配便の車に跳ね飛ばされる黒沢。」 北山陽一「薫?!」 黒沢カオル「うあ…っ…」 酒井雄二「か、薫!しっかりしろ、どこだ?どこが痛いんだ?」 村上てつや「陽一、救急車!早くっ!!」 北山陽一「わ、分かった!!」 ト書き「慌てて電話をする北山。」 酒井雄二「…大丈夫だから、すぐに救急車が来るからな!」 黒沢カオル「痛ぇ…。」 村上てつや「馬鹿かお前は…高校にもなって飛び出す馬鹿何処にいんだよ!!」 ナレーション「…そして病院…。」 村上てつや「薫!先生なんて言ってたんだ?」 黒沢カオル「脳やその他の所にも異常はないし、軽い打撲で済んでよかったですね…って。」 村上てつや「良かった・…。」 酒井雄二「あぁ!てつ兄、大丈夫?!シッカリしてくれ。」 ト書き「待合室のイスに力無く座り込み安堵の色を見せる村上。」 村上てつや「薫にもしもの事があったら親父とお袋になんて詫びれば良いかって…ったく、俺の寿命10年は縮んだな。」 北山陽一「それにしてもたいしたことなくてよかった・・あ!誰かゆた兄に連絡した?」 村上てつや「してねーよ…アイツ心配して飛んでくるだろうよ?普通なら…今ごろ日本上空だな。」 酒井雄二「イタリアに行く前に心配事抱えられたら行く気にもならなくなるだろうよ。」 黒沢カオル「心配かけてゴメン…。」 ト書き「シュン…とうなだれる薫。」 村上てつや「まぁ、お前の気持ちも分からなくはないけどな」 酒井雄二「まぁ、いいじゃない。別に重傷だとかそう言うのじゃなかったわけなんだから。喜ぶべきことだよ」 北山陽一「そうですね。先生も、2,3日安静にしていれば大丈夫だって言ってたし」 黒沢カオル「うん……」 ト書き「少しだけ沈んだ空気が漂う病室。それと同じくらいに、優の心も暗く沈んでいた」 安岡優「(変な約束して来ちゃったな……)」 ト書き「別に両親を連れ帰ることは難しいことではないはずだ。向こうにもそう言う意思はあるのだし、いざとなればウソをついてでも連れて行くしかない」 安岡優「でもその前に、オレのほうの用事を済ませないと……」 ト書き「実際彼が両親の元に行こうと思ったのは、てつやの言うところの甘えとかそう言う類のものではなかった。もっと重要なこと―――――真実を知るために……」 安岡優「それ如何では、オレも本気で決めなきゃな……」 ト書き「優は小さく呟くと、窓の外に広がる雲海を見つめた」 北山陽一「しかし、なんだって優兄は急に父さんたちのところに行くなんて決めたんでしょうね」 ト書き「家に戻って来て、薫を寝かせたあと、リビングに戻った3人は、入れ直したコーヒーに口にしたまましばらく黙っていた」 村上てつや「わかんねーよ。オレだってんなこと、あの紙見るまでは分からなかったんだからよ」 酒井雄二「確かに、ここ1ヶ月くらい、ゆた兄の様子はちょっとおかしかったですね。なんか、やることなすこと急いでるみたいで」 北山陽一「まるで、限られた時間の中でやれるだけのことをやっているような、そんな感じですね」 村上てつや「切羽詰まってた…ってなもんかね。」 酒井雄二「逢わなければならない・・・」 北山陽一「もしかしたら、薫は分かってるのかも……。」 村上てつや「何を? 優が急いでたってことか?」 北山陽一「たぶん・・・」 酒井雄二「そーゆー事に関しては家族の中で一番敏感だしなぁ・・・」 北山陽一「あそこまで純粋だと、別な意味で怖いんですけどね」 村上てつや「ソレだけ繊細なんだよ・・・・」 北山陽一「…単に動物的なだけかも知れませんがね。」 酒井雄二「誉めてるのか貶してるのかわからないけど…。」 村上てつや「ともかく帰ってきたときに問い詰めれば良いんじゃないのか?今居ないやつの事で急いでもしょうがねーだろ。」 北山陽一「そうですね…。」 村上てつや「しかしな…薫の育て方間違えたかな?俺…。やけに敏感で繊細で…なんだか箱入り息子状態、そんな風に育てたつもりはねぇんだけどな。」 ト書き「深い溜息をつくとコーヒーを飲み干した。」 北山陽一「少し可愛がり過ぎたかな…特に俺の唯一の弟でもあるし。」 酒井雄二「陽一は小さい頃から手間のかからない弟で、逆に薫は何をするんでも危なっかしくて…ついつい俺も構い過ぎたって言うか。」 村上てつや「もう少し男らしくしなくちゃな、アイツ…。」 北山陽一「薫も高校だし、少し俺も考えなくちゃな。」 酒井雄二「陽一と全く同感…。」 村上てつや「やっぱ俺に”父親・母親”の代わりは出来ねーよ…勝手な親だよな、本当に…。」 ト書き「『寝るわ。』と一言残し自分の部屋に戻る村上。」 北山陽一「てつ兄」 酒井雄二「…ああ見えて1番苦労して来たのはてつ兄だからね…。」 北山陽一「てつ兄に心配や苦労をこれ以上かけたくは無いね…。」 酒井雄二「薫の繊細な所はある意味てつ兄に似てると思わないか?」 北山陽一「そうだね…。後は優兄が帰るのを待つしかないね…それでてつ兄が楽になってくれれば幸いなんだけど。」 酒井雄二「責任感が強いしな、てつ兄は…。」 北山陽一「…雄二兄、俺たちも寝ようか…。」 酒井雄二「そうするか…。」 ト書き「コーヒーカップを片付けると、雄二も陽一も自分の部屋に戻った。」 |
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